僕らは英雄になれるのだろうか　　　鏡銀鉢（電撃文庫）



英雄に憧れた全ての少年に贈る、師との絆が織り成す学園バトルストーリー。
大枠としては学園異能バトルものですね。宇宙から襲来してくる化物と戦うための異能者（シーカー）を
育てるための学園が舞台になっており、主人公は底辺クラススタートなので成り上がり要素もあります。
特徴的なのは、主人公以外の面子（クラスメイトたち）も主役を張れるだけの潜在能力＆精神持ちという点。
主人公を誘った人物の言葉「大事なのは才能でも努力でもなく、熱意と環境」通り、指導者が教え子の力を
正しく伸ばしていけば、切磋琢磨する仲間がいれば誰でも特別に、英雄になれる。
そんな、何よりも簡単で、だけど何よりも難しいことを成し遂げていく主人公たちの姿が眩しい。
ラブコメ面は想い人である望月宇兎との仲を深めていく主人公。ヒロインは確定か？

主人公はシーカー養成学校への入学をかけて幼馴染との戦いに臨むも敗北して試験は不合格に。
しかしかつて己の命を救ってくれたシーカーの息子に勧誘され、念願叶って学園に入学を果たせた少年。
正義感が強く努力家な性格で、誰かを守るために己の身を投げ出せる勇気の持ち主。
幼い頃、化物（アポリア）に襲われた時に経験した恐怖を他の人に味あわせたくない。
怖くて辛くてどうしようもない人を助けたいと思うがゆえにシーカーにならんとしている。
ボッチの人を見ると、逆に親しくなりたくなる癖がある。

ヒロインは心優しき級友。サブに我儘幼馴染、高慢なエリートお嬢様、孤高の忍者なども。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点（二巻）においての評価はＣ。
王道三原則（友情・努力・勝利）を前面に押し出した、古き良き少年漫画のような構成が読んでいて気持ち良い。
というか主人公のクラスメイトたち、キャラが濃いわ一点特化型ばかりだわと個性派揃いすぎである。
そのせいで群像劇っぽいというか、若干話がとっ散らかっている感はありますが…
じゃあ主人公の影が薄いのかと言われればそんなことはなく、存在感をしっかりと示していますし
壁をひとつひとつ乗り越えながら精神的にも成長していく様も描かれているので気持ちよく読めます。
ただ、理を重視した作風の都合もあり、蘊蓄＆説明が多めなのが難点でしょうか。
それと、ネームド美少女キャラの半分はイラッとくる性格の悪さなのもキツイかも。
本筋は関西校との親善試合に勝利し、上級アポリアをも撃破。そして新たな仲間も加わって次巻へ。