魔女学園最強のボクが、実は男だと思うまい　　　坂石遊作（電撃文庫）



魔法の使えないエリート騎士が魔女学園で無双する、女装潜入ファンタジーストーリー。
女の園である学園に男は主人公ただ一人、と書くとお約束の設定に見えますが、この作品の場合は
女だけが使える力を何故か使える世界唯一の男だから、とか、教師として赴任するから
といった正当な理由はなく、女装して潜入という明らかな違法行為をしており、当然男バレしたらアウト。
しかもこの作品では、女性特有の力（魔力）が存在しているため、誤魔化すのも容易ではないわけで…
そう考えると、いかに主人公が無茶ぶりをされたのか、そして不幸なのかがよくわかりますねｗ
ラブコメ面は今のところ進展なし。確定でフラグが立っているヒロインはいるようですが…

主人公は騎士団長である兄から女装して魔女学園に潜入せよというミッションを与えられた騎士の少年。
若くして騎士団四番手の実力者だが、女装が似合う（ミッションが与えられたのはそのため）
真面目で誠実、常識的な性格をしており、それゆえに苦労人ポジションにつきがち。
男らしい騎士を目指しているため、自身の女顔がコンプレックス。
幼い頃に死にかけた時、魔女に治療してもらったことから、騎士の中で唯一魔女のことを嫌っていない。

ヒロインは心優しき委員長、ツンツン従者、大人びた商会令嬢、中二病な級友。
一番のお気に入りは視線を風に流す「翼手の魔眼」を持つ級友、リリー＝フルスティン。
金髪碧眼、そして左目につけている眼帯をはじめとした独特の装いが特徴の美少女。
自分の「リリー」という可愛らしい名前を嫌がり、周囲には「フォルテ」と名乗っている。
尊大で大仰な言い回しを好むなど、厨二病を発症しているが、素はヘタレで子供っぽい。
屋上から眺める夜の王都の街並みが好きで、そのため消灯時間破りの常習犯として目をつけられている。

現時点（一巻）においての評価はＣ。
女装主人公というと、必要性に駆られて女らしく振る舞う努力を欠かさないのが常ですが
この作品の主人公はほぼ自然体のみで過ごしています。つまりよっぽど素が女性っぽいということに…
性格や口調は普通に男、身体も鍛えているので、魔女学園の面子が節穴揃いなだけな気がしますがｗ
お風呂や着替えなどの定番お色気イベントもあるのに、全然バレる気配がないですしね。
まあ、そういう残念さがヒロインたちの可愛らしさを引き立てている一面もあるのかもですが。
全体としてはツッコミどころ満載ではありますが、熱い展開もあったりと、バランスの良い作品かと。
本筋は願いを叶える魔法という、世界を改変してしまう恐るべき魔法を手にする可能性を持つ者を調査しつつ
魔法を狙う謎の組織とも戦うなど、忙しい日々をおくることになりそうな主人公ですが、さて。