ちがたり。   刈野ミカタ(MF文庫J)



血を吸えないがために知を求める吸血鬼少女とその幼馴染である主人公の織り成す物語。
と書くとなんかシリアスっぽいですが、実際はこの二人が所属する第二図書委員会がだべるのがメインです。
「僕は友達が少ない」や「生徒会の一存」のようなトーク主体型の作品ですね。
完結しているものの、どうも打ち切りらしく、かなり語られてない部分や詰め込んだ感があります。
ラストは主人公とメインヒロインがくっつきそうになったところで他ヒロイン乱入でうやむや、みたいな感じ。
ただ、その前に残りのヒロインを間接直接振るイベントがあったので、実際はメインヒロインの一人勝ちっぽい。
ハーレム的観点で言えば、完全決着ではないとはいえ、ほぼ勝敗は決した感のあるこの展開は残念でした。
時々使われていたパロネタは正直言って微妙、里伽子ルートが素晴らしいというのには同意しますが!

主人公は優柔不断で押しに弱く、鈍感で異性からの好意に疎いよくいるハーレム系主人公。
…に見せかけて割とSな性格でMもいけるというかなりの変態。
顔立ちは整っていて、大抵のことならすぐに一通りこなせるという万能性も持っている、畜生羨ましい。
たまに素で臭い台詞を吐くため、客観的には女たらしにしか見えない、死ねばいいのにw

ヒロインはいじられ役幼馴染、ツッコミ役クラスメート、毒舌ロリ、セクハラ会長、吸血鬼ハンター、そして吸血鬼。
一番のお気に入りは吸血鬼ハンターで氷結のエステルの二つ名を持つ雪水愛心。
本編において吸血鬼とバトルする展開は存在しないため、普段の彼女は中二病を患っている様にしか見えませんw
中学時代から主人公のことを吸血鬼ではないかと疑い、監視していたり。
しかし監視といっても観察ノートをつけたり、男子寮に忍び込んだりとやってることは完全にストーカーだったりする。
客観的に見ると、実にイタイ子なのだが、何故か彼女の場合は可愛らしく見える不思議。
ていうか、読んだ限り吸血鬼疑惑よりも主人公のことが好きだからという理由の方が原動力になってる気がする。
主人公は美乳を評価していましたが、私は尻を評価したいと思います、二巻の表紙は実に素晴らしかった。

評価はE。
とにかく打ち切りになったのが惜しすぎる作品だと思います。
作品のスタイル的に、長く続けてこそ味が出ると思いますし、何より語られてない部分が多すぎるのがなぁ。
ククリ先輩の謎、主人公の過去、何故冥利が選ばれたのか、ヒロインたちが主人公に好意を抱いた経緯。
この辺りがちゃんと描写されるところまで続いていればもっと点は高かったのですが…
最後に、絵がやたらエロいのは良かったと思います。