やー、終わった。終わりましたよ奥さん。九月中旬から書き始めてますから、大体製作期間二ヶ月ちょいですね。ま、二ヶ月と言いつつスランプに陥った時期があったりして本当は一ヶ月と二十日ぐらいの執筆期間ですけど。

 さて、作者の生々しい話は早々に止めて栞シナリオについて語りましょう。

 栞シナリオを再構築しようと考えた理由は幾つかあります。一つ目がアニメ版Kanonの香里が「妹なんていないわよっ!」と声を荒げるシーンに違和感を持った事。二つ目が栞の病気。最後にして最大の理由が、不治の病に冒されていた筈の栞が元気に復活してしまう事です。

 まず一つ目から。あの香里は怒りすぎです、ゲーム版は軽く流してましたけど。私は怒るなら怒るで正当な理由付けが欲しかったのです。私の場合、栞の事に加えて部活内の不和が重なって爆発という理由をつけてみました。部活の設定は香里が祐一と戦わせる為だけに存在した、そう考えて貰って間違いないです。

 香里が演劇部である理由ですが、どっかで「香里の部活は公式設定では演劇部」という風聞を耳にしたからです。単純ですね。

 二つ目、栞の病気。大病を患っているにしては真冬の北国で、しかもストール一枚で出歩くなんて狂気の沙汰としか言い様がありません。私が札幌在住だから自信を持って言うのですが、栞は(実は彼女に限らないのですが)北国の冬を舐めすぎです。Kanonは一月〜二月に掛けての物語ですから、冬真っ盛りです。吹雪で前が見えなくなる(前を向くと目に雪が入るので、下を向くしかない)事だってあるでしょうに、健康な人でもこんな恰好で出歩いたりはしません。

 北国の冬にストール一枚で出歩く剛毅な栞が、話が下るにつれて急速に病弱化します。何の病気だったんですか栞さん。

 とまあこの辺が、私が作ったオリジナルの設定に続く訳です。

 三つ目、栞復活。私の感想を言えば、ここは興醒めでした。栞シナリオの核は彼女が如何にして死すべき運命の中で、どんな生を送るのかという所です。その後生きているなら生きているでも良いのです、ただそれを作品中ではっきり見せる必要はなかったと思われます。生きているのか死んでいるのか意見が分かれる所だという終わり方が最高ですけど、要するにはっきりと作中で公式見解を示さないで欲しかったと言う事です。想像の余地を残す事を私は重要視しますので。

 と言う事で、本作でも結末は想像するしかない仕様になっております。

 栞の告白に対する祐一の返事は?

 栞の生死は?

 演劇の成否は?

 最後に噴水の前にいた男女は誰だったのか?

 確かにこれらの私なりの解答は勿論あります、ですが作品中には書きません。どうしても知りたいという奇特な方は丘の掲示板に書くか、メールに出すか、MSNメッセンジャーに私のアドレスを登録して聞いてみて下さい。懇切丁寧に、こってりねっとりじっくり教えます。

 それでは、また何処かでお逢いしましょう。