< 縁 >
(Kanon)

第6話「告白」〜水瀬 秋子〜編

written by シルビア  2003.9-10 (Edited 2004.2)

「秋子さん、娘の名雪を下さい」
「お母さん、私、祐一さんと結婚します」
名雪が懐妊していたことがわかり祐一は責任をとって名雪を嫁に迎える決心をした。
……・
「了承……」

娘の幸せはとても嬉しい、でも心のどこかでただ一つ警鐘が響き渡っています。
そう、彼女の亡き父親の事。
現状だとバージンロードを歩く娘の脇には私が付きそうのでしょうか。
でも、
もしその資格を持つ人が"実は生きている"と名雪が知ったなら……

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臨終にあたって、あなたの言った最後の言葉。
「名雪は私たち夫婦の娘だと思っている。
 例え私と血がつながっていなくても。
 秋子、そのことは忘れないでほしい。
 だが、いつかあの子が大きくなったとき、真実を伝えてほしい。
 そして、秋子の告白を聞いた時は、誰よりも秋子の心を守りたかった。
 気持ちを隠していて済まない」
「知って……いたのですね、あなた。……本当にごめんなさい」

私とあなたとその人は大学以来の友人関係でしたね。
そしてあなたとその人は2人とも私に求婚してくれました。
ですが、ある日のこと
「やめてください、私にはフィアンセがいるのですよ?あなたもご存じでしょう?」
「私の気持ちだって、分かっているだろう?」
「ええ、でも……私は彼を選んだのです」
「なぜ、彼を選ぶんだ?私だって彼に負けない位君のことを……」
「お願いです、やめてください……やめて……ください。う……うう……」
……タダ一度の交わり、もう1人の求婚者との関係は私に名雪を授けてしまいました。

私は主人に操を捧げた時には既に処女ではなかったのです。
名雪は私の娘ですが、亡き主人の子ではありません。

経験豊富なあなたのことです、初夜の時に気が付いていたのでしょう。
私は男性つき合いはほとんど経験がありません、ウブといってもいいぐらいで
男の噂などほとんどありませんでした。
だから、名雪を授かったことをあなたに伝えた時、既にあなたは事実を見通していたのでしょう。
でも、私はあなたの優しさにつつまれ、名雪をこの世に送り出しました。
私達二人の子として……

今、私は名雪にその真実を伝える必要が生じてしまったと思うのです。
それと、もう一つの事に決着をつけるために……

私はメモを取り出すと、ゆっくりと電話をかけました。
「お久しぶりです、秋子です。……実は娘の名雪が……」
……
「……そうか、いよいよ……。秋子、前伝えた話のことだが……」
「ええ、私も決心しました。お話をお受けしようと思います。……」
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数日後……
「名雪、今日時間があるかしら?」
「大丈夫だよ」
「大事な話があります。それに祐一さんと一緒にある人に会って欲しいのです」
その日、祐一と名雪は驚きと喜びと哀しみと楽しみを全て同時に感じたという。

結婚式当日……
バージンロードを歩く名雪の隣には、名雪とよく似た男性の姿があった。
名雪は思いもよらない真の父親と腕を組み、ゆっくりと歩を進める。
そして彼の手から、新郎の祐一は花嫁を受け渡される。



〜エピローグ〜



結婚式の数日前……
秋子は再婚していた。かつてのもう1人の求婚者と。

その求婚者(倉田)には連れ子がいた。
倉田は妻と死別していた。
その子達の名は佐祐理と優弥と舞である。
ちなみに川澄舞は倉田家の養女(倉田舞)となっていた。

そんなこんなで結婚式当日。
佐祐理「はぇー、祐一さん、おひさしぶりです。これで本当の姉さんですね」
祐一「佐、佐、佐祐理さんが俺の姉さん???ま、ま、舞も???」
秋子「私が名雪と一緒に倉田家に嫁入りしましたので、佐祐理と優弥と舞は祐一・名雪の義理の家族ということになりますね」
佐祐理「これからは義弟としてたっぷり可愛がって上げますね〜〜。覚悟してください!」
舞「……はちみつくまさん。舞もお義姉さん、祐一を可愛がる♪」
祐一「義姉さん……」
名雪「……」
佐祐理「だから仲の悪い義弟・妹は、秋子さん直伝のジャムでお仕置きします〜〜」
舞「……はちみつくまさん。私も作れるようになった」
(すでに伝授されているあたり……by 作者)
祐一「お義母さん……」
名雪「お母さん……」
秋子「早く家族を増やしてくださいね♪」
佐祐理「佐祐理は男の子が欲しいですね〜。名雪の子どもが楽しみです〜♪」
舞「……舞は女の子がいい。子どもがたくさんだと楽しい」
秋子「あら?佐祐理や舞だってこれからですよ。何でしたらできちゃった婚でもいいんですよ?」
佐祐理・舞「「……お母さん……」」



FIN.


後書き



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