DUEL SAVIOR INFINITE Scwert2-6
 まず彼を襲ったのは、顔面から発生する微妙な痛みだった。
 我慢すれば何という事はないが、それでも痛いものは痛い。
 ましてや、それが微妙ともなれば何とも云えない気分になるのは必然。
 幸い口の中とかは切れていないし、舌も怪我などはしていないようだ。
 口内炎とか出来るとしばらく食べ物を咽喉に通すのも嫌になるほどの激痛に苛まれる。
 それを考えれば、不幸中の幸いと言えた。
 もっとも――――

「…………痛い、な」

 痛いのに変わりはないのだが。

















DUEL SAVIOR INFINITE

Schwert2-6
夜中の逃走劇 〜Real Nature Detection〜
















 見つける事が出来なかった、それが昨夜のブラックパピヨン探索の成果であった。
 あれほどのキチ○イ染みた格好だというのに、見つける事が出来なかったと言うだけでブラックパピヨンが只者ではないという証明に他ならない。
 だが、目立つに目立つ格好をしているのだから目撃証言などはかなりあるだろう。
 それを元に、主だった出現地点を絞り込めれれば何とかなるかもしれない。
 とはいえ、1人でやったら時間も掛かる上に効率も悪い。
 2人、最低でも1人程度の協力者が欲しいところだ。

「だとするなら……誰がいいだろうなぁ」

 アダムは分からない。
 そもそも、昨夜あれだけ勝手に協力してもらったのだからもう一度頼むのも気が引ける部分がある。
 というより、アダム本人があまり乗り気でなかったのを考えると断られる可能性のほうが圧倒的に高い。
 一応候補には入れておく、ぐらいでいいだろう。
 となると、後は未亜、リリィ、ベリオ、リコ、セルの5人が候補なわけだが。

「セルとリリィは除外だな」

 セルは昨日の事もあるし、何よりリリィになぞ頼もうものなら一気に喧嘩に発展しかねない。
 それはあまりにも時間の無駄だ。
 しかも喧嘩した上に断られてしまう可能性のほうが圧倒的に高い。
 それこそ正しく時間の無駄だろう。

「リコもなぁ……」

 召喚の塔に描かれていた落書きを一生懸命消していたリコにブラックパピヨンの調査を頼むのも大河的には気が引けた。
 そもそも、召喚の塔の落書きは全てが消えたわけではない。
 凡そ半分位は消す事に成功はしたものの、残りは自分が消すというリコの熱意に押される形であの場を後にしたのだ。
 下手をすると、徹夜して今は寝ている可能性がある。
 流石にそんな状況の人物の邪魔をするほど大河は人間として終わっているわけではない。

「となると……」

 残っているのは未亜とベリオの2人だけ。
 とは言え、この2人なら手伝ってくれる可能性はかなり高かった。
 未亜は手伝ってくれるのは当たり前として、ベリオの性格を考えるにブラックパピヨンのような愉快犯を許すとは思えない。
 むしろ、かなりの熱意を持って取り組んでくれるかもしれない。

「未亜にベリオ、一応でアダムといくか」

 声を掛ける人物は決まった。
 なら、後は実行に移すだけだ。 


















◇ ◆ ◇


















「で、こうして集まったわけだが」

 予定通り、未亜とベリオは協力してくれた。
 意外だったのは、アダムも協力してくれると言うことだ。

「まさか、アダムも協力してくれるとは思わなかったぜ」

「協力するも何も、しなかったとしても後日改めて頼んできそうだしな」

 何気に云った言葉に、大河は驚愕の表情を浮かべた。
 目を見開き、口を少し開け呆然とした表情の内心は真実として驚愕であった。
 その表情にアダムが怪訝そうな顔をするのも、ある意味では当然の事。

「何を驚いてるんだ?」

「いや……その発想、なかったわ」

「……深読みだったか」

 とは言え、一度了承した事を覆す事はないのか一応協力してくれるらしい。

「それで大河君、まずは何をやるんですか?」

「最初は情報収集からやろうと思ってんだ。
 あんな目立つ格好してたから、目撃証言もかなりあるだろ?
 それで少しでも本拠地を絞り込めれれればって思ってな」

「なるほど。でも、本当にそんな格好をしていたの、お兄ちゃん?」

「いや、まぁ疑いたくなる気持ちも分かるけどよ」

 紐水着にマントに蝶の形をした仮面という、もうどう転んでもアレとしか云えないような格好だが事実は事実だ。
 未亜が疑いたくなるのも確かに分かる、大河とて今だにあの光景が事実だったのかどうか疑問に思う事もある。
 だが、事実なのだ。
 どうしようもないほどに。

「未亜、疑いたくなる気持ちは分かるが事実だ。オレも実際にこの目で見たからな」

「アダムさんが言うなら、間違いありませんね」

「いや、兄の言葉を信じずにアダムの言葉を信じるって妹としてどうよ?」

「信用できるとでも?」

「……すいません」

 大河が未亜にこういう事で負けるのはある意味で必然であった。
 普段の行いがものをいう、というやつだ。

「それよりどこを調べます?」

「4人いるから四方に別れて聞き込みをするのがいいだろう。
 だいたい3時間後ぐらいにこの食堂に集合、というのはどうだ?」

「おっし、それ採用な。
 俺がここら付近の聞き込みをするわ。
 お前らはどうする?」

「オレは正門付近で聞き込みをする。
 未亜とベリオはどうする?」

「なら、私は図書館付近へ行きましょう。
 未亜さんは闘技場付近をお願いしていいですか?」

「はい、わかりました」

 内訳は決まった。
 なら、後は実行するのみだ。
 
「さぁ!! ブラックパピヨンを捕まえて成敗しますよ!!!」

 なぜかは分からないが、ベリオが異常なほど燃えている。
 何か嫌なことでもあったのだろうか?

「ベリオさん、何か燃えてるね」

「おおかた、不埒な格好をして我がもの顔で学園を騒がせるブラックパピヨンが許せないんだろうよ。
 ほら、委員長って規律とか五月蝿そうだからな」

「五月蝿そうだとしても、だ」

 燃えまくっているベリオを見ながら、アダムはどこか怪訝そうな表情を作る。
 確かに規律に五月蝿いベリオが不埒な格好をするブラックパピヨンに敵意を向けるのは何ら不思議な事ではない。
 むしろ当然の事だといっていいだろう。
 だが何だろうか、何かがおかしいとアダムは感じているのだろう。
 実際、どこかベリオの態度に大河自身も違和感を感じていた。

「あの態度、何かおかしくないか?」

「アダムもそう感じたか? 実は俺もなんだよ。
 確かに許せないのは分かるけどよ。
 実際に自分が被害にあっているわけでもないのにあそこまで燃えるもんなのか?」

「普通はないな」

「だよなぁ」

「何か、トラウマでもあるんでしょうか?」

「さぁ、な」

 こればかりは本人しか分からない。
 しかし、あんな愉快犯に何らかのトラウマがあるとするなら、それはそれで嫌なトラウマだろう。
 よほど恥ずかしい過去を世間に暴露された体験とかあるのかもしれない。
 本人に聞くのが効率的で楽な方法なのだが、

「ほら!! 皆さん何をやっているんですか!? 早く犯人を捕まえるわよ!!」

 とてもじゃないが聞ける雰囲気ではない。
 怒りのオーラを撒き散らし、異常なほど燃えまくっている本人に聞くには相当な勇気か蛮勇が必要だ。
 やる気が異常にあるので、その点だけは大河にとってはありがたい事であるのは間違いない。

「それじゃ、委員長のやる気にしたがってさっさと行くとするか」

「ああ」

「うん」

 さて、聞き込みの結果は――――


















◇ ◆ ◇


















 3時間後。
 一同は元の食堂に戻ってきた。
 表情がいまいち浮かばないところを見ると、成果はいまいちだったのだろう。

「さて、皆の表情を見るとだいたい結果はわかるが、一応報告し合おうか」

「とりあえず、わかったのは正しく神出鬼没、ってことか。
 目撃証言は沢山あったが、どこから現れたのかはまったく見た奴はいねぇ。
 いつの間にか現場に現れてたらしいぜ」

「盗まれたものは0点の答案用紙やラブレターなど。
 主に当人にとって他人に知られたくないものですね」

「後は逃げ足が速い、ってことかな。
 追いかけた人もいるらしいけど、誰も捕まえる事ができなかったんだって」

 こうやって聞いていると怪盗としてはかなりの腕を持っている事が分かる。
 ただ、ある一点を除いて。

「…なぁ」

「何も言うな、大河」

「いや、言わせてくれ…確かに、神出鬼没とか逃げ足の速さとか、その辺は評価できると思うぜ?
 でも、でもだ………幾らなんでも、盗むものがせこ過ぎるぞ」

「………」

「た、確かに……せこ過ぎるよね」

 この瞬間、4人の中にブラックパピヨン=完全無欠な愉快犯という図式が出来上がった。
 腕は超一流なのは間違いないのだろうが、盗むものがここまでせこ過ぎるとこういう感想を抱いてしまう。
 4人の脳裏に、高々と笑い声を上げながら0点の答案用紙を嬉々として盗む変態の姿が描かれていた。

「ってか、何だってこんなせこいもんばっか盗んでんだ?」

「愉快犯だからだろ?」

「って、アダムさん! それ、身も蓋もないですから!」

「いや、否定できるのか?」

「………どうしよ、全然できないよ」

 つまり現実なんてそんなもんなのである。

「ですが、現実問題として捕まっていない事を考えると怪盗としてはかなりの腕ですね」

「だな。委員長の言うとおり、あれだけの目撃証言があるってのに見つからない事を考えるとブラックパピヨンってのはかなりの腕前の怪盗なのは確かだぜ。
 俺自身、あの格好を始めてみた瞬間、意識が朦朧としていたとは言え思わず固まっちまったからな」

「へっ? 意識が朦朧?」

「ああ、いや、何でもない」

 実際問題として、あの愉快犯がかなりの腕なのは間違いない事実である。
 何よりも問題なのはまったく捕まる気配がないということだ。
 調べたところ、教師陣も一時だが本腰を入れて調査した事があるらしい。
 だが、どんなに調べてもそれらしい人物を見つける事が出来なかった。
 それだけでも、あの愉快犯の実力の一端を知るのに充分な事だ。

「後は予想通りというか、人通りの多いところによく出没するみたいだね」

「逆に、闘技場裏の林とか南東にある地下道とかの人通りの少ないところには、あまり出現しないみたいです」

「となると、だ。通り道、あるいは拠点として林か地下道を使ってる可能性があるってわけだ」

「だが教師達が大々的に調査しても何も出なかったらしい。
 となると、もっと別のことを考えた方がいいかもしれないな」

「たとえば?」

「当たり前かもしれないが、教師達が調査した際、不審者が紛れ込んでいないかとかも調べたらしい」

「ですが、不審者の目撃情報はなかったのですね」

「その通りだ。
 学園外からの侵入というケースも考えられたが、この学園には侵入者対策の結界の類が張られているらしく、無断侵入は一切無理という事もわかった。
 つまり、あの愉快犯はこの学園内部の者である事は間違いないらしい」

「ですが、内部の者というのなら尚更分かるのではないですか?
 性別が女性であるのは間違いないですし、だいたいの背格好は判明しているのでしょ?」

「ベリオの言うとおり、あの愉快犯の外見に類似する女子生徒の監視などが行われたらしいが結果は全て白。
 結果的に、犯人は見つからずに事件は半ば迷宮入りというわけだ。
 犯人は今だに犯行を行っているわけだが」

 こうして聞いていると、ブラックパピヨンはとんでもないぐらいの凄腕怪盗なのだと分かる。
 ただ一つ、盗む物のせこささえなければの話だが。

「これほどの腕なら、美術館から名画を盗んで売るとかして一生暮らしていけるだろうに。
 何だって、こんなせこいもんばっか」

「本人の癖、とか?」

「未亜、そんな癖持っている奴なんて俺は生れて一度も聞いたことがねぇぞ」

「大丈夫、私も聞いたことがないから」

 実際にそんな癖を持っているとしたら、そいつは間違いなく人格破綻を起こしているのではと大河は考えてしまった。

「あれだけ大胆で目立つ格好、更に明らかな女性の体格をしていた。
 あの時あった彼女の性格を考えるに、少しばかり自己顕示欲が強いかもしれない」

「そう、なんですか?」

「そうじゃなきゃ、あんな大胆な格好はしないだろう」

「確かに……じゃなきゃ、あんな紐水着なんて着たりしねぇよな。
 流石の俺も、あれには少しばかり引いたぜ」

「そうか? 以外に嬉しそうじゃなかったか?」

「いや、まぁ一健全な男児としては嬉しいというか何というか、そういうのがあるのは確かだけどよ。
 流石に、あれはねぇだろ?」

「確かに、な」

 女好きである大河だが、それでも精神は非常に健全だ。
 たとえ美少女だろうと、あんな変態な格好をした相手だとさすがに気が引ける。
 というより、これこそが正常な反応だと大河は己に言い聞かせた。
 実は、こっそりおいしく頂こうとか一瞬だけでも思ってしまったのは秘密だ。

「ところで、この後はどうする? 結局のところ、大した情報を得ることは出来なかったが」

「あ〜、とりあえずもう少し何か情報がないか調べてみる事にするわ。
 未亜と委員長はどうするよ?」

「私はそろそろ祈りの時間なので教会に戻ります。
 未亜さんは?」

「えっと、私はその辺りを散歩してから帰ることにします」

「OK、んじゃ、今回はこれにて解散ってことで」

「それじゃ、また明日ね、お兄ちゃん」

「また明日、大河君」

「おう」

 未亜とベリオが食堂から去り、残ったのは大河とアダムのみ。
 時刻は既に午後4時。
 空はまだ明るいとはいえ、食堂の表通りには人通りはほとんどない。
 人通りが出来るまで、あと2時間前後といったところだろうか。

「大河」

「うん? どうしたアダム?」

「実はさっきの報告の時に言っていなかった事がある」

「? なんでまた…」

「少なくとも、聞かれたらやばい事だと思ってくれ」

 聞かれたらやばい。
 すなわち、未亜かベリオ、あるいは2人に聞かれたらやばいことなのかもしれない。

「実はブラックパピヨンの被害が発生し始めたのは、つい2ヶ月前の事らしい」

「2ヶ月前って…随分と最近じゃねぇか」

「それまでは一切被害がなかったが、2ヶ月前のある日、突然出現するようになったらしいんだ」

「ってことは、その2ヶ月前あたりにこの学園にやって来た奴が犯人って可能性があるわけか」

 これはなかなか有力な情報だ。
 なぜなら、事件発生が2ヶ月前ということは、その少し前あたりにこの学園に入学した人物が犯人である可能性が高いのだから。

「って、何でその話が未亜達に聞かれたらやばいんだよ?」

 分からないのがそれだ。
 なぜ、わざわざ彼女たちに知らせないようにしたのか、それが大河には分からなかった。
 別に知らせてもいいような、むしろ知らせた方がいい情報のような気がするのだから。

「さっき、オレは教師達が該当する生徒たちを監視していたと言ったな」

「あ、ああ…確かに言ったが」

「実はその該当する生徒の中で、たった1人だけ監視の付かなかった生徒がいるんだ」

「何……だと…?」

「厳密には、その素行と肩書故に監視を付けるわけにはいかなかった、とでも言えばいいか」

 驚愕の新事実であった。
 それが本当なら、犯人に該当しているのはその人物しかいない。
 いや、それ以上にだ。

「まさか……」

 大河の脳裏に1つの答えが浮かび上がる。
 そんな、まさか…だがしかし、それしか考えられないのもまた事実。

「その監視が外されていた生徒の名前は―――――― ベリオ・トロープ」

「委員長が!?」

 それは、信じたくもなく信じられなくもない事実の断片であった。
 確かに、ベリオなら監視を外されてもおかしくなどない。

「委員長の肩書きは救世主候補、更に普段から規律に五月蝿いから監視の対象から外されたって事か」

「真実はどうあれ救世主候補が犯罪に手を染めているとなると学園や王国の沽券に関わる。
 そうなると、他の貴族とかが五月蝿そうだしな。
 それを防ぐためにも、ベリオはあえて監視から外されたんだろう。
 あの愉快犯の犯行が確認され始めたのは約2ヶ月前。
 同様に、ベリオがこの世界に召喚されたのは2ヶ月と少し前ぐらいらしい」

「…なんってこった。聞く限りじゃ、委員長は黒に限りなく近いグレーだぜ」

「というより、現状においてあの愉快犯の正体がベリオであるというのが最有力候補だ」

 だが、ここで1つの疑問が大河の脳裏を過ぎった。
 最大の疑問点――――― それは、

「でもよ、ブラックパピヨンと委員長の声って全然違うかったよな?」

 それが最大の疑問点だ。
 声質を変えている、というレベルではない。
 たとえ声質を変えたとしても、分かる人には分かる。
 だが、ブラックパピヨンとベリオの声はまったく違っていた。
 口調もそうだが、声質そのものが。

「オレもそこに疑問を感じている。
 同一人物だった場合、体格や髪の色などが同じなのは説明が出来る、だって本人なんだからな。
 だが、あの声の質の変化はいくらなんでも誤魔化しきれない。
 あの声は完全にベリオとは違っていた」

「となると、やっぱりベリオとブラックパピヨンは別人か?」

「いや、そうとも言い切れない。
 最有力候補は多重人格者だ」

「へっ? 多重人格者?」

 予想だにしなかった答えであった。
 多重人格者と声の質、いったい何が関係しているのだろうか。

「それと、いったい何の関係があるんだよ?」

「これは実際にあった例だが、ある国に1人の多重人格者の男がいたらしい」

「ほうほう」

「主人格、泣き虫な人格、凶暴な人格、楽観的な人格。
 実に様々な人格が男の中にはあった。
 ここで注目すべき点は、人格によって声の質や運動神経などに差が生じたという事だ」

「へっ? んな事が可能なのかよ?」

「実際にあった事だ。
 たとえば、泣き虫の人格は精神年齢から言えば10歳未満だった。
 当然、運動神経や声質もそれに近かったらしい。
 逆に凶暴な人格は、主人格が習ってもいないはずの空手の達人で簡単に机を粉砕できるほど強かった。
 今回注目すべき点は、声質の変化だ。
 精神年齢10歳未満の泣き虫の人格の声は実際に10歳の子供のような声だった。
 そして、凶暴な人格の声は他の人格とは似ても似つかないほど獣のような唸り声だったらしい」

「それを考えると、委員長とブラックパピヨンの声質が違うのも証明できるってことか」

「もっとも、これらはあくまで考案でしかない。
 真実を知るには、あの愉快犯を捕まえて彼女の口から真実を聞くしかないだろう」


















◇ ◆ ◇


















 本来であれば自室で寝ているであろう時間になっても、大河は自室には戻らず学園内を探索していた。
 時刻は夜の10時。
 まだまだ肌寒いが我慢できない事もない。

「そろそろ、かな」

 前回、ブラックパピヨンと邂逅した時は夜であった。
 なら、次に襲ってくる時も夜である可能性が高い。
 そう踏んで大河は学園内を探索していた。
 こうして大々的に姿を見せれば、相手は挑発を受け止めて何らかのアクションをするのでは。
 そう考えたが故の行動であった。
 もっとも――――

「流石に、やすやすと網に引っ掛からねぇか」

 相手もそこまで馬鹿ではないだろう。
 そんなにすぐに結果が出るとは大河自身も思っていない。
 ただ、こうして挑発し続けて相手が乗ってくればこちらのものというのが大河の考えだ。
 あとは捕まえて襲った事情などを聞き出せばいい。

「つっても、次の時も不意打ちだろうが」

 仮にブラックパピヨンの正体がアダムの言うとおりベリオだったとしても、ブラックパピヨンはそう易々と召喚器を使う事はないだろう。
 こっちがブラックパピヨンがベリオであるということについて疑っているなど、相手は知らないはず。
 故にブラックパピヨンが召喚器を使えば、その時点で正体がばれたのも同然なのだ。
 流石にそんなヘマをするとは思えない。

「っと………考え事している間に、変な場所に出ちまったな」

 そこは、地下道であった。
 ところどころに墓などが乱立している地下道。
 人通りのひの字もないほど完璧な無人の道。
 仮に何か蠢く存在がいたとするなら、それは間違いなく人以外の何かであるに違いない。

「って…へっ?」

 何かが動いた。
 地下道の端々に乱立する無造作に作られた墓。
 その墓と墓の間に、確かに何かが動いたような気がした。

「…………気のせい、か?」

 注意深く周囲を観察するが、特に何かが動いているような気配はない。
 やはり気のせいなのだろうか。
 神経を尖らせているため、知らず知らずのうちに疲労が蓄積され幻を見たのかもしれない。

「ふぅ、今日はこの辺に…」

「こんなところに人が来るなんて、久し振りですのぉ〜♪」

「…………」

 幻聴だ、そうだとも、そうに違いない。
 ひどく間延びした口調は神経を刺激し、脳に情報が達した瞬間にその情報は消去された。
 でないと、精神衛生的によろしくない。

「……そうか、俺は疲れてたんだな。
 じゃねぇと、幻聴なんて聞こえるわけ…」

「幻聴じゃないですのぉ〜!!」

「……やばい、本気でやばいな。
 こんな人通りのない場所で人の声、しかも間延びした間抜けな口調なんて聞こえるはずがねぇ」

「何気に失礼ですの〜」

「うっさい、黙れ幻聴。いいから黙っててくれ、主に俺の精神的衛生の為に」

「何気にひどい事を言ってますの〜」

 幻聴がなかなか消えない。
 どうやら本気で疲れているようだ。
 麻薬を長期に渡り服用すると重度の幻覚や幻聴に苛まれると聞く。
 もっとも、そう言った手を出したら人間として終わりのようなものに大河は手を出していない。
 これでも世間一般の常識などはちゃんと弁えているつもりだ。
 それでも幻聴が消えないという事を考えると、やはり極度の疲労以外に考えられない。
 あるいは、実は睡眠が充分に取れていないのも原因なのかもしれない。

「…ふぅ…よし、帰って寝るか」

「あ〜ん、帰ったら嫌ですのぉ〜」

 そう言って幻聴がガシッと大河の肩を掴んだ。
 最近の幻聴は肩を掴むまでに進化したようだ、世の中分からないものである。

「黙れ、幻聴。疲れている俺は帰って寝なきゃ…なら…ねぇ…」
 
 冷たい、全てはその一言で片付いた。
 そう、冷たかったのだ。
 大河の肩を掴んだその腕は、予想に反して異常なほど冷たかった。

「…冷たい……だと?」

「死体が冷たいのなんて当たり前ですの〜」

「………あ、流れ星」

「え、どこどこですの〜?」

 肩から手が離れたと同時に、大河は脱兎の如く駈け出した。
 振り返らず、脇目もくれず、背後の気配などないと言わんばかりに。
 それは、明確な逃走であった。


















◇ ◆ ◇


















 逃げる、脇目も気にせず、一直線に。
 それは敗北による逃走ではない。
 簡単に言うなら、それは間違いなく恐怖による逃走であった。
 長時間の無酸素運動により、筋肉に乳酸が溜まり一気に動きが緩慢になっていく。
 1度、2度と呼吸を行いながらも大河は足を止めることはない。
 それほどまでに、肩を掴んだ手の冷たさは恐怖であった。

「ゾ…ゾン…ビなんて……マジで…笑……えねぇ…はぁ…はぁ…」

 無人の地下道を後にし、そのまま一気に中央の花壇まで逃げて来た。
 足はフラフラで今にも倒れてしまいたい。
 だが、それは出来ない話だ。
 仮に追いかけてきてこの場で捕まったら、それこそ自身がゾンビの仲間入りしてしまうかもしれない。
 史上初の男性救世主候補がゾンビに捕まってゾンビの仲間になったなど笑い話にもなりはしない。
 いや、ある意味では笑い話なのかもしれないが。

「はぁ…はぁ…はぁ〜………ったく、いったなんだってんだ。
 いくら雰囲気あるからって、ゾンビはねぇだろ、ゾンビは」

「ほへっ? お仲間になりたいのですの? なら、早く言って欲しかったですの♪」

「……………」

 時が止まったような気がした。
 口から微かに漏れる熱い吐息が、夜の空気に一瞬に冷やされ白い霧と化す。
 まるで壊れたブリキ人形のように、ゆっくりとした動作で大河は背後を見た。

「そんな熱い視線を投げかけるなんて、ダーリン、実は溜まってますの?」

「NOOOOォォォ!!!???」

 再び、大河は脱兎の如く逃げ出した。
 全てを風に変え、光よりも速く。
 誰よりも速く、ただ速く。
 それは、まるでメロスのように。
 ちなみに、何が溜まっていたのかに関してはスルーの方向で。

「あ〜ん、待ってですのぉ〜!!」

「待てと言われて待つ奴がいるかぁぁぁぁぁ!!!!!」

 風を超え、音を超え、そして今、大河は―――― 光を超える。


















◇ ◆ ◇


















 轟音と共に閉められたドアの前で、大河は2度、3度と呼吸を繰り返していた。
 ドアに設置されている鍵を掛ける。
 幸い、この部屋を出る前に窓の鍵は既に掛けておいた。
 あのゾンビが侵入する可能性はほとんどない。

「え、えらい目にあったぜ」

その時、コンコンと誰かがドアをノックする音が部屋の中に響き渡った。
 まさか、またあのゾンビがやって来たのだろうか。

「大河、どうかしたのか?」

 だが、予想に反してやってきたのはアダムだったようだ。
 その事実に、大河は少しだけ安堵する。
 大河がドアの鍵を外し、ドアを開けるとドアの向こうには確かにアダムが立っていた。

「あ〜、いや何でもねぇよ」

「何でもないわりに随分と慌ててたみたいだが」

「何でもねぇって」

 言えない、言えるはずもない。
 まさか地下道に行ってゾンビ娘と遭遇し、あまつさえ追い掛け回されたなど口が裂けてもいえる筈がない。
 主に大河自身の名誉のために。

「まぁ、何でもないならそれでいいが。
 ところで、一つ聞いていいか?」

「あ? 別にいいが、何だよ?」

「後の褐色肌の少女は大河の知り合いか?」

 背筋が凍ったのは、まさしくその瞬間だった。
 背後から微かに感じる、強烈な冷気。
 部屋の温度が一気に10度も下がったかのような錯覚。
 まるで壊れかけたブリキ人形のように、大河はゆっくりとした動作で背後を見た。

「ここがダーリンの部屋ですの? いきなり自分の部屋に案内するなんて、ダーリンは情熱的で…」

 全てを聞き終わる前に、大河は脱兎の如く駆け出した。
 背後で誰かが叫んでいるような気がするが無視だ。
 当たり前だ、大河は今、真剣に命の危機を感じていたのだから。

「窓の鍵を外側から開けて部屋に入ったのか。あの少女、盗賊スキルが高いな」

 更に背後でアダムが何か感心したような台詞を口にしていた気がしたが、大河は当然のように無視した。


















◇ ◆ ◇


















 ゾンビであるなら、教会には近づけないはず。
 その考えに至ったのは、ゾンビ娘に追い掛けられてから実に30分後の事であった。
 それだけ動揺していたと言う事だろうか。
 いずれにしても、これでこの不毛な逃走劇にも終止符が打たれる……はずであった。

「こんなきれーなところに連れてくるなんて。
 ダーリン、もう結婚してくれるんですの?」

「あ……ありえねぇ」

 そう、本当に有り得ない。
 マジで有り得ない。
 何が有り得ないって、こうして神聖な教会の中にいるのに平然としている目の前のゾンビ娘が。

「んもう、さっきから逃げてばかりですの。
 少しは構って欲しいですの〜!!」

「い、いや…こっちとしてはそれこそ願い下げなんだが」

 いかに女好きの大河といえども、流石に死体を愛しむ異常な精神は持ち合わせていない。
 出来ればこの場で即刻昇天してもらいたいのだが、どう見ても昇天する気配はない。
 というより、ゾンビにとって鬼門といえる教会で平然としているゾンビ。
 もしかして、かなりの高位な存在なのだろうか。

「むぅ、ダーリンは意地悪ですの〜」

「ってか、ダーリンってなんだよ」

「ダーリンはダーリンですの。これから、け…」

「言うな」

 何が悲しくてゾンビ娘と結婚しなければならないのか。
 とりあえず、仮にも聖職者であるベリオがこの場にいてくれれば、何とかなるかもしれないのだが。

(ってか、もう遅いから今頃は自室か!)

 時刻は既に午後11時。
 どう考えても、ベリオは自室に戻っている時間である。
 本来であれば、この時点で八方塞であっただろう。
 だが、世の中と言うのは以外にどうなるかわらからないもの。

「あら、大河君、こんな時間に教会に何かようですか?」

 背後から聞こえてきた声。
 後を向くと、そこにはベリオの姿があった。
 その姿がやたら神々しく見えてしまったのは、きっと気のせいに違いない。

「い、委員長!! 本当にいいところに!!!」

「へっ?」

「助けてくれ!! 恥も外聞もなく頼む!! マジで助けてくれ!!」

「む、そんな大きな胸の女性が好みですの、ダーリン?」

「はっ? ダーリン?」

「いいから!! 出来ればゾンビを一撃で昇天させれれるような、そんな便利なものはねぇのか!?」

「え、ええ…確かゾンビでしたらラーグ式祝福儀礼が施された聖水が効果的ですよ」

「今持ってるか!?」

「は、はい。持ってますが」

「今すぐにこのゾンビ娘に掛けてくれ!!」

「へっ? この子、ゾンビなんですか!?」

「むぅ〜、酷い言い草ですの。
 確かにゾンビですけど、少しぐらいゾンビの人権を尊重してくれてもいいと思いますの〜」

「死人に人権もくそもねぇだろ!!」

「というか、本当にゾンビなんですか!?
 な、なら、この聖水で昇天しちゃいなさい!!!」

 ベリオは遠慮なんて欠片もなしに、小瓶に入っていた聖水をゾンビ娘に掛けた。

「こ、これでこのゾンビ娘は昇天するのか?」

「はい、平均的な不死者クラスなら一滴で昇天するほど強力なものですから」

 なら、これで一安心だろう。
 ラーグ式祝福儀礼が施された聖水は不死者に対して抜群の効果を発揮するらしい。
 ましてや平均的な不死者を一滴で昇天させられるなら、小瓶に入った聖水を全てその身で直に浴びたゾンビ娘が平気であるはずがない。
 これでようやくゾンビ娘の追跡から逃れる事が出来る。

「んもう、いきなり水が掛けてくるなんて、酷いですの〜!!」

 だが、目の前のゾンビ娘は平然としている。
 まるで、唯の水を掛けられた少女のように。

「そんな、馬鹿な…」

 呆然とするベリオだが、それは仕方のない事。
 実際、大河自身も呆然としていた。

「効果が、ねぇだと…!?」

「そ、そんなはずは!?」

 だが、どう見てもゾンビ娘が昇天する気配はない。
 完全に無効化しているようだ。
 信じられない、そんな事がありえるのだろうか。

(ッ、気をしっかり持て!!)

 実際に目の前で起きていることを否定するなんて愚の骨頂。
 愚か者のすることだ。
 ならば、大河のすべき事は目の前の出来事を避退するのではなく、受け入れ、事態を打破する事に他ならない。

「ちっ、しゃねぇな……来い、トレイター!」

 その手に、トレイターが握られる。
 強力な聖水が役に立たない。
 ならば、やるべき事は1つだけだ。
 そう―――― 召喚器という強大無比の力を持って、目の前のゾンビ娘を抹殺する。

「た、大河君! まさか、ゾンビ相手に召喚器を!?」

「ってか、それしかねぇだろ!? 聖水が効かねぇんだからよ!!」

「た、確かにそうですが」

 ベリオとしては、こんな事に召喚器を使いたくはないようだ。
 とはいえ、不死者であるにも関わらず聖水の効果がない以上、目の前のゾンビ娘は見た目に反してかなり高位な存在なのかもしれない。
 だが、大河にとってそんな事はどうでもいい事なのだ。
 大河がやるべき事など、たった1つだけなのだから。

「っていうか、さっきから失礼なことばっかり言われてますの!
 人権侵害ですの! 人は平等であるべきですの!」

「いや、死人のお前にそれが該当するとは思えねぇ」

「むぅ、確かに頭とか手とか取れたりしますけどぉ、いくらなんでも言い方ってもんがあるですの〜!」

「すっげぇフリーダムだな、おま……」

 いや待て、今、頭とか手が取れたりとか言わなかったか?

「頭が取れる?」

「はいですの」

「手も?」

「む、疑ってますの? なら、これでどうですの?」

 そう言うと、ゾンビ娘は遠慮なく自分の頭を持ち上げた。
 首の付け根の部分から外れ、体と頭が離れる。
 そう、完全に離れていた。
 常人なら、この時点でパニックを起こすこと間違いなし。
 だが、大河は咄嗟にパニックになろうとした自身を抑え付けた。
 しかし、その背後にいたベリオはそうもいかない。

「あ、あ、あああ、あた、あたたたあたあたままあたまががががが………ッ!!!???」

 混乱しているようだ。
 もっとも、常識的に考えるならベリオの行動が正しいとも言えるわけで。

「……ッ………あっ」

「って、委員長!?」

 バタン、とベリオは気を失った。
 もしかして、ベリオは聖職者でありながらお化けとかのホラー物が苦手なのだろうか。
 というか、それしか考えられない。

「さぁダーリン、一緒に人生の墓場までレッツゴーですの♪」

「頭を外せれる人外相手は思いっきりアウトだ!!」

 誰が好き好んで自分の頭を物理的に体から外すことが出来る相手と結婚できるか。
 確かに大河は女好きだ。
 目の前のゾンビ娘は、まぁ存在定義は別として美少女なのは間違いない。
 本来であれば、大河のストライクゾーンに入るかもしれないが、頭を物理的に外せれるとういう人外設定故にストライクゾーンから大きく外れてしまった。
 本当の意味で人生の墓場まで行くつもりなど、大河には一切ない。

「と、とりあえず、この場でこのゾンビ娘をぶった切れば」

《主よ、このような事に我を使うな》

 大河の脳裏で男の声が響き渡る。
 この声の主こそ、大河の相棒である召喚器トレイターの声に他ならない。

「いや、今は本気の本気で命の危機を感じるんだが」

《だとしても、このような間抜けな出来事で救世主候補としての力を振るうのは、いささかどうかと思うのだが?》

「でもよ、本気で俺の命の危機を感じている。
 生きるために全力を尽くすのが、生物の務めだと思わねぇか?」

《格好よく決めているつもりなのかもしれぬが、決めるべき場面が間違っている》

「うっせ!!」

 とにかく、今は目の前のゾンビ娘を撃退するのが一番重要事項だ。
 だからこそ、構えたと同時に自分の真横を通り過ぎた、黒い鞭のようなものに大河は一瞬だが唖然としてしまった。
 バシン、といい音を響かせながら鞭はゾンビ娘にヒットする。

「む、むぅぅ、何かが当たりましたの〜」

 だが、ゾンビ娘はこれといったダメージを受けているわけではないようだ。
 耐久性も見た目以上にあるのかもしれない。
 いや、それ以上にだ。

「ったく、こんなところで起きるつもりなんてなかったのにねぇ」

 背後から聞こえてくる声。
 大河は慌てて後ろを確認した。
 そこにいたのは、紛れもなくベリオ・トロープが立っていた。

「い、委員長?」

 だが、違和感がある。
 そうだとも、それは致命的な違和感だ。
 そもそも、

「はっ、にしても、なかなか面白さそうな事になってるじゃないか」

 ベリオはあんな口調ではない。
 何より、あんな人を馬鹿にしたような笑みを浮かべることなどないはずだ。
 姿はベリオだが、その姿が普段のベリオからどんどんズレていく。
 だからこそ、

「お前、いったい誰だ?」

 大河がその台詞を口にするのは、あまりにも普通であった。
 
「その前に、邪魔者には退場してもらわなくちゃねぇ」

 そう言いながら、ベリオは鞭を縦横無尽に振るいゾンビ娘を滅多打ちにする。
 だが、ゾンビ娘は特にダメージを受けているような様子はない。

「むぅ、よくわかりませんけど。
 ここは空気を読んで退却した方がよさそうですの」

 そう言いながらゾンビ娘は頭を定位置に戻した。
 なかなか器用である。

「では、ダーリン、I Love Youですの♪」

 すっごく楽しそうにゾンビ娘はその場から離脱した。

「すっげぇ、フリーダムだ」

「さて、それじゃ改めて自己紹介しとくか。
 アヴァター初の男性救世主?」

 その笑みは、明らかにベリオと違っていた。
 興奮と悪意が入り混じったような、複雑な笑み。
 だからこそ、今度こそ大河は確信した。
 目の前のベリオは、ベリオではないのだと。

「闇夜に舞う虹色の蝶」

 勢いよく法衣を脱ぎ捨てるベリオ。
 その下から現れたのは、いつかのキワドイ衣装だった。

「ブラックパピヨン、見参!!」





【元ネタ集】

ネタ名:ラーグ式祝福儀礼
元ネタ:ヘルシング
<備考>
イスカリオテ所属のアンデルセン神父が使用していた銃剣の祝福儀礼から。
主に不死者などに対して絶大な効力を発揮する。
ラーグ式祝福儀礼も、不死者などに対しては絶大な効果を発揮する。
はずなのだが、どういうわけか今回登場したゾンビ娘には一切効果がない模様。




あとがき

さて、今回登場したゾンビ娘の正体は不明です。
バレバレだろうと不明なものは不明なんです。
だから、不明なんですってば。