落ちる。
堕ちる。
これを、墜落、と呼ぶのだろう。
仮面ライダーフェンリル、天原翔矢は、自身の相棒――スレイプニルと共に、ある場所に落着した。
DUEL RIDER
1.狼と雪
「ここは…」
墜落した現場で、翔矢は周囲を見回した。
石造りの建物の中だった。薄暗く、壁に灯されている炎だけが唯一の明かりだった。
その空間に目が慣れてきた頃に、足元を見る。
何かが描かれていた。何らかの規則に基づいて描かれている幾何学模様。
「成程…こいつが門、だったわけだ」
一人納得し、もう一度周囲を確認する。
そして、それほど離れていない場所にもう一人、倒れているのを発見した。
「女…か?」
ゆっくりと近付いていく。
油断は出来ない。この世界は、全てが自分の敵である可能性がある。この場所ですら、牢獄で、誘い込まれたのかもしれない。
「ん…んぅ……」
女が小さく声を漏らした。
「……」
無言で立ち止まり、様子を窺う翔矢。何が起きるかわからない。いきなり襲い掛かられるかもしれない。
そう思うと、翔矢はアルタークを出現させた。
「…っ、くぅ〜……」
女が目を覚まし、上体を起こすと体を伸ばした。小柄な体格ではあるが、自己主張の強い体をしているため、その行動はある意味目の毒でもあった。
だが、翔矢はそれを気にしない。運が良かったなどとも考えない。
「ん…君は、誰?」
女が翔矢に問いかける。
「……」
無言でただ睨む。
「……状況を聞きたいの。これは、どういう状況なのか、ここはどこで、君は何者なのか。そういえば、申し遅れたね。私は雪代七海。多分、君の敵じゃない」
「多分?」
「情報が少ないだけだから。お互い、まだ情報も何もないでしょう?少し、情報交換しない?」
女――七海に言われ、翔矢は一瞬考え込んだ。
そして、
「いいだろう」
承諾した。
互いに、情報を小出しにしながら話を勧めていった。
翔矢は七海が他の世界で『ビシャス』と呼ばれる怪生物と戦っていた戦士であるということを知り、逆に七海にはビースト、反信徒と戦っていた仮面ライダーと名乗る戦士であることを明かした。この時点で共通世界の出身である可能性はなくなったが、似たような発展を遂げた文明世界の出身であることだけは判明した。
「で、私はとある場所に現れた歪の調査中に、呑み込まれて気付けば君がいたって言う状況。そっちは?」
「似たようなものだ」
実際は違う。
だが、真実は話せない。どこに監視の目があるかもわからない。ここが牢獄である可能性もまだゼロではない。
それよりも、スレイプニルが目立つ。隠す場所のないここではどうにもならないかと思ったが、そんなことを考えているうちに次第に姿を消していった。
どうやら、テンペストとヘイムダルだった頃以上に権限が強化されているようだった。それが、スレイプニルの封印消去。必要なときには呼び出すという実に都合のいい権限だった。
「凄いね。そんなことも出来るんだ」
「出来るらしい」
そんなことを話しながら、足音が複数近付いていることに気付く。
そして、そのまま部屋の扉が開いた。
「これは…また、男女二人の召喚?」
女だった。
一瞬、この世界に来てから女にしか会っていない、などというどうでもいいことを考えた翔矢だったが、すぐにその思考を葬り去った。そんなことはどうでもいい。
目の前の女達が敵かどうかだ。
一人は赤い髪の、落ち着いた雰囲気の女性。
もう一人は無駄に胸の大きい女性。
最後に一人は小柄な、長い髪を両側で纏めた、ツインテールの少女。
雰囲気だけ見れば、赤い髪の女性が上級者のようだが、この場での権限を持つのはツインテールの少女のようだった。
「今回はどうなのかしら?」
胸の大きな女が少女に問いかけた。
この時点で翔矢と七海は置き去りにされている。
「今回も赤の書からは何の反応もありませんでした。先日と同一のケースであるとは思いますが…」
少女は答えを示さなかった。いや、寧ろ示すことが出来なかったのだろう。これは、完全に少女にとってもイレギュラーなケースなのだから。
「えっとぉ…説明は受けているのかしら?」
胸の大きな女が翔矢と七海に問いかける。
「説明?それは何のことだ?それから、俺とこっちの女は無関係だ。そもそもの世界が違う」
「あら。ここが違う世界だってことまでは理解してるのねん?」
胸の大きな女の口調はどこか人を馬鹿にしたようなものだったが、その程度では翔矢を怒らせるには至らない。ましてや、人間の持つ欲望というものがかなり希薄な翔矢にとって、胸の大きな女の過度の露出もどうでもいいことでしかなく、ただ敵かどうか、それだけが問題だった。
「ここは、根の世界。アヴァター。ここは全ての世界の根元にあるの。えっと…」
「木で例えればいい。つまり、ここは木で言えば根の部分。そして、他の世界は枝や幹。または葉や果実。そういうことだろう?」
「理解がいいのね…」
胸の大きな女が口の端を引き攣らせている。自分の出番をとられたことが多少は悔しかったのだろう。
「で、続きは?」
「え?あ、あぁ…でね、この世界は千年に一度、滅亡の危機を迎えるのよ。破滅という、謎の軍勢の襲撃を受けるの。そして、破滅の軍勢に立ち向かえるのは異世界より召喚される救世主。救世主が誕生すれば破滅は滅び、世界は救われるのよ。そして、自分の望みが何でも叶うの」
破滅。千年周期で現れる謎の軍勢。あまりにも規則正しすぎる上に抽象的だった。姿が見えてこない。
話が出来すぎている。現象にしては周期がはっきりしている上に、間の時間が長い。
そして、翔矢は納得する。よくよくキズナ等の話を思い返してみれば、元々、彼らの主は争いを好まなかった上に、世界の管理者というよりは、世界を見守るものだったらしい。そして、自分が世界を管理していくことにそれほどの意義も見出しておらず、世界が良い形で続いていくのであればいい。それだけだったようだ。そんな存在が、自分の世界の奪還の為にキズナ等やビーストを生み出し、試練としてみたり、自分の存在を秘匿するために破壊の力をテンペストに宿し、救いの力を隠した。
そう、キズナが敬愛した主らしくない行動だったのだ。
つまり、彼らの主は侵略された時点で見抜いていたのだろう。侵略者の醜い部分というものを。
そして、そのような存在から全てを救うために、短い時間で試練や、戦士を用意したのだろう。
「…要は、ここに呼び出されたものには、救世主になりうる資格があるかもしれない。そういうことでいいんだな?」
翔矢は、キズナたちの主の思惑を理解し、敢えて、この世界の思惑に乗ることにした。
七海に関しては知らないが、翔矢は彼女らの言う救世主としての前提条件――召喚によって世界に導かれる、を満たしていない。その時点で救世主になる資格はない。実際、なるつもりもない。
結果としてはそうなるかもしれないが、それは彼が守りたいものを守るために行動したことに伴う結果に過ぎない。
「ええ。そうです。その為の選定試験をお二人には受けていただきます」
ここで、赤い髪の女が話に加わった。
「学園長。いいんですか?あちらはともかく、こっち、男の子ですよ」
胸の大きな女が赤い髪の女に問いかけた。
「構いません。大河君という前例がある以上、試す価値はあるでしょう」
「まぁ…そうかもしれませんけど」
胸の大きな女が引き下がる。
「あの」
「何でしょう?」
ここでこれまで完全に忘れられていた七海が声を発した。
「選定試験って、何をするんでしょう?」
「…お二人には、危機に陥っていただきます」
「「は?」」
そこは、闘技場のようだった。
そして、観客席が用意され、晒し者になっている気分になる。
「救世主候補の誕生は、国の者にとって、大きな関心事ですから」
赤い髪の女――ミュリエル・シアフィールド、王立フローリア学園学園長にそう言われてしまっては、もう、何も言えなかった。更に、翔矢にいたっては元々何も言うつもりもなかったようだ。
七海は自分が一人から回りしている気分になるが、気にしないことにした。気にしてると禿げる。気のせいかもしれないが。
二人で闘技場の真ん中に立っていた。
「何でまた、セットでなんだろうね?」
七海は翔矢に問いかけるが返事はない。
「返事してよ。お姉さんのいうことぐらい聞きなさい」
未成年の翔矢に対し、七海は成人女性。年上として、年下をリードするのが常だったのかもしれないが、相手が悪い。
そんなことをしている間に、闘技場の奥にある巨大な鉄格子が開き、巨大な何かが歩いてくるのが見えた。
「あれ、何だと思う?」
「さあな。どちらにしろ…現状では俺達の共通の敵だ」
「同感」
言いながら、七海はそっと右の拳に手を添えた。そこにある、聖痕を包み込むように。
それに対し、翔矢はアルタークを出現させると右腕を左上に突き上げ、左腕を腰の辺りに引きつける。
「テンペスト…」
翔矢のその声が起点となった。
翔矢の右腕が弧を描くように左から右へと移動していく。そして、ある一点で右の拳を強く握り、左頬の横に持っていく。
「変身ッ」
「クリスタライズ!」
その声は同時だった。
翔矢の右腕が振り下ろされ、左腕が突き上げられると同時に、七海の聖痕から光が溢れた。
二人の姿に同時に変化が起きる。
翔矢の姿が青き狼の化身、嵐の名を冠する戦士の姿に変わり、七海の体を純白の戦闘衣が包み込んでいた。
「クリスタルスノウ、トップギア、インッ!!」
七海の変身したクリスタルスノウは右手に大きな宝玉のついた篭手を持っている。どうやら、それが武器のようだ。
「へぇ…カメンライダーって、本当に仮面を付けてるんだ」
「そっちこそ。まさか顔を晒したまま戦うとは思ってもみなかった」
あまり、緊張感を感じられない話をしているが、その間に巨体――ゴーレムが接近していた。
「さて…」
ゴーレムを一瞥し、テンペストは気付いた。
視られている。視線の元は、ミュリエル。そして、あの胸の大きな女――ダリア。
(そういうことならば)
テンペストはクリスタルスノウに耳打ちした。
「全力を出さずに、タイミングを合わせて一撃で決める。出来るか?」
一瞬、驚いた顔をするクリスタルスノウだったが、すぐに笑みを浮かべた。
「オッケー、翔矢君」
「名前で呼ぶな」
それが合図だった。
鈍重なゴーレム相手に、テンペストが全力で走る必要はない。ただ、駆ける。それでも生身の人間以上の速さを誇る。
完全に背後を取った時点でクリスタルスノウと視線を合わせる。
互いに小さく頷くと、同時に飛び出した。
全力である必要はない。だが、目の前の敵を一撃で粉砕できる程度の力。それが必要だった。
だからこそ、テンペストは蹴りを。クリスタルスノウは篭手――サークルジュエルを用いた拳打を。
そして、二人の攻撃は容易にゴーレムの体を砕き、破壊してしまった。
(爆発しない…やはり、あのときの獣人はこの世界の産物か)
その結果に、テンペストは一人、過去のことを思い出しながらミュリエルとダリアの様子を伺った。
狙い通り、こちらの力を測りかねているようでもあった。あとは、お互いに申し合わせてこちらの能力を召還器によるものだと言っておけばいい。
それで、暫くは誤魔化せるはず。
だが、
(暫く、ミュリエル・シアフィールドはマークしておいたほうがよさそうだ…)
テンペストは気を抜くことはしなかった。
観客席にて。
「あいつ…」
少年、当真大河はテンペストの姿を見て拳を強く握っていた。
彼はテンペストを知っていた。天原翔矢を知っていた。
「大河くん?」
その雰囲気の異常さに気付いたのか、修道服に身を包んだ眼鏡の少女、ベリオ・トロープが声をかけるが、大河はそれに気付くことなく、ただゴーレムを粉砕したテンペストを睨んでいる。
「…トレイター」
ポツリと、声が漏れた。
その声に呼応し、彼の手に一振りの剣、トレイターが握られた。このトレイターこそが召還器である。そう、当真大河は救世主候補なのだった。
「俺は…あの人殺しを許さない」
言った直後、彼は観客席から飛び降りた。
通常の人間であれば死ぬか大怪我をする高さだった。だが、大河は怪我もしなければ死にもしない。
それは、彼が救世主候補であるその一点に尽きる。救世主候補は召還器を得て、更に強い身体能力を得る。その恩恵の元に大河のような無茶を実行可能となるのだ。
大河は一直線にテンペストへと向かっていく。
(あの頃の俺は…あんな超人じゃなかった。だけど、今は違う。今なら勝てる!!)
トレイターを振り上げ、距離を詰めようとしたところでテンペストが姿を消した。
「何ッ!?」
理解できずに立ち止まってしまう大河。
周囲を見回し、そして、観客席の柵の上に立っているのに気付いた。
「くそっ…!」
慌てて駆け出す大河だったが、その行動を見ていながら、テンペストは変身を解いた。
「お前…俺と同じ世界の出身か」
そして、問う。
「あぁ。そして、俺は人殺しの貴様を許さない。お前は俺が殺す」
「俺が殺したわけじゃない。第一、俺が奴の罪全てを背負う必要はない。俺に、そう教えてくれた人がいた。だから、俺はそう信じて生きている」
「お前が償わずに誰が償うんだよっ!!」
大河が跳んだ。
「このっ…人殺しがぁあああああああああああああっ!!!」
大河のトレイターが翔矢を襲う。
「俺は、どんな状況、どんな相手にも負けることは許されない。だから、いくぞ…テンペスト、変身!」
変身、テンペストとなった翔矢は造作もなくトレイターの一撃をかわして見せた。
その姿に、その場にいた者たちの態度が一変する。
「全身に装着する召還器!?」
「そんなものが…あるでござるか?」
実は、救世主クラスの一同はこの場にやってくるのが遅れていた。校外訓練から帰ってきてみれば新しい仲間がいると聞かされ、辿り着いたときには戦いは終わっていたのだ。
そして、翔矢の変身を初めて目の当たりにした反応がそれだった。
「五月蝿いっ!」
大河の大振りな攻撃をかわすテンペスト。
それが客席の中で行われているのだ。これは大きな問題だろう。
テンペストは大河がトレイターを振りかぶった瞬間、彼を抱えて闘技場の中心に降り立った。
「くそ…!」
思うようにいかず、悪態を吐く大河。完全に周りが見えていない。
「雪代。上に行っていろ」
「あ…うん。いいけど、大丈夫?あと、年上なんだからさんぐらい付けてもいいんじゃない?」
「俺がそんなことを言うのを想像できるか?」
「できない」
「だったら言うな」
そんなやり取りの後、クリスタルスノウはサークルジュエルを地面に叩きつけ、大きく跳躍した。そして、観客席に辿り着く。そこには救世主クラスの一同がいた。
「ふぅ…彼、何なの?」
関係者であることはわかっている。だから、問いかけた。
だが、多くの者が彼の行動の理由を知らない。ベリオも、マントを羽織った赤い髪の少女――リリィ・シアフィールドも、忍者姿の少女――ヒイラギ・カエデも、ミュリエル、ダリアと共に翔矢と七海の前に姿を見せたツインテールの少女――リコ・リスも。誰も何も知らない。
ただ一人を除いて。
一同の視線がある一人に注がれていた。
当真未亜。当真大河の義理の妹にして、彼と同じく救世主候補。そして、かつて翔矢と衛次が人が消えたという通報で駆けつけたとき、消えた当の本人である。
「あの…わたしと、お兄ちゃんは…あの人と同じ世界の出身なんです。それで……」
未亜は言いにくそうに俯いた。
だが、変身を解いた七海がそれを許さなかった。
「今、この状況を止めるカードを持ってるのは君だけだよ。そこを、わかって欲しいな」
「…それで、あの人のお父さんは、殺人鬼だったんです。そして、告発したあの人を、世間は人殺しの子供と、呼んだんです。お兄ちゃんもそうでした。そして、そんな彼と交際していた人が、怪物に殺されて、彼もあの姿になって怪物と戦い始めたんです。犠牲者も出てました。
だから、お兄ちゃんは余計に許せなかったんです。自分達が人殺しの子供に守られてるって現実と、その人殺しの子供が、人々を守りきれてないっていう現実が」
誰も、何も言わなかった。
ただ一人、ベリオだけが何か言いたげだったが、言わずにいた。
「ふぅん…まぁ、異端視される理由はわかるよ。でも、それを理由にしても、さっきの行動はいただけないかな。手を出さずにいる翔矢君が可哀想」
七海はその場の全員から視線を外し、未だに続く戦いを見て言った。
「あなた達って、世界を救うのが役目でしょ?世界を作るのはね、そこにある命だよ。彼は、その命を無視した。自分が忌み嫌う人殺しに、自分からなろうとした」
言われて、さっき大河がトレイターを振り回した観客席に目をやった。既に兵士による誘導が行われ観客は残っていなかったが、闘技場から出て行く人の中には涙を浮かべながらこちらを睨んでいる人もいた。
こういうことなのだ。大河の行動が引き起こした現実というのは。
「あなた達、さっき翔矢君が姿を変えたとき、ただ驚いただけであっちの彼の行動を咎め求めもしなかったでしょ?あまり、がっかりさせないでよ」
ここまで言われて、流石に皆が凹んでいた。
自分達のありようが完全に否定されたのだ。
たしかに、救世主になるという目標に心奪われ、目の前のことを見落としていたのかもしれない。
そして、未亜が初めに動いた。
「ジャスティ」
その手に、弓形の召還器――ジャスティが出現する。矢を番え、テンペストと大河の間に打ち込んだ。その瞬間、大河の動きが止まった。
今まで、何をしていた?
ただ闇雲に、相手憎さにトレイターを振り回した。
どこで?
奴が逃げ込んだ、観客席で。
そう、観客席で。
「気付いたか」
テンペストは変身を解き、力なく、呆然としている大河に近付いた。
「お前のしたことの結果がこれだ」
閑散としている観客席。
通常であれば、まだ新たな救世主候補の誕生に沸いていたであろう観客席。それが、閑散としている。
それは、考えなく、ただ憎い相手を追い掛け回した大河の行動の結果だ。
「お前が、何故救世主になりたいのかは知らない。だが、救世主だろうと、世界のために戦うのなら、守る者だ。たしかに、いつか切り捨てるときも来るかもしれない。だが、お前は、何の考えもなく、守るべき者を、牙を持たない者たちを危険に晒した」
目の前に立ち、拳を強く握り締める。
そして、全力で頬を殴った。
「救世主、失格だ」
to be continued…
the next episode
2.救世主クラス、実戦待機チーム発足
後書き
セナ「はい、デュエルライダー初回です」
リリィ「いきなり大河が駄目な奴に成り下がってるじゃない」
セナ「結構な激情家であるというのが僕の見解でして」
リリィ「それにしても…救世主クラスの存在が紙屑並みに薄いわね」
セナ「そりゃあね。次回の時点で、救世主クラスとの接点が更に薄くなりますから」
リリィ「そうなの?」
セナ「そ。それで、いろいろの事件やら、ディケイドの面子との出会いやらを描いていって、で、本編の重要イベントはしっかりと全部押さえていこうかなっていう程度。あ、でも召喚の塔爆破の後の禁書庫での戦いには関与しません」
リリィ「どうして?」
セナ「そりゃ、この作品でのキャラクターの立ち位置はこうだから」
神・大河(完全)・フェンリル>通常の仮面ライダー・クリスタルスノウ>破滅の将・救世主候補>傭兵他>一般人
リリィ「救世主候補って仮面ライダーとかよりも下なの?」
セナ「僕見解ですけど、パンチや蹴り一発でコンクリートの塀を粉砕できる連中と、壁を殴り続けて血を流す救世主候補。身体能力とかでどっちが上でしょう?」
リリィ「仮面ライダーよね」
セナ「さらに、クリスタルスノウに至っても全力パンチでクレーターぐらいは作るので。それぐらいなら仮面ライダーと同列ぐらいかな、と」
リリィ「で、それがどうして禁書庫の戦いに関与しないことになるのよ」
セナ「だって、大河も未亜も契約できないことになるから」
リリィ「あ」
セナ「君達より強い以上、どうしたって最下層に到達するし、破滅の将より上である以上、イムニティを押さえ込んじゃうし。物語が破綻してしまうし。
それに、原作では救援要請の事件になって漸く大きな展開になっていくわけだけど、その前には何もなかったのかな?と」
リリィ「それが私達との接点が薄くなる理由?」
セナ「そういうこと」
リリィ「…まぁ、あの壊しっぷりを見てれば、納得するしかないわね」