見渡す限りの荒野。
天に浮かぶは1対の歯車。
周囲は焔に包まれ、世界は赤く染まっていた。
I am the bone of my -----
-----ismybody, and -----ismyblood
We have created over athousands -----
Unaware of loss,
Nor aware of gain
Withstood pain to create weapons,
waiting for one's arrival
I have no regrets. This is the only path
Mywholelifewas "Unlimited broken works"
「いくぞ雑菌王、――――――武器(の貯蔵は十分か」
「ア○パンマンかよ!!!!」
目覚めは、悪かった。
D
第四話 前半
いくら防御障壁を備えているからといって、寒さまでしのげる訳ではなく
従って廊下はかなり冷え込んでいる。
寒さに耐えながら、洗顔をしに洗面所にいく龍平。既に「寒ぃ」を十数回連呼していたりする。
目的を果たして自室に戻る途中、前方から幼女がふらふらしながらやって来る。
「おはよおございます〜」
「……あぁ。おはよう。ぶつかるなよー」
「はい〜だいじょうぶです〜」
と洗面所に向かう桐子。洗面所の方にふらふらと近づいていき、その目の前には壁が……
「な! 危ねぇ!!」
すぃぃ
「ス、スウェーバック!!!!」
龍平唖然。それもそのはず。当たる寸前で見計らったようにスウェーバック。そのまま、流れるようにサイドステップ。
何事も無かったかのように、ふらふらしながら洗面所に入っていったのだから。
桐子、素晴らしい回避能力を持っている。
「もしかしたら世界がとれるかもしれないな」
と真剣に考え込む龍平。「明日のために」を書き始めそうな雰囲気だった。
現在、午前7時。今日は授業開始前日だったりする。
昨夜の会合は23時まで行われた。
龍平が『下弦』に無事入り込めたのが、18時。それから軽く自己紹介した後に
残り物の、といってもかなり凝った夕食を頂く。(17時頃夕食にするのが習慣らしい)
本格的に自己紹介開始。このころには既に北川は完治していた。
三枝さんの腕のよさもあるが、恐るべき生命力である。
「でですね〜、ワタシは2回生で医療科なのですよ〜」
「そりゃ、その白衣見れば医療科って判るけどさ……ん〜」
「どうしたんですか〜?」
「そりゃ、チビ助の容姿を見たら誰だって歳疑いたくなるぞ、なぁ?」
「自分も同感だ」
「はわわ。なんか酷いこといわれてますね〜」
「まぁその通りだと俺も思う」
「ふぉろ〜してくださいよ〜」
会話に三枝さんと北川兄妹が参加して無いのは、後遺症の確認のため、まだこちらには来てないからである。
枇杷桐子。2回生医療科所属。ランクは『医療(:A-』
背丈140程度のちびっ子。濃茶の髪を左右で括っている。日中は常に白衣を着用しているらしい。
2回生では飛びぬけた実力であることは疑いようの無いことである。
他の学園では3回生で『医療:A-』か、それ以上のランクを持つ学生が殆ど居ないことと比較して欲しい。
このほわほわした幼女のどこにそんな叡智・技術が詰まっているのかは不明。
「ってことは一回生で『ドクA』だったってことか!?」
「はい〜そうですよ〜昨年そうなりましたから〜」
「うわ……あり得ねぇ……夢じゃないよな、これ」
「ああ、残念ながら。俺も最初聞いたとき、自殺しようかと。」
「右に同じ。」
「……みなさん酷すぎますよ〜」
涙目になる桐子。宥めたり、フォローしたりしてなんとか泣かなかった模様。
「泣くと、周囲の人間が卒倒するからさ」とは零の談。
「ふぅ、危なかったぁ。それじゃ再開しようか。次はじゃぁ、俺で。
俺は3回生だから、轟やお前さんと同じ……だよな?」
「ああ。そうだな。間違いがなければだが」
「ふむ。で所属は『兵』と『魔具』。ランクは『武:B』の『魔具:B+』だな」
「おいおい。二つ所属でどっちもBかよ……」
「尊敬したか? 轟も似たような者だが、なぁ?」
「……ああ。自分は『兵』『武具』所属。ランクは『武:B+』『武具:B-』だ」
「うわぁ……なんちゅーレベルだよ。二人とも……」
西塔零。三回生兵科及び魔具科所属。ランク『武(:B』『魔具(:B+』
180を越す長身の青年。蒼髪をぼさぼさにしたかなりの美青年といえる。ただ、目つきの悪さが目立つが。
腰に付いているホルスタから出ている銃が得物。
轟研児。三回生兵科及び武具科所属。ランク『武:B+』『武具(:B』
175程の剣士。和服・刀標準装備。黒髪を伸ばしに伸ばして腰までの長さに。散らばらないように肩辺りで一度結っている。
一言で言わせてもらえれば、正に「流麗」であろう。
学園で2つの学科に所属することは珍しくない。特に“道具”系の学科と“戦闘”系の学科の組み合わせは多い。
しかし、2つの学科を取るということは、逆に言えば一つに絞りきれてないことである。
故に、両方とも高ランクになることは非常に難しい。
それをこの二人は実践しているのである。
「で、お前さんは?」
「ああ。俺はお前らと違って、“研究”系に属してるよ。」
「「「は?(ほへ?)」」」
「あ、一応『医療』にも属してるか。ランクは」
「え〜〜〜〜〜?」
「んな馬鹿な!!」
「……」
「……なんで、そんなに驚くかなぁ……」
「いやいやいや。だってあの“研究”系だろ?」
「お前さんたちが何を想像してんだが知らないけど、一応そうだ。『物現』の生体専門だけどな」
「おいおい……。まじかよ……。お前のキャラじゃないって」
「人のキャラを勝手に決め付けんな!」
彼らがこういうのも無理は無い。“研究”系の生徒、専門家は皆総じて「虚弱」なイメージが付きまとう。
“研究”系は他の科と掛け持ちすることも殆ど無い。なぜなら、研究対象がそれこそ無限に思えるほど
大量にありすぎて、研究を終えることがなく懸かりきりになってしまうからである。
対して、龍平の姿はというと……
「どこにそんながたいの良い研究者がいるんだよ。小さいけど」
「最後も余計だ!」
なのである。身の丈は目の前に居る二人よりも小さい165程度とはいえ、
その胸板の厚さといい、短く揃え前髪をツンとたてた髪型といい、「研究者」ではなく「兵」としか見えない。
そういう意味でかなり異端な「研究者」である。
「兎に角、俺は『物現』『医療』所属。ランクは『精神医療(:A』」
「「「……」」」
「まぁ、ランクの方は研究の成果も加味されてるしな」
(((龍平って何者?)))
3人が不躾な視線を龍平に向けていた。
“研究”系が他の分野に所属し、しかも高ランクを取得するのが異常だということの表れである。
ここで、学園・ランクについて説明したい。
学園の入学許可を許されるのは、中等教育を受けた15歳以上の人間である。
勿論、高齢の人間も受け入れているのだが、数自体は非常に少ない。
学園は、多数の学科に分かれて、知識・実践の場を与える。義務教育の様に強制ではなく、
そういった意味で自由なのである。つまり、「場を与えはするが、それを生かすも殺すも自分次第」という訳だ。
学科は次のように分かれる。
徒手空拳、あるいは武具・魔具、また魔道を用いた戦闘を実践する『兵科』
戦闘で使用する道具や魔道を用いない電気機器・道具を作成する『武具科』
魔道を基本とした戦闘用道具やそれ以外の用途の道具を作成する『魔具科』
俗に、この二つを総じて“道具”系という。
一般に内科や外科といわれる、「武具」を使用して治療する“医療”、魔道を応用して治療する“魔道医療”
そして手術等で解決できない精神的な問題を治療する“精神医療”を扱う『医療科』
物理現象、生体現象、経済現象、果ては神秘現象を扱う『物理現象研究科』
“none but all”と言われるエーテルを元とされる魔道現象を理論立てようとする『魔道科』
現在の現象ではなく、過去に焦点を向け過去を探る『史跡科』
これらを合わせて“研究”系と呼んだりする。
そして、中等教育よりも発展させた、専門を求めず広く一般知識を学ぶ『普通科』がある
3年間学園で学ぶことが出来る。その後は、学園の付属施設である研究所へさらに研究を深めたり、
社会に出て仕事を探したり、専門職に就いたり、冒険に出たりと様々である。
ランクも学科と似たように分類され、それぞれD.C-.C.C+.B-.B.B+.A-.A.A+.S.SSの十二段階に分かれる。
SSランク保持者のうち、特に優れた者に対しては、称号を与え特権を与えられるらしいのだが……
ランクの種類は以下の通り。
単純な強さだけではなく、戦闘の巧妙さも考慮されて段階化した『武(』
戦闘を含めて、魔道の威力・精確さに長けている事を段階化した『魔(』
作成する道具の使いやすさや汎用性の有無等、製作物の完成度の高さを保障する『武具(』
『武具』同様、魔道による特異性を考慮に入れた完成度の高さを保障する『魔具(』
所見・治療方法の適切さ、手術の早さ・正確さ、病気に対する知識を段階化した『医療(』
大源(やエーテル自体の乱れによる小源(
の不調・変異に対する処置の適切さを段階化した『魔道医療(』
“外”からは観測不能な精神の乱れを整える処置の適切さや接し方を段階化した『精神医療(』
これらのランクは、あくまで一般社会の人間にも、ランク保持者の程度の高さを知らしめ、
それにより、より安定した社会を目指すために採用されたものだ。
誰でも、より腕のよい医者やより強い護衛に依頼をしたいものであろう。
完全に実力主義社会なのである。
また、こういった理由で、“研究”系にそれに該当したランクが無いのである。
つまり、研究は一般社会の人間には殆ど意味のわからないもの・生活に直接関連しないからランクはいらない、と言うわけだ。
何時の世も研究者はわかってもらえない者である。
To be continued...