〜教経 Side〜

降伏してきた蔡瑁達にどうやって口を割らせるかを陣を歩きながら考えていた。ひょっとすると、劉表の他にも死姦した奴が居るかも知れない。そいつら全てを明らかにして、雪蓮に引き渡してやりたい。だが、ダンクーガに聞いたところだと死姦ってのはやっぱりこの世界でもドン引きの対象になるらしい。ダンクーガの奴は引きつった顔で、俺の趣味がそうなのかを訊いてきやがったからな。事情を説明してやると安堵していたが、同時に劉表のことを糞野郎呼ばわりしていた。
そうなると、サラリと口を割らせるには細工が必要になるだろう。『死姦が好きか?』と聞いてはいそうですとは答えないだろうからな。口を割らせる為の案はあるが、胸糞が悪くなるから出来ればそれはしたくないンだが。

先程から続々と将が帰還してきている。白蓮が歩いているところを見ると、奇襲組も還ってきているらしい。今回も誰も欠けることなく勝利出来た。

「教経、何をしているのだ?」
「冥琳か。皆無事で還ってきて良かったな、と思ってたンだよ」
「流石に負けることはないだろうし、前線に出て行く将は皆腕に覚えのあるものばかりだ。それも一流の、な。劉表軍の将などに後れは取らぬだろう」
「まぁそうかも知れんが、心配なものは心配なンだよ」

冥琳と話をしていると、雪蓮が向こうからやってきた。雪蓮は奇襲を仕掛けて敵を山から追い落とし、そのままの勢いで後背に食らい付いて殺しまくっていたらしい。恨みがあるから尚更に憎かったのだろう。

「雪蓮も還ってきたみたいだな。怪我もなさそうだし、無事で何よりだ」
「……いや、あれは無事とは言わないだろうな」

無事に還ってきた、と言った俺に、冥琳は無事ではないと言った。どう見ても怪我をしているようには見えないし、無事だと思うンだが。

「怪我してるようには見えないぜ?」
「そういう意味ではないのだ。まあ、直ぐに分かるだろう」
「はぁ?」
「……雪蓮が来たぞ」

前を見ると、冥琳の言った通り雪蓮がやってきた。

「……教経、此処に居たのね」
「あぁ。ご苦労さん、雪蓮。おかげで想定通り勝つ事が出来た」
「……」

いつもの雪蓮なら当たり前だと言う所だと思うが、何も返事をしなかった。

「……付いてきて」

そう言って俺の腕をひっつかんで陣屋に向かおうとする。

「……教経、雪蓮を頼むぞ」
「はぁ?」

何が何やらさっぱり分からないが、返答する前に雪蓮にぐいぐい引っ張られてその場を離れた。

「おい、雪蓮。どうしたんだよ」
「……良いから黙って付いてきて」

普段と違って切羽詰まったような、そんな感じだ。此処は黙って付いていくことにするかね。










雪蓮に宛がわれた陣屋に文字通り連れ込まれた。雪蓮の様子は相変わらずおかしい。

「おい雪蓮。どうしたンだよ」
「……ねぇ、教経。わたしのこと嫌い?」
「……なンだ突然」
「良いから答えて。わたしのこと、嫌い?」

雪蓮のことが嫌いか、と言われてもねぇ。

「嫌いなわけ無いだろうが。嫌いな奴と一緒に居るほど酔狂じゃないンだよ」
「……そう。良かった」
「何が良かったン……!」

言いかけた俺に、雪蓮が抱きついてきた。
それにも驚いたが、体が異常に熱い。

「……雪蓮、お前さん、熱があるんじゃないのか」
「……ええ、多分ね。でも病気じゃないのよ。……病気と言えば病気かも知れないけどね」

そう言いながら首筋に唇を宛がって、そのまま何度も口付けをしてくる。一体どうしたンだ。そう思って居ると、チカッと痛みが走る。
……雪蓮が俺の首筋の皮膚を少し咬み破ったらしい。

「どうしちまったンだ、雪蓮」

ゆっくり抱きしめてやると、少し落ち着いたようだ。熱があるからか、潤んだ目で俺を見上げて来た雪蓮は、そのまま顔を寄せてきてキスしてきた。

「……んん……ちゅ……」
「ん……しぇ、雪蓮、お前さん……」
「……ごめんね、教経。わたしを助けて欲しいの」
「助けるって、どういうことだよ」
「体が熱いの。火照って仕方がないの。鎮めるのを手伝って」
「手伝うのと今の口付けと何か関係あるのか?」
「あるわよ」
「そりゃどういう……って!」

雪蓮に寝台に押し倒された。体が火照って仕方がないと言うし、雰囲気的には欲情している感じに見える。……冥琳のやつ、雪蓮を頼むってのはこうなることが分かってたな?雪蓮の悪い癖ってのはひょっとしてこれか。

「……教経、本当にごめんね。でも、今日だけで良いから付き合って」
「んん……ちゅ……ぴちゃ……」

雪蓮が上に乗って積極的に口を吸ってくる。流石にこうされ続けると反応してくるわけで。

「……ぷはっ。雪蓮、流石にこうまでされると我慢が出来なくなりそうなンだが?」
「我慢しないでいいの。わたしももう限界だから。……ね、お願い。私を助けて」

……助けて、か。縋り付くような目で俺を見ながらそう言ってくる。俺自身の状況もあるし、拒否出来そうにない。

「……分かったよ。抱けば良いンだな?」
「そうよ。抱いて欲しいの。思いきり抱いて、教経」

始めは雪蓮に犯されたような格好で、雪蓮を抱いた。というより、抱かれたのかも知れないが。まだ収まらないから、ということで、二回目を。その後はやられっぱなしでは収まらないから、という極めて個人的な理由で俺から抱いた。

雪蓮は普段と全く違って女の子らしかった。気の強さはなりを潜めて、最後の方はひたむきに俺に尽くしてくれていた。普段と声色まで違っていた。エロいというか、可愛らしいというか。兎に角普段と何もかも違ってた。何度も何度も気をやって、切なそうに声を上げていた。









怒濤のような時間が過ぎ去って、雪蓮も落ち着いたようだ。落ち着いたと言っても、息も絶え絶えだが。俺の方は全く問題無い。……普段からお勤めしていたからだろうが、これは自慢になるのか?
寝台から起き上がって、水差しから水を碗に注いで飲み干した。もう一度水を注いで雪蓮にも渡してやる。

「……ん、ありがと」
「で、どうしたってンだ?」
「……やっぱり気になるよね?」
「気になるが、言いたくなきゃ言わなくても良い。けどまぁ、言ってくれた方が嬉しいけどな」
「……そっか。わたしね、戦で人を殺したりして興奮しすぎると、ああいう状態になるの。体が熱くてどうしようもなくなって。その熱さっていうのに一番近いのが、多分性欲。それを鎮める為に、そういうことをするわけ。でも、誰でも良いって訳じゃ無いのよ?私が大切だと思って居る人じゃないと駄目なの。だから普段は冥琳にお願いしてたんだけど、今日は教経のことしか考えられなくて。それでその、こういうことに」
「成る程」
「……ごめんね。気持ち悪いよね」
「気持ち悪いとは思わなかったし今も思わないさ。切羽詰まってるなぁとは思ったがね」
「……本当?」
「あぁ、本当だ。それより、大切だと思ってるってのは大胆な発言だと思うンだがねぇ」
「情を交わしておいて今更大胆も何もないと思うんだけど?」
「はははっ。そりゃそうだな」
「……でも、ありがとう。もう、しないようにするから。ごめんね。本当はちゃんとしっかりしている時に、好きだって言って抱かれようと思ってたんだけど、こんなになっちゃった」

……ちょっと泣きそうだな、雪蓮。抱かれているときのアレが地の雪蓮なのかも知れない。

「別に気にしなくても良いンじゃないかね?色々な形があると思うが」
「でも」
「良いンだよ。雪蓮が俺の事を好きだって言ってたのが本気だとは思ってなかったけどな」
「本気だって言ったじゃない」
「まぁそうだがねぇ」

雪蓮とこういうことになって、『良かったね、じゃぁさようなら』、という訳にもいかないだろう。抱いたからだろうが、情というものが湧いてきているわけで、ねぇ。

「……今俺が雪蓮のことをどう思っているか、気にならないか?」
「……なるけど、別に良いのよ。わたしが好きでこうしたんだから」

別に良い、とか言いながらもやっぱり気になって仕方がないって感じだな。

「……正直に言うと抱いたからだと思うけどな。好きになったと思うよ、雪蓮のこと」
「……へ?」
「だから、好きになったと思うよ。尽くしてくれてる雪蓮は可愛かった」
「本当に?」
「あぁ」

そう答えると、嬉しそうに抱きついてきた。

「教経!」
「ちょ、ちょっと待て雪蓮。落ち着こうか?」
「あれだけ抱き合ったんだから今更照れることないじゃない」
「ったく……調子を取り戻したみたいだな?」
「そうかも。教経に嫌われてないって分かっただけじゃなくてわたしのことが好きだって言って貰えたからかな?」
「現金なことで」
「教経だってそうじゃない。抱いたから、好きになったんでしょ?」
「……本当に嫌だったら多分流されないんだよ、俺は。好ましく思ってない限りは、ね」
「な〜んだ。最初から相思相愛だったって事ね」
「どう解釈したらそうなるンだよ」

そう言った俺に、雪蓮が笑い返してくる。

「……全く。仕方のない姫さんだな」
「そうよ。だからしっかり相手してね?教経」
「へいへい。こうなったらまた相手するさ」
「……こうなったときだけ?」
「……普段も抱くよ、雪蓮」
「当然よね。……もうちょっとこうしてて良い?」
「……あぁ、構わないさ」

雪蓮は幸せそうに俺に抱きついている。
……雪蓮とこうなるなんてなぁ。我ながら気の多さに複雑な思いがする。しかしこれ、どうやって説明すれば良いンだ?犯された?ってのもちょっと違う気がするしねぇ。

















〜高順 Side〜

終にこの日が来た……!この俺にSideが当たるその日が……!
あぁん?メタ発言?いいじゃねぇか!この感動がお前らに分かるのか!?三年だぞ!?三年!
……まぁいいや。今、大将から招集を受けて将が皆集まっている。この招集を掛ける前、大将はケ忠と俺を呼び出して、この後で投降してきた奴らと話をする際にとんでもないことを言うが、大将が何を言っても下卑た笑いを浮かべておくように、と言われた。

「さて、蔡瑁。投降してきたお前さん達に俺から直々に訊きたい事があってな?」
「はっ。何なりとお尋ね下さい」
「……直ぐに訊きたいのは山々なンだが女性陣にはちょっと聞かせられない話なンだよねぇ。悪いンだが女性陣は席を外して貰っても良いかね?」

大将がそう言うと関羽の姐さん達が騒ぎ始めたが、孫策の姐さんが宥めて全員連れて席を外した。一体何を訊こうって言うんだ?

「じゃぁ、改めて話をしようか。……なぁ蔡瑁。死姦ってのは気持ち良いのか?」
「……お尋ねになっていることがよく分かりませんが」
「だからなぁ、死姦ってのは気持ちが良いのかって訊いているンだよ」
「何故そのようなことをお訊きになるのです?」
「実はなぁ、気が付いたとは思うが、さっきまで此処に居た女共はほぼ皆俺の愛人のようなモンでなぁ?色々な女を抱いているが、最近マンネリ化してきたンだよ。そうしたらお前、劉表は死姦したことがあるって言うじゃねぇか。もしそれが気持ちが良いのなら、試しに一人女を殺して死姦してみようかと思ってなぁ」

大将は大層下卑た笑みを浮かべて蔡瑁に話しかけている。
……大将、アンタ何言ってるんだ。冗談じゃないぜ。
そう思って大将を見ると、大将は厳しい目で俺を見ていた。ケ忠が小声で俺にささやきかける。下卑た笑みを浮かべて。

「おい、高順。下卑た笑いを浮かべておけって言われただろうが」

……そうだったな。

「分かってるよ」
「じゃあ笑おうや。こう、下衆な感じで」

言われて無理矢理にいやらしい笑みを浮かべる。蔡瑁とその横にいるチビが俺たちの顔を窺っている。もう少し遅かったら拙いことになっていたな。

「……胸糞悪くなってくるな」
「……こうやって笑ってるが俺だって胸糞悪いんだよ」

大将は俺たちが下衆な笑いを顔に貼り付けているのを満足そうに見て、蔡瑁達に話を続けた。

「どうなンだ?気持ち良いのか悪いのか答えられる奴は居ないのか?」
「……劉表様から伺った限りでは中々に良いものである、と聞いておりますが」
「……なンだ。お前達の中で経験してる奴は居ないのか。何の参考にもならないじゃないかね?
……興味が失せた。おい、ダンクーガ。コイツら軍法に照らし合わせて首にして劉表に届けてやれ。俺が利用するだけの価値もない屑だ」
「ちょ、ちょっとお待ち下さい!」
「……テメェは誰だ、糞チビ。禿げ散らかしてンじゃねぇぞ?屑」
「ちょ、張允と申します、平教経様。
……本当に心底死姦なさりたい、と思っておられるのですかな?貴方様は義に篤く王の道を征く稀代の名君であらせられると言われておりますが?」
「そういう皮を被った方がいい女が抱けるだろうが。俺好みのいい女を組み伏せ、破瓜の血を流させてやる楽しみを思えばそういう反吐の出るような奴を演じても釣りが来る。そう思って居るから被ってるンだよ、包茎小僧宛らになぁ」

……いやぁ、大将。アンタ間違いなく役者の道で喰っていけるわ。偽善の皮を見抜けないで騙されている蔡瑁達を見るのが愉しくて仕方がない、といった面持ちでニヤついている大将は文句の付けようがない程下衆野郎に見える。まぁ、その横で同じように下衆に笑っている俺とケ忠も相当な屑に見えているだろうが。

「だが生娘を仕込む喜びって奴にも慣れちまってなぁ?ここらでそろそろ本性を剥き出しにしてやろうと思って居るンだよ。幸いにして抱いた女はもう俺無しじゃ生きていけない程、その体に女としての悦びを覚え込ませてやっているンだ。一人くらい殺して死姦したぐらいじゃ俺からは離れられないンだよ。
だから死姦ってのが気持ち良いのかどうか訊きたかったンだが、テメェらがわからねぇってンだから仕方がない。襄陽に行って劉表から直接聞くからいい。お前らは不要だ。役に立たない奴は皆殺しだ。余程の別嬪さんなら強姦して楽しめるが、テメェらみたいなむさ苦しい男は不要なンだよ」

大将の言葉を受けて、蔡瑁達が顔を見合わせて頷きあっている。

「……平教経様。謀ったことをお許し下さい。まさか貴方様が我らの同好の士となり得る方であるとは思わなかった為にあえて嘘を言わせて頂きました」
「……あぁん?テメェら、適当抜かしてんじゃねぇ。助かりたいからってそうはいかねぇンだよ」
「いいえ。我ら五名、皆孫堅を死姦し尽くした、世間から見れば生粋の屑、貴方様にとっては決して他では得られぬ同好の士で御座います」
「……本当だろうな?嘘だったら貴様らを殺すぞ?」
「本当で御座いますとも。平教経様。死姦というものは最高で御座いますぞ?相手が自分たちに屈さなかった女であれば尚更に滾るもので御座います。何としても屈さなかった女が自分たちに組み伏せられ、好きに精を放たれ続けて居る様など、それはもう最高のもので御座いますとも。
お望みであれば、殺した後死姦するに適した肉人形を如何にして作り上げるか、という技法について我ら五人それぞれが独自に編み出した、秘伝とも言うべき法を伝授して差し上げても宜しいのですぞ?」
「……それを教えろ」
「それには先ず、我らの身の安全を保証して頂かなければなりませんな。後出来ればですが、あの美女共を死姦して存分に楽しまれた後、その肉人形に飽きましたらば我らに下げ渡して下さいませ。それで契約は成立で御座います。我らの持つ秘法、伝授して差し上げます」
「……貴様らの他に死姦好きでその秘伝を有している奴はいねぇのか?」
「……孫堅を死姦したのは我ら6名のみですしな。秘密というものは秘匿されるからこそ秘密たり得るのです。劉表様でさえ、何故あの様にあの肉人形の膣が柔らかく気持ちの良いままであったのかをご存じありませぬ。我ら五名が揃ってその秘法を行えばこそ、全身があの様に生きているときと変わらぬようなみずみずしさを保っていられるのです」

その言葉を聞いた瞬間、大将が真顔に戻った。
……この言葉を聞きたかった、ということか。誰が人の道を踏み外しているのか。それを知りたかった、ということだろう。奴らは間違いなく、死姦している。話している最中の蔡瑁の顔は、かつて目にした光景を思い出し、またその感触を思い出して恍惚としている者のそれだった。

「……ダンクーガ、ケ忠。聞いたな?」
「……あぁ、聞いたぜ、大将」
「……えぇ。聞きましたよ、大将」
「蔡瑁、お前さん達の提案は非常に魅力的なモノなンだろう。が、それはどうやら劉表にとってであって俺には必要無いもののようだねぇ」
「き、貴様!謀ったのか!?」
「普通気が付くだろうが。唐突に死姦したいなんて言い出す人非人が何処にいるんだよ、糞が。雪蓮!入ってきて良いぞ!」

言われて姐さん達が入ってくる。

「有り難う教経。まさか引っかかるとは思わなかったけどね。
……この下衆共、殺させてくれるんでしょう?」
「あぁ、ぶっ殺してやると良い」
「……お屋形様。私にも殺させて下さい。この屑共は『悪』以外の何物でもありません。『悪・即・斬』を掲げる私達にとって、斬り捨てるべき存在以外の何物でもありません」
「教経、当然私にも殺させて貰うわよ?母様を殺された上に汚されて腸が煮えくり返るような思いをしたのは姉様だけではないのだから」

皆、好き勝手言ってるな。

「……蔡瑁。素直に自白してくれた貴様らに機会をやろうじゃないか。こっちから5人、お前さん達と尋常に立ち合おうじゃないか。もし勝つ事が出来れば、お前さん達の命を保証してやっても良い。勝てれば、だがね」

大将が嗤う。負けることはない、と思って居る様だ。まあ、確かに孫策の姐さんや太史慈の姐さん達が後れを取るとは思えない。大将のことだから身動き取れないようにして嬲り殺すなんて事はしないだろうとは思って居たが。

「上等だ!我らを謀りおって!思い知らせてやるぞ!」
「さて、俺が己の思い上がりを思い知るのか、それとも貴様らが己の罪の重さを思い知るのか。そのどちらだろうな?……ダンクーガ、準備しろ。こっちは俺、雪蓮、琴、蓮華、お前だ」
「……俺も良いのか?」
「……逆に聞くが、お前は同じ男として殺してやりたいとは思わんのか?」

いいや、指名してくれて有り難てぇよ、大将。

「是非殺ってやりたいね」
「んじゃそうしとけ」

その後、こちらから相手を指名して殺りあうことになった。それぞれが指名していった結果、組み合わせはこんな感じになった。

太史慈の姐さんと張繍。
孫権の姐さんと呂公。
俺と張允。
大将と胡車児。
孫策の姐さんと蔡瑁。

大将と蒲公英の嬢ちゃん以外と立ち合うこと自体が初めてだが、流石に大将を越える奴は居ないだろう。俺が今世間一般の中でどの程度の実力があるのか。物差しになって貰うことにしよう。どうせ屑なんだ。此処で役に立って貰おうじゃないか。