〜珂瑛 Side〜

白蓮様に仕える事を決めた私は、今臨湘に来ている。水鏡先生の紹介状を持って黄忠殿に会いに来たのだ。話に聞いていた白蓮様とは違い、実際の白蓮様は素晴らしい人だった。現実を踏まえた上で、それでも出来る限り人を救ってやりたい、耐えがたい苦しみを強要されるこの世の中を変えていきたいと言い切った。例え死ぬことになっても、この道を歩む限り悔いはない、胸を張って死ねる、と。

このような人は中々に居ないだろう。希有な存在だと思う。そして、才能も十分に有している人だ。これまで領主としての仕事は一人で殆ど全てのことをやっていたようで、飛び抜けた才能はないが全てに対して適正を見せる。先ず有能と言って良い適正を。

良い主を戴いた。私は幸運だろう。

その主を輔弼する雛里は、知らぬものが居ないほど有名な鳳の雛だ。政務についても高い才があるが、その軍略の才は正に天才としか言いようがないものだ。ここ何日か、軍略について語り合って私は何度も敵わないと思わされた。

良き主に、良き軍師。
自分で言うのも何だが、私は軍師としても政務官としても有能だと自負している。
後不足しているものは良き将だろう。

「此処が長沙の郡都、臨湘か。大きな町だな」
「……それはそうです。荊南で一番栄えている町ですから……」
「雛里、はぐれるから馬に乗れって」
「でも、白蓮様も馬から下りているのに私だけ……」
「……もう2度、はぐれたではないですか、雛里」
「……うぅ」

ここ臨湘にやってきたのは、黄忠という人物に会う為だ。
聞けば、彼女は良将と言って良い器量を有しているようだ。采配も理に適ったものであり、個人の武勇も優れていると聞いている。特に弓の腕は国一番だろうとまで噂されているのだ。誇張があるとしても、取るに足りぬものではないだろう。

「ほら、雛里。馬に乗って下さい」
「……ごめんなさい」
「あはは。雛里、安心したよ。私からみたお前は、完璧超人だったからさ」
「そんなことはありません」
「ああ、それが分かった。だから気に病む必要はないんだよ、雛里」
「……うぅ……」

軍略を語っている時とは違い、可愛らしいものだ。
そう思って馬によじ登る雛里の手伝いをしている私に、声を掛けてくるものがあった。

「姉上!漸くいらっしゃったのですね」
「瑛、頼んでおいたこと、どうなりましたか?」

瑛。姓は馬、名は謖、字を幼常。私達の末の妹。私から見て、かなり優秀だと思う可愛い妹だ。

「既に調べてあります。先方には姉上の名前で訪いを入れてあります」
「そう。良くやってくれたわ」
「珂瑛、彼女は?」
「失礼致しました。私の妹で、馬謖と申します。……瑛、白蓮様にご挨拶を」
「お初にお目にかかります。私は、姓は馬、名は謖、字を幼常。真名を瑛と申します。姉上の紹介通り、姉上達の末の妹で御座います」
「……いきなり真名を預けられるとは思わなかったよ。私は、姓は公孫、名は賛、字を伯珪。真名を預けてくれる、ということは、私に仕えてくれるという事で良いのか?」
「はい。姉上が選んだ主です。間違いがあろうはずもありません」
「……そうか。私の真名は白蓮だ。宜しく頼む、瑛」
「はっ」

流石に瑛ね。しっかりしている。

「で、瑛?」
「あ、そうでした。白蓮様、実は姉上から先行して黄忠殿の居所を探し当てておくように言われておりまして、既に探し当てております。また、姉上の名前で訪いを入れてありますので、会いたいと言えば直ぐにでも会えるかと存じます」
「白蓮様、どうなさいますか?」
「う〜ん。じゃぁ、逢いに行ってみようか。いきなりで少し不躾な気もするけど」
「畏まりました。直ぐに人をやって訪いを入れさせます。白蓮様がお連れになっている兵の皆さんの宿舎も実は確保してあります。……宿舎と言っても唯の宿なのですが」
「いや、有り難いよ、瑛。早速だけど、兵達には休息を与えたい」
「では、そちらの手配もして参ります」

瑛はそう言って人に指図を与えるべくその場を離れた。

「……珂瑛、お前の妹は凄いな」
「有り難う御座います。あれは自慢の妹なのです」
「……珂瑛、瑛ですが、すこし才走り過ぎる気がしますね」
「……どういう意味ですか?雛里」
「才気煥発ですが、少し才に自惚れているところがある気がします。何となく、ですけど……」

雛里は、嫌がらせをする為にこのようなことを言う人間ではない。瑛の将来を本当に心配してくれているのだと思う。主従揃って、人によく気を遣う人達だ。

「有り難う、雛里。出来れば、雛里が教えてやって下さい。私達では結局甘くなってしまうのです」
「……分かりました。出来るだけのことはしてみます」
「ええ、お願いします」

この時代に冠たる軍師であろう雛里と話をすれば、瑛も思うところが多くあるに違いないのだ。そこから、何かを得てくれれば。そう思う。

「では、黄忠殿の所でご案内します」
「宜しく頼みます」

さて、黄忠殿はどういう人だろうか。












「ようこそいらっしゃいましたわ、馬良さん」

出てきたのは妙齢の、大きな胸をした女性だった。思わず自分の胸を見てしまった。……ちょっと哀しい。本当にちょっとだけです。別に悔しいとかそういうことはありません。女の価値は胸で全てが決まる訳ではありません。きっとこんな私でも好きだと言ってくれる殿方が居るはずです……そう、いるはず……いるのかな……いて欲しいな……。
白蓮様と雛里を見ると、二人とも同じような顔をしていた。自分の胸を見て。
気を取り直して会話を始める。

「いきなり訪問することになってしまい、誠に申し訳ありません」
「あらあら、お友達もいらっしゃったのですね」
「お友達ではありませんが、詳しい話は中で致しましょう」
「そうですわね。このようなところで足止めをしてしまって申し訳ありません。では、こちらへ」

黄忠殿に付いて行った部屋には、もう二人人が居た。

「馬良さん、申し訳ありません。私もお友達が来ておりまして」
「いえ、構いません。こちらが突然訪問させて頂いたのですから」
「紫苑、そちらは?」
「こちらは馬良さんよ。さっき話をしていたでしょう?」
「ほう、本当に眉が白いのだな」
「馬良さん、こちらは私の親友で巴で城主をしている厳顔と申します。で、あちらが……」
「桔梗様の護衛の魏延だ」
「そうですか。私は馬良と申します。で、こちらが……」
「……公孫賛殿とホウ統殿、ですね」
「……どこで、それを?」
「これまで誰にも仕官せず、この動乱の世の中に全く興味を見せなかった馬良さんが突然私のような武侠に訪いを入れる。……誰かに仕え、私を引き入れよう、と考えているのではないかと思ったのですよ。これでも私は荊南で一番の武将であると自負しているのです。その私に丁寧な訪いを入れる目的を考えれば、仕官を勧めに、ではないかと思うのが普通でしょう?
そして、荊州では最近公孫賛様を見かけたという噂が立ち上っています。この荊州を足がかりとして、その義を天下に明らかにする為に再び立ち上がるのではないか、と。そしてその輔弼として、鳳雛として名高いホウ統殿が付いている、とも聞いています。馬良さんがお仕えしようと思える人間がいて、今荊州に『義侠の人』が居るという噂を聞けば、仕えようと思ったのが公孫賛様で、一緒に来ているのが本人だろうと思ったのです」

思った以上の人物のようだ。しかも、良い感触だ。分かっていて会うにも関わらず捕らえて袁紹軍に引き渡そうとしていないことがその証明足り得るだろう。屋敷の周囲には兵が居ないことは瑛に確認させてある。本当に歓待しようとしてくれていると考えて良いでしょう。

「成る程、お見それしました」
「今見抜かれた通り、私は公孫賛だ。で、こっちは軍師のホウ統」
「……よ、宜しくお願いしましゅ!」
「あらあら、可愛いわね」
「ふむ。公孫賛殿、邪魔でなければわしらも話を聞かせて貰いたいのだがな」
「ああ、構わないよ」
「白蓮様」
「いいじゃないか。別に聞かれて困るような話をする訳じゃ無いんだ。それに、二人は親友だって言ってたじゃないか。いきなり現れた得体の知れない人間の中に一人だけ残して帰るような、友達甲斐のない真似はしないんじゃないか?普通」
「はっはっは。気に入りましたわ。御自身でそれを口に為される以上、信頼すべきでありましょうな。ご無礼を致した。この通り、お詫び申し上げる」
「いや、厳顔、止めてくれよ。私はそういうつもりで言ったんじゃないんだって」
「……非礼は非礼で御座いますからな。こうせねばわしの気が収まりませんので」
「分かった、分かったよ。だからもう頭を上げてくれ。今の私は唯の公孫賛なんだ。そう堅苦しい真似はしないで欲しいな」
「中々変わったお方だ」
「さて、公孫賛様。私に何のご用でしょうか?」
「……まず、こちらを」
「あら、水鏡先生からの紹介状ね」
「はい。……意味のある言葉が書いてあるかどうか、疑問ですが」
「……まぁ、見てみましょう」

黄忠殿が紹介状を見て、少し驚いた顔をして白蓮様を見、また書状に目を戻した。読み終わった後、厳顔殿に紹介状を渡した。厳顔殿も、その後の魏延殿も、黄忠殿と同じ反応を示した。

「……何と書いてありましたか?」
「『鳳の雛は遂に凰を得て鳳凰と成れり』、と。水鏡先生は、公孫賛殿を凰と評価しているようですね。二人で鳳凰だ、と」
「私にそういう才があるとは思えないけど、雛里と二人で一人っていうのには同感かな。雛里が死んだら、私も死ぬ。そう決めているからな。鳳凰になったのなら、鳳が欠けたからと言って凰に戻ることは出来ない。一緒に死ぬしかないんだからな」
「白蓮様……」
「これは、絶対だ。例外は認めないよ、雛里」

厳しい目をしていらっしゃる。多くの臣下を死なせたこと。その事がどれ程大きな傷をその心に残したのか分からないが、それによって凰たる資格を得たのだろう。

「……公孫賛様、貴女は一体この私に何を望んでおられますか」
「出来れば、私を助けて欲しい。私でなくても、私の夢を助けて欲しい」
「貴女の夢とは?」
「生きていくのに誰かの命を犠牲としなければならない世の中を正すこと。正して皆が手を取り合って生きていく事が出来る世の中を作り上げること。それが、私の夢だ」
「戦に負けた癖に、まだ戦うのか?」
「焔耶!」
「いや、良いよ厳顔。本当のことだから。
魏延って言ったか?私は戦に負ける前は、自分が死なない範囲で領民の暮らしを向上させてやれば良いくらいにしか思ってなかったんだよ。今民達が私のことを『義侠の人』と呼んでいることも、勘違いだ。私は、抵抗しなければ新皇帝劉虞に玩弄されると思ったんだ。それが嫌で反対したんだ。それだけの、つまらない人間なんだよ」
「じゃあ、何で今更夢を実現する為に戦うんだ?折角拾った命なんだから、どっかこの世の隅っこで細々と生きていけばいいじゃないか」

黄忠殿も厳顔殿も黙って話を聞いている。
魏延殿との会話を通して白蓮様の器量を計っているのだろう。私のように。

「……それは出来ない。私を生かす為に、多くの人間が死んでいった。その中には、私が生まれてからずっと私の面倒を見てくれていた老臣が二人いる。彼らの願いは、『私が公孫賛としての生を全うすること』だった。彼らの主として、彼らの願いだけは叶えてやりたい。そうでないと、彼らは無駄死にしたことになる。そんなことは出来ないんだ」
「自分の主の負担になるような死に方をしたのか。不心得者だな」

瞬間、白蓮様の雰囲気が変わった。
……その二人の老臣。その二人の死が、白蓮様を大きく変えたのだろう。

「……魏延、今すぐにその発言を取り消せ。私の器量が不足しているのは事実だ。私の名声が虚構に過ぎないことも事実だ。負け犬であることもまた、事実だ。だが、彼らが不心得者というのは断じて違う。
……貴様に貶されるような人間じゃない。二人とも、私の自慢の家臣で私の大切な家族だった。あの二人を、絶対に誰にも貶させはしない……!今すぐ取り消して貰おうか。取り消さぬというなら、私にも覚悟というものがある」

いきなり二振りの宝剣を抜き放ち、魏延殿の首筋に添えた。
……武勇は、それ程ではないと聞いていたが。二振りの宝剣を抜きはなった際の動作はとてもそうは見えない。黄忠殿も厳顔殿も、その疾さに驚いているようだが武器を手にしようとはしてない。

「……取り消さぬなら、例えこの場で殺されることになろうと貴様だけは殺す」
「な、なにを……」

流石に刃傷沙汰は拙いが、白蓮様は絶対に譲らないだろう。見ただけで、そう分かる。
そう思っていると、厳顔殿が溜息を一つ吐いた後発言した。

「……焔耶、お主の方が不心得者だ。武士の心の分からぬ、誠につまらぬ人間だ」
「き、桔梗様!」
「阿呆なお主の為に例え話をしてやるわ……そうだな。例えばわしが平教経に攻められ、攻め殺されようとしておる時に、お主ならどうする」
「当然、桔梗様を守って戦い抜きます!」
「どうあっても、全滅するしかないことが分かって居る時、お主はどうする」
「何としてでも、桔梗様だけでもそのお命を長らえ……あっ」
「気付いたか、戯け……焔耶、お主は自分の発言を振り返って、公孫賛殿に何か言わねばならぬことがあるのではないか?」

長い沈黙の後、魏延殿が声を絞り出すように発した。

「……公孫賛殿、その、ワタシが、間違っていた……その二人の臣は、家臣の鑑とすべき人達だろう……前言は、取り消させて下さい……本当に申し訳ありません」
「……取り消して貰えれば、それでいいんだ、私は。済まなかったな、こんな雰囲気にしてしまって」
「なに、構いますまい。焔耶にも良い薬になったことでしょうしな」
「そうね。それにしても、武勇に優れていらっしゃいますね」
「いや、私は大した武勇は持ち合わせていないけど」

そんなことはないだろう。私は全く反応出来なかった。黄忠殿も厳顔殿も、反応出来ていなかったのだ。武人として名を馳せる人間が反応出来ない腕前を持っているのだから。

「……双剣を抜きはなった際の手際と言い疾さと言い、大した武勇だと思いますが」

私がそういうと、白蓮様は苦く笑った。

「……小さい頃にな、二人が死んだら宝剣を二振り貰える、と無邪気に喜んでいた時期があって。その時に、二本同時に剣を振るう為に柄にもなく血反吐を吐くような鍛錬をしたんだ」
「……形見の宝剣、ですか」
「そうだ。二人の思い出は、もうこれしか残ってない。だからこの二振りの宝剣と一緒に私は自分の夢を追うことにしたんだ。いつもと変わらず三人で、ずっと一緒に居るような気がするから。だから、双剣で戦っていく」
「……よろしいか」
「何だ?厳顔」
「公孫賛としての生、と仰ったがそれはどのようなものだとお考えで?」
「……一つの勢力として、自分が思い描く理想の世の中を実現する為に自分の信念を貫いて生きていくこと、かな。公孫家のことなど考えなくても良い、と関靖だったら説教し始めるんだろうけど、あ、関靖っていうのは二人の老臣の内の一人なんだ。口五月蠅い爺で……兎に角、公孫家のことを考えている訳じゃないんだ。
私は、あの二人が死んだ時一緒に死んでやりたかった。それ位辛かった。二人を理不尽に殺された、そう感じてる。納得出来ないんだ。私が生きていく為にどうしても必要な犠牲だったんだろうとは思うよ。でも、それは頭で理解出来ているだけであって私の心はその理由で納得することを拒否しているんだ。
……私は、私みたいな想いをする人間はもう他に居なくて良いと思うんだ。生きていく上で、全ての人間が何の犠牲も払わずに、犠牲にならずに生きていける世界なんて無いと思う。でも、その犠牲が命を失うという形でもたらされるような世の中は嫌だ。
……だから戦うんだ、世の中と。
正すんだ、この世の中を。
どうしても、私はそういう世の中にしたいんだ。そういう世の中を作り上げることが出来たら、二人のお陰なんだってそう思えると思うんだ。至らない私を教導する為に、その為に二人は命を賭けてくれたんだ。そう思えると思うから。だから、そうするんだ。そうやって生きていくんだ。
付いてきてくれる人間には、申し訳ないと思うけど。でも、そういう世の中を作る為に、一緒に戦って欲しいんだ。その命は、絶対に無駄にしないから」

……本当に、お優しい方だと思う。自分の身に起きた不幸を、他者には味わわせてやりたくない。その為に、再びこの乱世に立とうと言うのだから。

「……紫苑、先の話だが、わしは賛成だ」
「あら、桔梗。貴女反対してたじゃない」
「為人がわからぬ奴を主として戴くことなど出来ぬ、と言うただけだ。為人も器量も確認させて貰った。申し分ないどころか、乞うて主になって貰うわ」
「じゃあ、私と同じね」
「……お二人とも、一体何を話されていらっしゃるのですか……?」
「あら、ごめんなさいね。実は私達は、今荊州にいると言われている『義侠の人』公孫賛様を戴いてこの乱世に平穏をもたらす為に乗り出すかどうかについて話し合いをして居たの」
「まぁ、こうして目の前にしておるから都合が良かったという訳だ」
「では……?」
「ええ、私達二人、公孫賛様にお仕え致しましょう」
「……私も、桔梗様に従います」
「焔耶、嫌ならば別に良いぞ?」
「いえ、お供致します!」
「……え?え?」

白蓮様はまだ状況が把握出来ないようだ。

「白蓮様、お三方とも、白蓮様にお仕えする、と。そう言っておられるのです」
「……何でだ?私は確かに仕えて欲しいとお願いするつもりで来たけど、まだその話はちゃんとしてないと思うんだけど」
「はっはっは。お館様、もう十分にお館様の理想や信念は聞かせて頂いたつもりです」
「そうね。……公孫賛様。私は、姓は黄、名を忠、字を漢升。真名は紫苑と申します」
「わしは、姓は厳、名は顔。真名を桔梗と申します」
「ワタシは、姓は魏、名は延、字は文長。真名を焔耶と申します」
「私は、姓は公孫、名は賛、字を伯珪。真名を白蓮という。……これから、宜しくな、紫苑、桔梗、焔耶」
「「「はっ」」」

黄忠殿だけでなく、益州に確かな地盤を持つ厳顔殿まで従うとは思っても見なかった。
だが、これも偏に白蓮様の人徳というものだろう。
やはり私は主に恵まれたのだ。
白蓮様という、大徳の君に。