～華琳 Side～
「桂花、戦況は？」
「はい。諸侯軍が汜水関に入れ替わりで次々に押し寄せ、親董卓連合軍に休みを与えることなく攻め続けておりますが、状況は芳しくないようです。やはり、汜水関を現方針で抜くのは至難のことかと」
「そうね。それが分からない馬鹿ばかりだから、教経に舐められるのよ。だからこそ、教経はああも巫山戯たことをしたのでしょう」
あれは、傑作だったわ。
教経が、袁紹軍が関に取り付き登ろうとした矢先、兵に向けて放尿した。ゲラゲラと笑いながら、勢いよく。大体、戦になれば尿意など催さないものを、あの男は平然と放尿して見せたのだ。矢が飛び交っている中で。度胸が良いというか、なんというか。アレのせいで麗羽は完全に冷静さを失い、当初の計画通りに攻め続けて、眠ったり休んだり出来ないようにしてやるのだ、と息巻いていたが、恐らく無駄でしょうね。
現状、汜水関で確認されている兵は、最大で50,000程度。それも、教経がこちらに騎馬で奇襲を掛けてきたその時だけだ。それ以降確認されている兵は、常に30,000弱。残りの兵は、恐らく汜水関の向こう側に陣屋を設けてゆっくりと休んでいるのではないかしら。親董卓連合の兵の顔色は良く、疲労や睡眠不足に苛まれているような顔色をしているものが居なかったことは確認している。相手は教経だ。間違いなく50,000を大きく越える兵を用意してあるだろう。アレは、そういう男なのだから。
汜水関に篭もる将達についても、計画が無駄に終わることは間違いないでしょう。教経自身は関の上で昼寝をしているのが目撃されている。攻め立てようと騒ぎ立てようと、全くの無駄。その配下の将は、程昱は教経の膝の間に収まって寝ており、無駄。関羽は常に教経の側に控えており、教経を狙った矢を全てはじき返していた。あれも、恐らく堪えない類の人間だろう。無駄。張遼についても、ケラケラと笑って酒を呑んでいるところが目撃されており、無駄。一番駄目そうな華雄に関しても、あるときから全く罵声に反応せず、侮蔑を込めた目で罵声をあげる兵を眺めているだけだ。あれも、相手にしていないのであろうから無駄。
此処は、当初の案に固執するべきではない。連合軍の兵も休息を十分に取っているが、相手も十分休んでいる。順番次第だが、最大でも50,000程度の連合軍が汜水関に攻め掛かっても、30,000で完全に対処されてしまう。相手側の兵は多い場合でも100,000程度でしょうから、この際連合軍で一斉に押す戦をしてみてはどうかしら。そうなれば、教経と雖も対処しきれないはず。戦において、数とは全てを凌駕するのだから。
只そうなると、連合軍側の編成が鍵になるわね。有象無象が100,000寄せたところで前線を混乱させてしまうだけで望んだ戦果を得られないでしょう。教経が強襲を掛けてきた時にしっかりとそれに備えることが出来ていた孫策。強襲を受けながらその勢いを止めようと奮戦していた袁紹配下の劉備。そして、この私。その3つの軍を核として3方向から圧力を掛ける。これなら、どうかしら。
……恐らく、行けるでしょう。
麗羽を説得しなくては。まぁ、簡単なことだけど。『華麗なる麗羽ならこの策の効果が分かって、許可を出してくれるのでしょう？まぁ、既に考えついていてそれを私に言わせているだけなのでしょうけど』とでも言ってやれば、あの馬鹿は直ぐにでも許可してくるでしょうからね。
「秋蘭、麗羽に会いに行くわ。膠着しつつある戦線を大きく動かして現状を打開する。その策を麗羽に認めさせる為に、ね」
「御意」
教経、悪く思わないでね。私に素直に従わない、貴方が悪いのよ？
ふふっ、貴方がどうするのか、本当に楽しみだわ。
～教経 Side～
汜水関で防戦を始めて、そろそろ一月になる。
奴さん達は間断なく攻めて俺たちを奔命に疲れさせるつもりで居るのだろうが、残念ながら全く意味がない。なにせ、汜水関の後側に陣屋を構築してそこでぐっすり眠らせているからなぁ。
戦を始める前、汜水関にいる兵を三分割した。
抗戦組、待機組、休息組。各25,000。これをローテーションさせているのだ。基本的に25,000で対応することとし、寄せ手の将や兵数に応じて待機組も参加させる。寄せ手が交代したらこちらも交代させる。勿論、疲労が激しい場合も交代させる。今まで、それは上手く機能している。
「さて、そろそろ董卓様と俺様からの心ばかりの贈り物をお届けに上がる使者が、それぞれの戦場に到着した頃かな？」
「恐らく、到着したと思うのですよ。呉郡に関しては多少心許ない気もしますが、それでもあと僅かというところまでは行き着いていると思うのです」
「なら、そろそろ汜水関を放棄するか」
「ちょっと待ちや、経ちゃん。もう汜水関を放棄するんか？」
「あぁ、放棄する。あと2ヶ月もしない内に、それぞれの故郷から『董卓様・教経様有り難う』というビデオレターが届くはずだからねぇ」
「びでおれた－？」
「あ～、とにかく、俺たちに感謝している、その恩人に対してなんたることをしているのかこの馬鹿息子め、とかいう手紙なり便りなりが前線に届くって事だ」
「成る程」
「そうなると、こいつらは領地に帰っちまう可能性がある。それは駄目だ、許さない。袁紹の目的を果たす為の捨て駒として、しっかりとその役割を果たさせてやる必要がある。そうでないと、袁紹は満足しないだろうよ。自分の目的を果たす為に諸侯を顎でこき使い、目的の一つである董卓討伐は叶わなかったが洛陽奪取には成功した。名家でない有象無象共が自分に傅くことも確認出来たし、先ずは満足ですわ、となるだろうからな。その為には、そろそろ勝利を諸侯と馬鹿に味わわせる必要がある。その勝利の味が忘れられずに未練がましくいつまでも虎牢関に攻め掛かって貰う為に、な。だからこその汜水関放棄だ」
「……改めて経ちゃんの口から聞くと、ホンマにえげつないな、自分」
「褒め言葉にしかならんよ、その言葉はな」
「教経様、放棄するのはよいのですが、不自然に過ぎませんか？」
「あぁ、そうだろうな。だから、不自然で無くす必要がある」
「打って出て、形勢不利と見て退却する。そう言う形を整える、ということですね？お兄さん」
「そうだ。その為に皆には死んで貰う。俺の為にな」
「今更に打って出ると、逆に勘繰られはしないか？」
「だから、お前さんに芝居をして貰うのさ、華雄。武士には申し訳ないことだがな」
「芝居？」
「そうだ。やはり罵声には我慢が成らない、だから飛び出した。それに引き摺られて、俺たちも関外で戦わざるを得なくなった。哀れ、親董卓連合軍はその敗亡に向かう第一歩を踏み出してしまったのだ。……なんとも悲しい、良い京劇になりそうな、お涙頂戴的なシナリオが用意してあるんだよねぇ」
「……経ちゃん、そのニヤニヤした顔で言われても全くこう、迫ってくる感じがせぇへんわ」
「クククッ、奴ら、乗せられているとも知らずに、華雄を馬鹿にして勝った勝ったと騒ぐんだろう？これが笑わずにいられるか？あははははは」
「ふっ。お前がそういうのだ、間違いなく成功するのだろう。私は月様の為になるのであれば別に何でも構わない。直ぐにそれを実行するとしよう」
「華雄、自分ホンマ変わったなぁ」
「霞、『士別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし』、だ」
「成る程、正しく今の華雄殿に相対する人間全てが心得ておくべき金言ですね」
「まぁ、そんなわけだ。次に連合軍が攻め寄せてきたら、その罵声に猛々しく応じて関から飛び出してくれ、華雄。但し、深追いはするなよ？まぁ、お前さんに限ってそんなことはしないと思うが」
「任せて貰おう。心配については、当然だろう。私ならそうしたであろうからな。だが今の私は武士だ。そのような愚にもつかぬ事はせぬ」
「良し。では、関から撤退する際の撤退先だが、俺たち平家は山へ移動する。華雄、お前さんは虎牢関へ移動してくれ。お前さんの変貌ぶりを見て、きっと呂布と陳宮も思うところがあるはずだ。奴らが関外で戦おうとした時に、それを説得してやってくれ」
「わかった。恋とねねについても、承った。必ず、分かってくれるだろう。月様の為なのだから」
「あぁ、宜しく頼むぜ。霞、霞は俺たちと一緒に来てくれ」
「了解や」
「兵の振り分けは、平家軍23,000と霞の率いる隊の内10,000が山へ。華雄率いる隊と霞の隊の残りは虎牢関へ。そういう形にしよう。これで、山中に33,000、虎牢関に68,000ということになる。一戦して減少したとしても、虎牢関には大体65,000程度の兵が居れば抜く事は出来んだろう。華雄と霞。上手くやってくれると信じている。余り無駄死にをさせないように頼むぜ？風、全軍の撤退時期について、見極めてくれ。撤退すべきと思ったら、銅鑼を鳴らしてくれればいい。
華雄。虎牢関では、軍師に稟が付いている。アレが居る限り、負けはない。間違いなくな」
「では、私は虎牢関に到着したら、郭嘉の指示に従うとしよう。間違いないのだな？」
「あぁ、俺など問題にならぬ程に頭が良い。彼女の言に従っていれば間違いない。それは保証してやる」
「わかった」
さて、そろそろ華琳辺りが痺れを切らしてくるんじゃないのか？それとも、孫策かな？いや、諸葛亮が袁紹を上手く乗せて献言するということも考えられる。
まぁ、どうでもいい。俺の手の内で踊ってくれる分には、誰がどんな格好でどんな踊りを踊ろうと構わない。これは、俺が描いた俺の戦だ。俳優として、精一杯俺の期待に応えてくれれば文句はないさ。舞台の上であろうと、舞台袖であろうと、な。
～朱里 Side～
「諸葛亮様、敵軍が汜水関から飛び出してきました！『華』の旗を掲げ、一直線にこちらに向かって来ます！」
「わかりました。予定通りにお願いします」
「はっ」
敵が、餌に食いついた。
汜水関に篭もる将の内、最も堪え性がない華雄さんに向けて罵声を浴びせ続けること一月。漸く華雄さんがその本来の性質を剥き出しにして、親董卓連合軍を敗亡の沼地へ誘ってくれた。
「鈴々ちゃん、後は宜しくね。気をつけてね」
「わかってるのだ！鈴々は強いのだ！行ってくるのだ！」
鈴々ちゃんが前線へ趨く。
戦線は、押され気味だ。華雄さんは猪だが、その武勇には確かなものがある。
「鈴々ちゃん、大丈夫かな」
「大丈夫ですよ、桃香様。それに、こちらは私達だけで攻めている訳ではありませんから」
「……うん、そうだよね。こんな策を思いついていたなんて、やっぱり袁紹さんは凄いね」
「それは、……そうですね……」
それは、違うだろう。そう思うが、ここで強く袁紹を否定しても頑なに成るだけだと思い、その言葉を飲み込んだ。桃香様は、袁紹にすべてを任せようと思っているのでしょうか。
「あ、汜水関から全軍が出てきているみたいだよ？」
汜水関から、張遼軍が曹操軍へ向けて一斉に掛かっていく。平家軍は孫策軍に向かっている。
桃香様と袁紹のことを考えるのは、後だ。今は、目の前の戦に勝たなければならない。
「手筈通り、更に華雄さんを挑発して下さい」
「畏まりました！」
伝令が走っていく。前線に到着すれば、聞くに堪えない罵声を浴びせ始めるだろう。
『華雄の猪！』
『華雄の字無し！字を付けてくれるような人が一人もいないと見えるな！』
『華雄の真名無し！どうせ親に捨てられたのだろう！貴様は不要な人間だったのだ！』
これを聞けば、間違いなく突出してくるはずだ。
その時に、華雄さんを討ち取る。出来れば、生け捕りにして欲しい。敵軍の内情を把握したい。
いつ、華雄さんは突出するのか。そのことばかりを考えていた。
彼女が、既に私達の知る彼女ではないということも知らずに。
～雪蓮 Side～
汜水関から敵軍が一斉に攻め掛かってきた。
可哀相に、華雄の猪に引き摺られて、勝てる戦で負けてしまうなんてね。
こちらにも軍が向かって来ている。
『揚羽蝶』の旗印だ。浅葱色にダンダラ模様の羽織を捜す。
……先頭にいる。
「来たわね、平教経が」
「……雪蓮、駄目だぞ」
「……わたしまだ何も言ってないんだけど？」
「お前のことだ。どうせ平教経とやり合おうというのだろう？」
「いいじゃない。どうしても挨拶しておきたいのよね～」
「駄目だ」
「ぶ～ぶ～」
「祭殿に折檻して貰うか」
「も～、わかったわよ。じゃぁ、わたし後ろに下がってるからね」
「ああ、そうしていてくれ」
「はいはい」
そういって、後方に下がる。でも、わたし、きっと迷子になっちゃうと思うな～。冥琳。偶々、本当に偶々行き着いたところが平教経の前だったのよ、本当。嫌になっちゃうわよね？わたしも吃驚しちゃったのよ、本当よ、本当。……うん、これで完璧ね。
「じゃぁ、ご挨拶に行ってこようかしら」
馬に跨り、平教経の下へ。どんな奴なのかしら。
馬を下り、前線で剣を振るっている平教経に向かう。
その周囲を7人の兵が囲んでいる。
「お前を殺して、俺たちは出世するんだ！」
「7人で完全に囲んでいるんだ！殺れるはずだ！」
「命乞いをするなら今の内だぞ！ははは！」
兵達は自分たちの優位を疑っていないようだ。
確かに、あの状況から抜け出すのは難しいだろう。
「……お前さん達、もしかしてまだ自分たちが死なないとでも思ってるンじゃないかね？」
「何言ってやがる！死ぬのはお前だ！」
「残念だねぇ。知ってたかね？身の程を弁えないと、不幸になるンだねぇ。……呉れて遣るから遠慮無く受け取ってくれ。不幸を、な」
そう言った次の瞬間、平教経から凄まじい殺気を感じた。
わたしを誘っているのかしら。こんなに興奮を覚えるなんて。
平教経は、見たこともないような疾さで兵達の間を駆け抜けた。それこそ、あり得ない疾さで。気付けば、周囲にいた兵達は皆死んでいた。皆、首を刎ねられて。
孫家の兵に弱兵は居ない。祭が徹底的にしごいているからだ。だが、その兵達をいとも簡単に斬り伏せている。それも、首を刎ねているのだ。そう簡単には出来ない芸当だ。
「あなた、やるじゃない」
「……誰だね、お前さんは」
「私は、姓は孫、名は策、字は伯符。孫家の総大将よ」
「……俺は、姓は平、名は教経。字も真名もない。平家の頭領をやらせて貰ってるよ」
「そう、じゃぁ、早速だけど、死んでくれるかしら？」
不意を突いて、胴を斬りつける。
平教経は少しだけ後に下がり、私の剣を躱した。
完全に、見切られた。ぞくぞくしてくる。
「この状況で腕試しかね？殺せる時には確実に殺しておいた方が良い、と俺は思うんだがねぇ」
「あら、腕試しだと分かるわけ？」
「分からいでか。殺すつもりなら胴を両断するつもりで踏み込んでくるだろうに」
「へぇ……じゃ、今度こそ本当に死んで？」
「お前には出来ないかも知れないがね」
平教経と対峙する。
わたしと平。二人の間の空気が固着する。
……隙がない。であれば、隙を作るしかないわ。
剣を下から斬り上げる。但し、地面を刺して土塊を飛ばしながら。
だが、平は目を閉じず、真っ直ぐに私に向かって来た。
冗談じゃない。
土塊を顔に向けて飛ばしているのに、瞬き一つせずにそのまま突っ込んでくるなんて。
思う間に、目の前まで平が来ていた。
これは、拙い。斬られる。
反射的に首を守るように剣を立てた。しかし、平は笑いながらその片刃の剣を寝かせ、胴を突いてくる。躱せない。間に合わない。
腹部に来るであろう衝撃に耐える為に身構えていたが、突然彼は後に飛び退った。
私と彼の間を、一本の矢が通ったようだ。
「成る程、正々堂々と戦う事もない、か。誠、その腐った性根には感服仕った」
「待ちなさいよ！わたしがそんなことするはずないじゃない！」
「俺はお前さんのことなど知らん。お前さんがどういう人間かなど、今の今まで知らなんだ。その俺に、わたしがそんなことするはずない、などと言ったところで、只の言い訳にしか成らないのではないかね？」
「策殿！離れられよ！その男は弓で射殺す！」
そう言って、祭が弓で矢を射る。弓勢が強い。不意打ちに近い形で矢を射掛けた。射ているのが祭であることを考えると、平は死ぬ。
「ば、馬鹿な」
「……矢を手で掴むことが、そんなに珍しいかね？こんな曲芸紛いのことは10かそこらで出来るようになっていたンだがねぇ。まぁ、水を差してくれた礼をしなきゃならンだろう。お前さん達二人には此処で死んで貰うことにしよう。その方が、後腐れが無くて良いだろう？そうは思わんかね」
言いながらこちらに向かって奔ってくる。
さっきのアレ。間違いない。きっと首を刎ねようとしてくるだろう。剣を立てる。
「！」
防ぐことは出来たが、剣を撥ね飛ばされてしまった。
「……どうやって防いだのかね？太刀筋を見て反応することなど出来ないだろうに」
「勘よ」
「……勘かよ……まぁ、いい。どのみちここでお前さんは終わりだ」
もう一度、来るつもりだ。祭が立ちふさがるが、恐らく二人とも殺されてしまうだろう。
……冥琳、蓮華を頼むわよ。絶対に、孫家の宿願を果たして頂戴。
その時、突如銅鑼が鳴った。
「……残念だが時間のようだ。此処でお前さんを殺しておいても良いンだが、時間がないからな。また次の機会にその首を刎ね飛ばすことにするさ」
「……今殺しておかないときっと後悔するわよ？」
「……かもしれん。が、今は退却しなきゃならん。目的を忘れて戦いに酔うなど、低能のすることだ」
そう言って、戦場をうろついていた馬に跨った。
「ではな、孫策。いずれ会うこともあるだろう。その時、お前さんが敵であればその首貰い受ける。……その時まで、壮健でな、孫策。……はやっ！」
馬の胴を蹴り上げて奔らせ、撤退していく。その後を、平家軍が整然と付いて行く。
見れば、張遼の隊も華雄の隊も一斉に退いているようだ。
「祭、今よ。汜水関を落とすの！」
「しょ、承知！しかし、策殿、あとできっちりとお話をさせて頂きますからな！？」
「わ、分かってるわよ」
今は、汜水関を落とすのが先だ。冥琳、怒るんでしょうね……はぁ。
……平教経、か。