仕官「こちらがD.C.編入試験会場です」

姫神「大きいですね・・・」

仕官「風見学園が誇る大規模の錬技場です」

やたらと広い体育館みたいな場所に、巨大な水晶が置かれていた。

仕官「編入試験はこれを5分間でどこまで傷をつけられるかです」

姫神「硬度はどれぐらいですか?」

仕官「そうですね・・・昔は最大級の魔法1発で大体3分の1くらい破壊できましたが・・・」

今はどうか分からないと告げた。

姫神「ありがとうございます」

仕官「それでは、はじめ!」

姫神の挑戦が始まった。






ベルムラント物語 〜4ページ目・理不尽な破壊者(クラッシャー)前編〜







美咲「おはようございます」

純一「ああ、おはよう」

登校途中で美咲と合流する。

美咲「音夢さんは?」

少し眠そうに純一が、

純一「D.C.一斉の健康診断だって・・・」

美咲「ああ・・・私たちは先に終わらせておきましたからね」

純一「今日一日、一番隊はてんやわんやだな」

美咲「そうですね」






音夢「ちょっと疲れがたまってますね・・・2、3日休んだ方がいいですよ」

D.C.隊員「はい・・・」

隊員が退室する。

音夢「ふう・・・」

肩を回し、軽く伸びる。

美春「先輩?バナナ食べますか?」

音夢「いや、いいよ」

美春「そうですか・・・次の方どうぞ!」






杉並「よう、我が友よ!」

純一「異界に住まいし風の化身よ・・・」

純一の前に『門』が開く。

杉並「朝っぱらからいきなり!?」

純一「彼のものを吹き飛ばせ!シルフ!!」

『門』から風の精霊が飛び出し、杉並を掴んでそのまま飛び去った。

杉並「あいるぅびぃーーーーーーーーばーーーーーーーっく!」

純一「朝の軽訓練終わりっと」

軽く伸びをして、杉並を吹き飛ばした方向を見る。

美咲「もう・・・ほどほどにしないとだめですよ?」

純一が美咲の隣に付くと、

純一「そういえば、姫神の試験って今日だったよな?」

美咲「はい、そうですね・・・」

二人が錬技場の方向を見る。

美咲「純一さんはどうやって破壊しました?」

純一「イフリートに頼んで溶かしてもらった。美咲は?」

軽くポニーテールを揺らしながら、

美咲「私は『降り注ぐ光の破線(セレスティアルスター)』で♪」

純一「めちゃくちゃな大魔法ですね・・・」

美咲「杉並さんはどうやって破壊したのですか?」

軽く視線を上に向け、

純一「『魔剣』ですっぱり真っ二つ」

美咲「眞子さんは『獅吼滅殺陣』何とか破壊していましたし・・・」

純一「確実に俺らのせいであの水晶強化されたよな・・・」

美咲「あの水晶になってから実力試験側の入団人数が4分の1になりました・・・」






風見学園はノーザンが誇る軍学校である。

カノンの魔術学校に匹敵する規模を持つ、有名な学校である。

純一たちD.C.のメンバーはここを本部にしてさまざまな業務に当たっている。

当然ながら入る条件は厳しい。

試験の形態は二つ。実技試験と筆記試験。

組み分けすると、実力が純一、美咲、美春、眞子、杉並。筆記が音夢、萌、ことり、みっくん、ともちゃん。

姫神が選んだ実力試験は、水晶に傷をつけるだけなのだが・・・

あまりにあっさりと純一たちに破壊されたため、さくらと暦が持てる技術を持って作り上げた水晶。

たとえ、美咲の『降り注ぐ光の破線』でもやっと4分の1が削れるか程度まで強度を上げてしまった。

そんなんで入団する戦闘系の実力が上がっていったのである。

そんな原因を作り上げた本人はというと・・・

純一「今日も一日かったるいな・・・」

誰にも邪魔されない寝床を探して一人ぶらついていた。

そのとき、体育館の方で何かが砕ける音がした。

純一「かったる・・・」

言ってることと正反対に体育館に駆け出していた。

体育館に着くと、姫神のほかに全員が揃っていた。

姫神の手には円柱状の物体が装着されていた。

先端から三つに開き、内側が緑色の光に覆われている。

姫神「なるほど・・・これがシャイニングフィンガーというものか!」

キャラが変わっています。

腰を抜かしている仕官を立たせ、事情を聞く。





姫神「とりあえず、これかな?」

カードを取り出し、銃に入れる。

“シュートベント”

腰のホルスターに銃をしまい、落ちてきたビームライフルを構える。

3発ほど撃ち込む。

水晶はものともせずに弾き飛ばす。

姫神「じゃあ・・・これ?」

ライフルを投げ捨て、カードを再び入れる。

“ソードベント”

巨大な刀、斬艦刀が振ってくる。

柄を握り軽く振った後、思いっきり振り下ろす。

ガギィン!

刃先が表面で止まり、それ以上進まない。

姫神「あー・・・気が進まないけど・・・これで!」

カードを取り出し、銃に入れる。

“ストレンジベント”

すると、姫神の手に新しいカードが現れる。そのカードを銃に入れる。

“ストライクベント”

片腕に光が巻きつき、円柱状の物体が姿を現す。

先端が三つに開き、ビームが放出されている。

姫神「必殺!シャイニングフィンガー!!なんちゃって」

水晶に先端を当てると同時に水晶が少しずつ溶け出す。

しだいに円柱の半分を飲み込んで止まり、

姫神「砕け!」

先端が閉じると同時に水晶が砕け散った。




大まかな内容にみんなが唖然とする。

純一「イフリートの炎でも5分はかかったのに・・・」

音夢「伝説の魔法『至高の光』でもこんな時間叩き出せないと思う・・・」

美春「研究所の試作品でも無理です・・・」

眞子「あたしにいたっては昔のを破壊するのでやっとだったのよ・・・」

杉並「俺の『魔剣』でも真っ二つにするのがやっとだったぞ・・・」

萌「うにゅう・・・」

ことり「これがダメだったから私たち戦術を取ったんだよね・・・?」

みく&とも「うん・・・・・・」

さくら「ボクが全技術を掛けて作り上げた水晶をこうも簡単に・・・」

暦「ますます興味深くなった・・・・・・解剖してみたい・・・・・・・・・」

美咲「わたし、もう笑えないよ・・・・・・」

今までの最速タイムを持っていた美咲は、キャラが変わっていた。

姫神「・・・あいつや柳夜だったら30秒切れるんじゃないかな・・・?」

姫神が何かを呟いていた。





そして、錬技場の水晶辺を片付けてから訓練が始まる。

みんなそれぞれの仕事に戻っていく。

眞子「はぁ!せい!」

眞子がサンドバックに拳を打ち込む。

美春が長距離の的を打ち抜いている。

姫神はというと・・・

不良A「ねえねえ、俺たちといいことしなーい?」

姫神「・・・・・・」

不良B「あれあれ?ビビッて声も出ないみたいだよ〜?」

否、呆れているのである。

姫神(どの世界にもこんな人種っているみたいですね・・・・・・)

姫神「はぁ・・・お話にならない・・・・・・」

不良A「何だと!」

姫神「もっとこう・・・いきなり背後から抱きついて、押し倒すとかそういう度胸もないみたい・・・・・・
   おまけに実力もなし。あーあ、ヘタレたちを相手にするのも飽きたな〜」

不良B「このアマ!言わせておけば!」

不良たちが剣を抜く。

姫神「そんな風に得物を出せば相手がおびえるとでも?しょうがないな・・・」

カードを取り出し、腰の銃に入れる。

“スナイプベント”

姫神の両手には計8本のヤクトダガー。

不良A&B「死ねや!」

両サイドから切り込む不良たち。

それを尻目に、カードを入れる。

“アクセルベント”

急に不良たちの視界から姫神が消える。

姫神「ほら、ね?実力が足りないって」

不良たちの200メートル前方に現れダガー4本を投げる。不良たちの手元に刺さる。

不良A&B「ぎゃあぁああ!お、覚えてやがれ!」

叫びながら逃げていった。

美咲「姫神さん?どうしたんですか?」

姫神「いえ、ちょっと絡まれたのでお仕置きを・・・」

左手に残ったダガーを見せる。

美咲「あ、はは・・・・・・」

乾いた笑いしか見せられない美咲であったが、

美咲「そうそう、重要なことを忘れてました」

姫神「なに?」

美咲「明日は野外訓練です。必要最低限の戦闘装備以外持ってきちゃ駄目ですよ?」

姫神「はーい」

こうして、試験の日は過ぎていった。






風見学園職員室、通称『D.C.職員室』・・・

暦「以上が彼女のデータと持ってきた情報です」

資料を机に置き、座ってコーヒーを飲む。

ノーザン宮廷騎士団隊長クラス・・・教師とD.C.のメンバーに呼ばれている。が口を開く。

教師A「まさか本当に創術が存在するとは・・・」

教師B「しかも朝倉がその資質を持っているとは・・・」

暦「では、姫神優の入学を認めるかどうかを話し合いたいのですが・・・」

教師C「それには問題がないが・・・いささか問題が」

暦「問題とは?」

校長「どの部隊に入れるか・・・ということだ」

教師B「なまじ実力がありすぎるから、矛や盾には組み込みにくいぞ?」

教師A「ならば、諜報部はどうだ?あそこは人が少なすぎる」

理事長「ならばそれで決定だ」






そして、夕方。

姫神の元に合格通知と、

所属部隊を知らせた手紙と、

『ようこそ!非公式新聞部へ!』と書かれたカードが入っていた。





続く





やっと書き上がったよ兄さん。

私に兄はいませんが。

いやー、taiさんの更新ペースを甘く見ていた・・・

次はKanon! D.C.と比べて書きやすいこと間違いなし!

・・・SASはもうちょっと待って・・・・・・

SF編書くこと多いの・・・・・・

通常の奴の二倍は書いてるのに終わらないよ・・・・・・

もう、だめだ・・・・・・