遅れてごめんアルよ
目が覚めると見慣れない部屋、というか馬車の中だった。
結構な揺れであるにも関わらず、よく眠れたと思いながらも
横を見てみると、ティアが俺の肩に頭を乗せて眠っていた。
慌てる心になんとか落ち着かせ、ティアを見てみる。
寝顔は年相応なもので、まだあどけなさが残っている。
正直、女の子と同室で、しかもさっきまで一緒に寝ていたと思うと
非常によろしくないとはわかっていても、動いている馬車の中では
どうすることもできず、且つ彼女の寝顔に少し見ほれてしまった。
「う、うん・・・?」
そんなことを考えていると、ティアが起きる。
眠たそうに目を擦って起きようとする様は、本当に昨日一緒にいた
女の子かと思いたくなるほど、かわいらしく、それでい・・・って
なんで俺はそんなことを考えているんだ。
「?・・・?! ル、ルーク、ごめんなさい?!」
一気に覚醒したのか、ものすごく急に謝られた。
が、何故謝ってくるのか全然理由がわからない。
「私、兵士なのに一般市民の貴方より先に寝ちゃったし
おまけに貴方の肩に寄りかかってたし、それに昨日だって」
「す、ストープ!」
ものすごい勢いで捲くし立てられる気分は宛ら遠坂に(何故か)女性関係について
聞かれるような気分で、とりあえず、ティアを落ち着かせる。
「ティア、とりあえず落ち着いてくれ」
ちょっと涙目のティアを見て、少しドキッなってしまった。
昨日とは打って変わってものすごく女の子らしい・・・
「別に気にしてないよ。俺、いつ寝たか覚えてないし」
「で、でも・・・」
「それに、兵士といっても、ティアは女の子なんだから」
そう言ったら、ティアの顔が真っ赤になっていた。
・・・なんでさ? ティアが顔を赤らめている原因を考えていた
突然、馬車は大きく揺れた・・・その拍子にティアが俺に覆いかぶさるような体制になる。
「・・・」
「・・・」
お互いの顔がほんの数十cmしか離れておらず、顔を背けられないでいた。
よくよく見ればティアの顔は真っ赤で、身動きもまったくせずにいる。
昨日よりもさらに気まずいような状況で、俺は完全に混乱していた。
すると、再び大きな揺れが馬車を襲った。
耳を済ませてみれば、なにやら大砲のような音が聞こえる。
慌ててティアを押しのけ(そのとき何故かティアは残念そうな顔をしてた)外を見てみると
巨大な陸艦が、目の前に広がっていた。
『そこの辻馬車! 道を空けなさい! 巻き込まれますよ!』
機械に通したような声が聞こえると、馬車の進行はずれていく。
すると、陸艦は馬車が通過するはずだった場所を通り、一つの馬車目掛けて走っていった。
進行が変わるのが少しでも遅れていれば、先ほどの陸艦に巻き込まれてたかもしれない。
「驚いたな! ありゃ、マルクト軍の最新型陸上装甲艦タルタロスだよ!」
おじさんは俺たちに言ったのか、それとも独り言で言ったのかはわからなかったが
それを聞いたティアの顔が少しずつ青ざめていく。
何かおかしなことでもあったのだろうか? そんなことを考えているとティアがおじさんに話しかける。
「ちょっと待って。ここはキムラスカ王国じゃないの?」
「何言ってるんだ、ここはマルクト帝国だよ。
向かってるのは、偉大なるピオニー9世陛下のおわす首都、グランコクマだ」
それを聞いてやっと納得できた。
マルクトは確かキムラスカとは敵対関係にある国だったはず。
それを思い出すと、ようやく事態の深刻さがわかった。
「間違えたわ・・・」
やっぱりあのときの勘は間違ってはいなかった。
っが、今となっては後の祭りである。
「なんか怪しいな・・・あんたらキムラスカ人なのか?」
おじさんが不審に思うのも無理は無い、先ほどのティアの言葉を聞けば誰だったそう思うだろう。
とりあえず、適当でもいいから言い訳でも言っておかないと・・・
「いえ、マルクト人です。実は俺たち、マーボーカレーの
レシピを探す旅に出てて、キムラスカで情報を仕入れようとしてたんです」
とっさにそう言ってしまったが、はっきり言って無理がある。
マーボーカレーってなんだ? って自分で自問するほどの訳のわからなさ。
絶対に怪しまれる、そう思ってた。
「そうか・・・あのマーボーカレーを・・・」
・・・あれ?
「疑って悪かったよ、伝説のマーボーカレーを探す旅か。
最近の若い者はなっちゃいないが、あんたらみたいな人は久々だよ」
ちょっと?
「つらい旅になるだろうけど、頑張りなよ。おじさん、応援してるよ」
もしもーし?
今回はスキットは無しです、というか、考えられなかった(ぉ
次はエンゲーブですけど、まだイオンの事に関しては考えておりません。
女の子がいいという人もいれば、ガイがホ○なんだからイオンも男でいいジャマイカ
という、人として駄目なお言葉もありました。
とりあえず、その辺はもうちょっと考えてから話を進めたいと思います。