久々の更新あるよ〜








英雄か偽者か
第四話











どうやらこの世界には魔物が世界中にいるらしい。

このことは一般常識ではあるそうだが、完全に箱入りであるルークが知っているはずもなく

最初見たときは、動物と植物にしか見えなかったが、こちらに襲い掛かってきた時

完全な敵意と殺意をぶつけられたのが自然とわかった。

人外と戦ったことがあるとはいえ、それはあくまで英霊、人の形をしている超越種なのだ。

猪や植物みたいな魔物と戦うのには少々戸惑ったし、おまけに手持ちの武器が木刀だし

倒すのに物凄く手間取ってしまったが、それほど強いわけでもなかったので

怪我は最小限のものですんだが、魔物を倒した瞬間が未だに脳に焼き付いている。

魔物を倒した瞬間、魔物の体が光になって天に昇っていったのだ。

ティアが言うには、音素フォニムに返ったということだが、この世界では死体を残すことすらままならないのか?



「ルーク、どうしたの?」



ティアが無表情でこちらに話しかけてきたが、何でもないと返した。

彼女は何も思っていないのだろうか? 魔物を倒すということに。

たとえ兵士だからという理由だけでは片付けられない、片付けたくない。

なぜなら、彼女もまた、一人の女の子なんだから・・・



「うわっ、あ、あんた達まさか漆黒の翼か!?」



気がつけば見知らぬおじさんが脅えた様子で立っていた。

どうやら考え事をしている内に出口にたどり着いていたようだった。

勝手に震えているおじさんは俺たちが2人しかいないことを確認すると安堵するような顔をする。

気付かないうちに話が進んでいって、置いてけぼりにされているような・・・



「何処に向かわれるんですか?」



「首都だよ、何なら乗っていくかい?」



どうもこの人は馬車で着たそうだが、首都はバチカルだから、これですぐに帰れるのだろうか?

けど、『衛宮士郎』の勘が告げている、この先は泥沼だと・・・

でもティアに迷惑をかけるのも悪いし、どうすればいいんだろう?



「・・・じゃあ、乗せてくれませんか?」



「ティア?!」



「あいよ、1人で12000ガルドだから24000ガルドだね」



自分で乗るかと聞いてきたのに、金を取るのか。

ちゃっかりしすぎてるオヤジを尻目にティアの方を見る。

こういうのは彼女は断ると思っていたから、ちょっと驚いた・・・っといっても

彼女と出会って半刻ぐらいだから、そこまで知ってはいないけれど。

しかし、ガルドという単位を聞いて困ったことがある。

『ルーク』にとってはそれは別に高額という訳ではないのだが

『俺』はどれほどのものなのかがわからないため、非常に悩まされるのだ。

魔物を倒して手に入れたお金もあるのだが、それでは全く足しにもならないし

かといって、身に纏ってるものを渡すにしてもそれでも足りないかもしれない。

そんなことを考えていると、ティアは身に着けていたペンダントを握り締めていた。



「・・・っ」



どうやらそれを代金の換わりにしようとしているのだが、ものすごく名残惜しそうな顔で

それを引き渡そうとしているところを見たら、誰だって気付く・・・多分『ルーク』を除いて。

おそらく大切なものなんだろうけど、それを手放してしまったら二度と戻ってこないかもしれない。



「あの、別に宝石でもいいですよね」



「ん? あぁ、別に構わないが・・・」



そう言われて俺はポケットに手を突っ込んだ。端から見たらポケットに入っている宝石を

探っているように見えるだろうけど、実際宝石なんて持っていない。

だから作るんだ、切嗣から教えてもらったこの力で!

投影開始トレース・オン―――、いつもの合言葉キーは口には出さず心で唱える。

宝石なら以前投影したことがある、っていうかされたことがある。

遠坂、少しの妥協も許してくれないんだもんなぁ。

んなこと考えるとどうやら出来上がってたようで、ポケットから取り出してみる。

すると、二人はギョっとした顔をする。何事かと思い、作った宝石を見てみると

拳大ほどの宝石があった、っていうか、でかっ!!



「ちょ、ちょっとルーク!!」



物凄くあわてた様子で俺に駆け寄るティア、でもわからないでもない。

どうみても一千万、いや、下手をすれば億は下らなさそうなほどの馬鹿でかい宝石を

渡す人は、金にとことん無頓着か、それとも単に馬鹿なだけか。

まぁ、これは贋作だから別に問題はない。それどころか逆に罪悪感があるぐらいだ。



「ほ、本当にいいのかい? 今ならまだ取り返しは・・・」



物凄く悩んでらっしゃるおじさん、そしてオロオロとするティア。

自分で作り出した状況でアレだけど、誰か何とかしてください。

とりあえず、こんな状態が30分ほど続き、何とか立ち直ったおじさんに

宝石を渡してなんとか収集はついた。
















続く
















SKIT 形見



テ「ルーク、本当にあの宝石を渡してよかったの?」

ル「ん? まぁ、あれがどれほどの値打ちがあるかわからなかったし、それに・・・」

テ「・・・それに?」

ル「ティアがペンダントを名残惜しそうにしてたから」

テ「! ・・・ごめんなさい、関係のない貴方を巻き込んだ上にこんなことをさせるなんて」

ル「いいよ、気にしてないし(そもそもあの宝石贋作だし)」

テ「ルーク・・・」

ル「?」

テ「ありがとう・・・」










あとがき


何か士郎が偽者だ、つーかキャラ忘れた。

大学祭が終わったので、やっとこさ更新できましたが、遅すぎですか。

とりあえず、来月にクリスマスライブがありますが、それが終わればフリーになる予定ですので

更新速度は速くなると思います、あくまで予定ですが(ぉ