ガイが好きな人、超スマン











英雄か偽者か
第二話












旋律を奏でた一人の女性が、目の前に降り立った。

公爵家に真正面から入り込んだにも関わらず、変装も何もしていない女性・・・

いや、まだ少女といも言うべき幼さをも持ち合わす彼女は、ただ、ヴァンだけを見つめていた。



「覚悟!」



少女はどこからか杖とナイフを取り出し、ヴァンへと襲う・・・っが、たとえ弱っていても

さすがというべきか、その攻撃を防ぐが、ヴァンの表情は苦悶に満ちている。



「やはりお前か、ティア!」



ヴァンは少女・・・ティアに怒りとも悲しみともいえないような叫びをとばす。

しかし、依然としてこちらが不利であることは変わりない。

身体を動かそうとすると、鉛を背負ったかのような感覚ではあったが、それでも動けないわけではない。

彼女は二撃目をヴァンに食らわそうとするところを、俺が割って入るような形になった。



「止めろぉ!!」



「なっ?! ルーク、来るな!」



ヴァンの静止を聞かず、俺は彼女の目の前に出る。

振り落とされた杖は、木刀に当たる・・・と同時に、謎の光が放たれ、幻聴が聞こえた。



響け・・・ローレライの意思よ届け・・・開くのだ!




「これは、第七音素セブンスフォニム!?」



彼女は驚きの声を上げるも、俺はそれどころじゃなかった。

さっきの一撃を防いだためか、身体に圧し掛かっていた重さは消えていたが、今度は完全に身体が動かない、

だが、どうやらそれは彼女も同じらしい、身動きひとつしない。

すると、今度は俺と彼女の身体に光が纏い始め、光は俺達ごと天へと昇っていく。

そこで俺の意識は失っていた。























「ルーク様!」



突然、お屋敷に入られた侵入者は、ルーク様と共に光に飲み込まれ、天へと昇っていった。

あれは恐らく擬似超振動・・・ということはルーク様はこの世界のどこかに放り出されたことになる。

7年前にルーク様は誘拐されてそれ以前の記憶は全て忘れ去られてしまった。

それ以来、ルーク様はただの一度もお屋敷に出たことがないのに、こんなことになるとは・・・



「「・・・・・・」」



先ほどの光を見ていたお二人も空を見上げたまま動かない。

あまりにも意外な展開に驚きを隠せないのだろうか?



「ル・・・」



「メ・・・」



「ルゥウウゥゥゥウウウウゥウゥゥウゥゥゥクゥウウゥゥゥウウ!!」



「メシュティアリカァアァァアアアァァアアァアアアァァァアァ!!」



突然、2人が叫びだした・・・すると慌てた様子で中庭に現れ始める白光騎士団。

どうやら今の叫びで目覚めたようだが、2人の暴走は止まることを知らなかった。



「ルークゥ! 俺のルーク!! ルークがあんなクソ女アマに連れ攫われるなんてぇぇ!!」



「メシュティアリカァ!! あんなに可愛かったのに! あんなに私に懐いてたのにぃぃ!!」



あまりの変わりように周りは呆然としている・・・というか、私もしていた。

ガイラルディア様・・・貴方様は、この公爵家に復讐を企てようとしてたんじゃなかったのですか?

いえ、わかってました、わかってましたとも・・・貴方があのルーク様に恋してたことに・・・

ただ、私自身気づきたくなかっただけなのだ・・・そう、貴方は『ガイ』でも『ガイラルディア』でもなく

『ゲイ』だったのですね? そしてヴァン謡将、あの侵入者とはどんな関係が?



「くそぅ! 待ってろよルーク!! 今、俺があの女の魔の手から救ってやるぞ!!」



「そうか、わかったぞ! 反抗期なんだな?! 私のメシュティアリカ!!」



未だに収まらず・・・というかむしろヒートアップしていく2人。

ペールはこのお二人の未来が不安でしょうがありませんでした。










続く














あとがき

今回は超スマンかったとしか言いようがないよ〜。

ただ、今更だけどどうやら俺変態が最低でも一人いないと落ち着かないようなんだ(ぇ

だから、その犠牲者としてゲ・・・ガイをだなぁ・・・とりあえずスマン。