日本の北国のどっかその辺………
二人の少年と少女が居ったそうな………
野山に混じりて竹を取りつつ………
M「ってなんで竹取物語よ!!」
AMK15KB劇場………実際は12KB
どっかの高校、二年生一時間目の授業中………
K「なあ………」
一番後ろの男Kが前席の男Aに話しかける。
A「何だ?」
Aが振り向き、答える。
K「そろそろあの計画を実行するぞ」
A「わかった。次の休み時間でいいな?」
K「いいぜ、思う存分やろう………」
二人は納得してうなずき合うと顔を元に戻した。時計はもう少しで休み時間を告げようとしていた。
休み時間に入った瞬間、
A「はいはいはいはぃーーーーーーー!!」
K「はいはいはいはぃーーーーーーー!!」
黒板前に窓側と廊下側からやってくるAとK。
クラスの生徒はいっせいに着席した。
彼らがこういう風にやって来れば、何か面白いことが起こるとみんな知っているからである。
A「さて、やってまいりましたAMKお笑い劇場!」
K「このコーナーは、貴重な休み時間を俺らが独占しようというコーナーです!」
A「さて、栄えある第3.14回の突っ込み役はーーーー!」
K「だらららららららららら」
Kが口でドラムロールを奏する。
K「でんっ!」
A「容姿端麗、高嶺の花、我らが学年主席、Mさんです!」
今まで座って見ていたMが立ち上がり、前に出る。指定の制服にウェーブヘアーがトレードマークである。
M「ちょっと! なんで私が突っ込みなのよ! それになんで円周率なのよ! ていうか.14回っていつやったのよ!」
K「おお、Mさんもう既に突っ込んでいます!」
A「んー、今日はバカによく見えますねー」
M「なんで競馬のパドックの解説調なのよ!」
K「それはさておき、Aさん?」
M「ほったらかしかい………」
A「なんだい? Kさん?」
K「このあいだ、とても寒かったじゃないですか?」
A「ふむふむ」
K「寒かったら、おでんじゃないですか?」
A「ほうほう」
K「その日、コンビニにおでんを買いにいったんですよ」
A「で、それで?」
K「そこで買った肉まんがとてもおいしかったんですー」
M「おでんはどうしたのよ! おでんは!」
A「そうだぞ! ちゃんと『中華まん』って呼びなさい!」
M「そこじゃない!」
K「なんだと! 俺はアンまんも食べたぞ!」
M「きいてない!」
A「ところで、ピザまんにからしって付ける必要あんのかな?」
M「いまは関係ないでしょ!」
K「スジャータが、10時41分をお知らせいたします」
M「HBC!? 関係ないし!! 何なのよ、その中途半端な時間は!!!」
Aの形態が鳴る。
M「作者!携帯の字が違う!!」
地の文に突っ込んでくるとは………
A「あっと、ここでじかんだぁーーーーーーー!!」
M「何で古舘伊知郎風なのよ!」
K「残念ながら時間です・・・ほぉーーたぁーーるのぉーーー………」
M「閉店かい!」
A「残念ですね………やっと突っ込みが乗ってきたのに………」
K「まあ、しょうがないです。学生の貴重な休み時間使ってるんですから………」
A・K「次回も、この時間に!新婚さん、いらっしゃーい!!!」
M「局がちがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーう!!!!」
こうして、一時間目の休み時間が消化された。
だが、魔の手は二時間目の休み時間にも及んでいた。
A「はいはいはいはぃーーーーーー!!」
K「はいはいはいはぃーーーーーー!!」
前回と同じ様に前に出る二人。
A&K「はいどーも、AKお笑い劇場でーす!」
A「おや?一人足りないような?」
K「それはまずいですね………彼女がいないと始まりません」
A「呼びますか?」
K「そうですね、呼びましょうか」
A&K「カムヒヤーーーーーーー! Mさーん!」
M「何でダイターン○の呼び方なのよーーーーーーー!!!」
Kにドロップキックが炸裂する。
A「おお!美しく決まりましたな………」
K「まあ、Mさんの暴力性には困ったもんですが………」
M「復活はやっ!」
A「ところでKさん?」
K「なんだい? いとしのA君?」
A「この間、調子悪くて病院に行ったんですよ」
K「ほうほう」
A「そのときは風邪って診断されたんですよ」
K「それで?」
A「その三日後、調子が良くならなくて、もっかい病院に行ったんですよね」
K「ふむふむ」
A「そしたら盲腸って言われたんですねえ、これが。ひどいと思いませんか?」
K「ははは、A君、医学は常に進歩しているものなのだよ」
M「それがオチか!」
K「おっと失礼、目にゴミが入ってしまった」
A「それは大変だ、この目薬を使いなさい」
Aが懐から一抱えあるような巨大な目薬を取り出す。
M「どこにしまってたのよ! それにその大きさはなんなのよ!」
A「細かいことは気にしない………さ、どうぞ」
K「じゃあ、遠慮なく………」
Kが目薬を点(さ)す。
K「目がぁ!! 目がぁ!!!」
A「はははははははは!! 見ろ! 人がゴミのようだ!!」
M「なに、ラ○ュタの○スカの真似してるのよ! なんでどっちもム○カなのよ!」
A「失敬な! Kがムス○で俺はロムスカ=パロ=ウル=ラピュタだ!」
M「どっちでも一緒でしょうが!」
KとAがお互いに耳打ちをし、手を握る。
M「何をしたいのよ………」
A&K「バルス!!」
M「滅びの言葉を唱えてどうするのよ!」
学校が揺れ出す。
M「なに、何なのよ!まさか………さっきの滅びの言葉!!」
A&K「腐海に手を出してはならん………」
M「ラピ○タの次はナ○シカかい………」
A「風が…止んだ………」
K「ババサマ、耳が痛い!」
M「わたしがババサマなの!?」
K「じゃあ、この揺れ止めようか?」
A「じゃあどっちが止める?」
K「Aが止めなさい」
A「わかった、じゃあいくよ………」
M「どうするつもりなの………?」
A「マギマギッ!」
M「マギー○司かい!」
A「さて、あらかた見せ終わったところで時間です」
K「今日も楽しめたかな?」
A「じゃあ最後に、せーの!」
A&K「ポンポポンポポンキッキーズ! バイバーイ!!」
M「ポンキ○キーズで締め!?」
A「ハヤシもあるでよ」
M「日本印度化計画!? 誰もわからないよ!」
そう、終わったのだ。そう喜んだのもつかの間だった。
A「はいはいはいはぃーーーーー!!」
K「はいはいはいはぃーーーーー!!」
A&K「どうもー!AKお笑い劇場でーす!!」
三時間目の休み時間、早弁する生徒が目立つ中、二人は前に躍り出る。
M「なにやってんだか………」
A「お! Mさんではありませんか!!」
K「これでやっとまともな挨拶ができますな。というわけで、せーのっ!」
A&M&K「どうもー!AMKお笑い劇場でーす!!」
M「って、なんで私までやってんのよ!」
A「おお! Mさんが乗り突っ込みを!」
K「おお! ネズミが大車輪決めとる!」
M「どこのネズミだーーーーー!!!」
Kに地獄車を極めるM。
A「うーん……容赦ない………………」
K「ところで………なんか最近突っ込みが激しくないか?」
M「気のせいよ」
A「K君!聞いてくれないか!」
K「なんだい? A君?」
A「俺は、お前を訴える!」
K「なにぃーーーーーーーーーー!!!」
M「ちょっと、いったいどうしたのよ!」
A「罪状は………インスタントラーメンに卵を入れたことだ!」
M「規模小さいわよ! 個人の自由じゃない!」
K「何だと! 大きな問題だ!」
M「どのへんが?」
K「半熟か完熟かの違い」
A「入れるならゆで卵にしなさい!」
M「そっち!?」
A「被告人K、前に出なさい」
K「はい」
A「その本に君の罪状が書いてある。読み上げなさい」
K「はい」
M「なにが書いてあるの?」
K「楽しかった運動会」
A「運動会」
M「卒業式の答辞!?」
K「思い出に残る、文化祭」
A「文化祭」
K「みんなで行った」
A「千葉、滋賀、佐賀!」
M「ラーメンズ!? 分かる人少ないよ!」
K「三日連続」
A「千葉、滋賀、佐賀!」
M「三箇所三日で回ったの!?」
K「いつもここから」
A「千葉、滋賀、佐賀!」
M「微妙に違うし! しかもかなしいとき!?」
K「日本の首都は」
A「千葉、滋賀、佐賀!」
M「東京だし!」
K「アルゴリズム体操、おわりー!」
A「アルゴリズム体操、おわりー!」
A&K「ピタゴーラ! スイッチ!!」
M「この幼児向け番組見てる人いるの!?」
A&K「ありがとーございましたー!!」
M「勝手に締めるなー!!!!」
このときほど、Nが居ない事を悔やんだ。
いつもならその眠たい声で全てを一蹴してくれるのに………
だから、風邪で休みの友人を恨んでいた。
昼休み、憩いのひとときの筈が、何故か体育館のステージに立っていた。
断れると思ったが、妹のアイス代請求が来た瞬間に負けを悟った。
しょうがないので妹を恨みつつ、AとKにあわせることにした。
そしてAは演台、Mはメモ帳を持ってパイプ椅子に座る。
A「えー、それではK氏の記者会見を行います」
M「質問があります」
A「何ですか?」
K「K氏の会見は分かるのですが、何の会見ですか?」
A「グリコ・森永事件についてです」
M「古っ! 私たち生まれてないし! ちゃんと答えてください!!」
A「じゃあ、テストの問題」
M「じゃあ、って何ですか!」
A「細かいことを気にするな!」
M「逆切れ!? あなた本当に司会なの?」
A「どうも、司会の円○です」
M「笑○!? 途中寝ちゃうし!」
A「遊びはこれくらいにして………」
M「遊ぶなーーーーーーー!」
A「K氏の入場です。青コーナー! Kーーーーー氏ーーーー!!!」
M「プロレス!?」
ジャーン、ジャンジャン、ジャジャン!
ジャーン、ジャンジャン、ジャジャン!
M「踊る大捜査○!? 青島君!?」
K「やあ、どもども」
M「普通に出てきたー!」
K「どうも、Kです」
A「質問のある記者は、質問をどうぞ」
M「何の会見ですか?」
K「謝罪会見です」
M「何を謝罪するのですか?」
K「えー、このたびは、BSE問題で値引きされた牛肉をやたらめったら食べまくったことを、深くお詫びします」
M「そんな理由かい……その上大量にかい……………」
A「もちろん食べ過ぎて腹を壊しました………作者が」
M「オチ付き!? しかも二段!??」
A「まあ、反省してるし、この私に免じて許してやってください」
M「何であんたが免じるのよっ!」
K「宝くじが、9時をおしらせいたします」
M「そんなマニアックな!」
A「では、次のリクエストです。石田純一で、『ジゴロ』です!」
M「いつからラジオになったのよ! 曲も古いし!」
K「はい、では、☆澤幸子先生の『奥様、ここでもう一品』のコーナーです!」
M「今度はSTV!?」
A「はい、では『本日のスープ』ですが………」
M「大泉○!? しかも曲だし!」
K「ウーロン茶は○ントリーのこと」
M「いきなりコマーシャル!?」
A「昔の賄賂は3人に渡していたら『サ○トリー』って呼んでたな………」
M「無駄知識!?」
K「そうそう! 全員だったら『オー○ドパー』だったな……俺らもあのころは若かったなぁ………」
M「あんたたち何歳よーーーーー!!!」
Mの叫びが木霊する。
体育館内の生徒や見に来ていた教師たちが総立ちで拍手した。
AとKが上着の裾をつまみ、深々とお辞儀した。
それを見たMが二人のわき腹にえぐるようなストレートをかまし、幕は閉じた。
そう、これが最後の舞台………と思っていた私が甘かった。
放課後の体育館。
そこはかつて無いほどの熱気に覆われていた。
ここがこれほどまで盛り上がるのは学校祭くらいだろうか?
ステージには、二人の男。
A「ヌヌネネヌヌネネヌヌネネヌヌネネ………」
K「ヌヌネネヌヌネネヌヌネネヌヌネネ………」
何か怪しい歌を歌っていた。
A「ウーンウーンンンンンンー、ウーンウーンンーンーンー」
K「ウーンウーンンンンンンー、ウーンウーンン・ン・ン」
A&K「ラヴィ!!!!!」
M「って、初っぱなから『きみしね』のテーマ口ずさむなー!」
Mの豪快なドロップキックがKを吹き飛ばし、吹き飛んだKがAを巻き込む。
A「いてて………何をする! この無礼者!」
K「そうだ! こちらにおわすお方をどなたと心得る! おそれおおくも先の副将軍、
寿限無寿限無五劫の擦り切れ、海砂利水魚の水行末雲来末風来末、
食う寝る処に住む処やぶら小路ぶら小路、パイポパイポパイポのシューリンガン、
シューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助公にあらせられるぞ!!」
どじゃ〜ん! どこかから何かを打ち鳴らした様な音が聞こえた。
M「長い!! 前振りも『きみしね』も寿限夢全文もすべて長い!」
K「まあ堅いこと言うなよ? な、寿限無寿限無五劫の擦り切れ、海砂利水魚の水行末雲来末風来末、
食う寝る処に住む処やぶら小路ぶら小路、パイポパイポパイポのシューリンガン、
シューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助?」
M「だから、やめい!」
ハリセンでKをはたく。
A「いつの間に俺の名前はこんなのになったんだ?」
M「知らないわよ」
K「はて、いつからだったかのう………?」
M「お・ま・え・の・せ・い・だ!」
A「そ・う・だ・ぞ・あ・や・ま・れ!」
M「まねをするな!」
Aをハリセンではたく。吹き飛ぶようなスイングだったが気にしない。
K「ごーめーんーなーさーいー、反省してます〜。これでいいっすか?」
A&M「いいわけあるか〜!!!」
AとMのツープラトンドロップキックを食らい吹き飛んでいくK。
K「俺を怒らせたな…A、M………!」
M「なにぃ? 聞こえんな〜!」
K「俺は怒ったぞ! Mぅ〜〜〜!!!」
A「怒ったで賞進呈………」
AがKに白い封筒を渡す。Kが封を破り、中身を確認する。
K「こっ………これは、お米けぇぇん!」
M「はい?」
K「決して削れない米の費用。でももう心配することはない。俺には夢のドリームチケットが!」
M「夢とドリームがかぶってる!」
A「ぱちぱちぱち………」
M「そこ、口だけで拍手しない!」
Kはお米券を見つめながら、呟いた。
K「にはは」
M「お前がにはは笑いするな〜!!」
こうして、体育館は爆笑に包まれた。
この後、三人は吉○からデビューをするが…
それはまた、別のお話。(森本レオ調で)
M「作者も最後の最後でぼけるなー!!」
お粗末。
完?
はい、森部です。
これは、去年の文芸誌に書いた、『AMK3KB劇場』というコント台本のリメイクです。
このまま日の目を観る事が無いのなら………と思い、ある程度改稿して投稿しました。
文芸誌という事で、さすがに名前は伏せましたが、バレバレです。
というわけで、楽しんで頂ければ幸いです。