すがすがしい朝。

モーニングコーヒーをすする。

いつもならカフェオレにしないと飲めない物を、今日はブラックだ。

普段なら卒倒しかねない苦さが口に広がるが、今日はおいしく感じる。

もうじき誰かが降りてくるだろう。

そのとき、どう説明すればいいかわからない。

でも、いまこのひとときを大切にしたい。

………わかっている。これが現実逃避なのが。

だから、今日が休みにもかかわらず、五時になんか起きている。

現在は六時半。

マグのコーヒーを一気に飲み干し、サーバーから新しいコーヒーを注ぐ。

………ただ飲むのも面白くない。

こうなったら一度はやってみたかったアレをやってみよう。

冷蔵庫に駆け寄り、上の冷凍庫からこの間買って置いた物を取り出す。

「ゴデ○バのアイス、クッキークリーム………ワンカップ千円以上の超高級品………市内の三○に買いに行ったかいがありました」

それを惜しげもなくコーヒーに入れる。

「これならハーゲンダッ○も目じゃないです」

ものすごく高級なフロートを手に、リビングに戻る。

「あ、お姉ちゃんおはよ〜」

「あなた誰!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


水瀬家のアイスはジャムの味? 〜待ち人は旅行中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「つまり、相沢君と遊ぶのに名雪の家に行って、そこでアイスを食べた訳ね………それも名雪のおばさん手作りの」

 お姉ちゃんは私が作ったコーヒーフロートを拒否してブラックのまま飲んでいる。

「で、その結果がその身体というわけね………」

 今私こと、美坂栞の胸はびっくりするぐらい大きくなっている。

「起きた時びっくりしちゃった………何か重くて………」

 サイズは………少なくともお姉ちゃんと張り合えるくらい。

 アイスの甘さがコーヒーに合わさり、丁度良い味になる。

「しかも、味覚まで変化して………一体あのアイスに何が入っていたんだろう?」

 その瞬間、お姉ちゃんの顔が虚ろになる。

「甘くない………あまくない………アマクナイ………AMAKUNAI………」

 完全に向こう岸に渡ったかに思えた瞬間、

「きゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「おっ、お姉ちゃん!?」

「誰かっ! たすっ! たすっ! 助けて!! ジャムが!? ジャムがあああああぁぁ!!!」

 完全に錯乱したお姉ちゃんを止めるのに数十分を要した。

 

 

 

 

 

 


「はぁ………はぁっ………悪かったわ、栞………」

「大丈夫? お姉ちゃん………?」

 リビングは戦場跡と化していた。

 ただ、時価にして千二百六十円を優につぎ込んでいるコーヒーフロートは無事だが。

「とりあえず、名雪の家に行きましょう………」

「わかりました。じゃあ、早速行きましょう!」

 意気込んで部屋に戻り着替え始める。

 ……………………………………。

「お姉ちゃん、お姉ちゃん………」

「どうしたの栞?」

「胸がきつくて今までの服が………」

「私のを貸すわ」

 服を受け取り、即座に着る。

「………ちょっときついかも」

「………私に妹なんて居ないわ」

「こんなところで現実逃避しないでください!」

 

 

 

「でも、名雪達って旅行に出かけてるんじゃ………」

「そういえばそう言ってましたね。電話で確認してみましょう」

 受話器を取り、ダイヤルをプッシュ。

「………あ、もしもし祐一さんですか? はい、栞です」

 そのまま数分間話し込む。

「え、つまり………わかりました。連絡ついたらお願いします」

 受話器を置き、ソファに座る。

「どうだった?」

「えーっと、十中八九甘くないアレだそうです」

 その瞬間、お姉ちゃんの顔が虚ろになる。

「甘くない………あまくない………アマクナイ………AMAKUNAI………」

 完全に向こう岸に渡ったかに思えた瞬間、

「きゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「おっ、お姉ちゃん!!」

「誰かっ! たすっ! たすっ! 助けて!! ジャムが!? ジャムがあああああぁぁ!!!」

 とすっ!

「あう゛っ………」

「………人類の急所は延髄だっていうのは本当なんですね………」

 栞が一枚のCDを懐から取り出して考え込んでいた。

 ディスクのタイトルはみずいろとあった。

 

 

 

「で………結局は相沢君一人ではいじれないのでちょっと待ってくれということね」

「そうです、だから今は待ちの一手です」

 函館で買っておいたトラピ○トバタークッキーをお茶請けに優雅にティーブレイクしている最中、電話が鳴り響く。

「はい、美坂です………相沢君、で………そう、わかった」

 受話器を置き、

「秋子さんに聞いてみたら同じアイスを食べさせればいいって。だから今ダッシュで持ってくるって」

 素早くお菓子の在庫を調べ、奥から何かを引っ張り出す栞。

「………なにしてるの?」

「祐一さんが来るなら秘蔵中の秘蔵、ルタ○のクッキーをと………」

「何時の間に………」

 

 

 

 ピンポーン。

「相沢君ね、私が出るわ」

「わかりました」

 鍵を外す音が聞こえ、足音が響く。

「よっす、栞」

「こんにちわ、祐一さん」

 クーラーボックスを床に降ろし、肩を回す。

「さて、じゃあ早速栞を元に戻すか」

 クーラーボックスを開け、中からアイスを取り出す。

「………見た目はバニラね。というか香りも………」

「では、頂きましょう」

 栞がスプーンで皿によそい、食べ始める。

「明日には効果があるそうだ」

 それを聞いてとりあえず安堵する香里であった。

 

 

 

後日談・その1

 


 そのとき、こっそり同じアイスを香里が食べ、翌日栞とは別な意味で絶叫することとなった。

 


後日談・その2

 

 ほかの人たちがしばらく経ってからそのアイスの争奪戦をやったのはお約束。

 

 


終われ

 

 

えー、どうも。

自分の食べたいものをピックアップしたネタです。

まずは、ゴデ○バのアイス。

ものすごく高いです。

値段聞いた時心臓飛び出るかと思うくらいでした。

大げさですが。

味も値段に見合った味だと思います。

次、トラピ○トバタークッキー。

函館の名物です。

有名ですから本州にお住まいの方でも食べた事ある人が居るはず………

最後はルタ○のクッキーです。

ルタ○というのは小樽にある洋菓子屋です。

結構おいしいのでおすすめです。

では、甘い香りに包まれつつ本日はこれまで。