エンフィールドと呼ばれる町がある。 50年前に勃発した大戦の傷跡も癒え、今なお続く戦乱とは無縁となった平和な町として知られているが、 決して小さくはないトラブルが絶えることはない。 トラブルが絶えないのであれば、それを解決する事を商売とする、 いわば"何でも屋"というものの需要が高まるのは必然であると言えるだろう。 もっとも、この町にはそういったトラブルを解決するための組織である"自警団"が存在するため、 何でも屋に割り当てられる仕事は雑用といったものが多くを占めることとなる。 しかも、この町では何でも屋の報酬は仕事の出来次第で上下する、 "出来高完全歩合制"という価格設定が暗黙の了解となっている。 つまり顧客満足度に応じた価格設定なのだが、これが実にシビアなのである。 顧客が期待した出来を100として場合、出来高が150から200の水準を達成したときは料金もそれに応じた額が支払われるのだが、 逆に出来高が70程度にしかならなかった場合は全く料金が支払われない。 人件費などの必要経費を引き去った結果で0になるのではなく、一銭も入らない完全な赤字となってしまうのである。 その為、何でも屋というのは顧客の多さに係わらず、大抵は経営難に陥ってしまいがちなのである。 その中でも主人の人柄の良さゆえか、かろうじて赤字を免れている"ジョートショップ"も、 とある事件をきっかけに経営の危機に晒されていた。 ジョートショップの主、アリサ・アスティアは目が不自由であるというハンデを背負いながらも、 アリサの目の代わりを務めるジョートショップのマスコットキャラである魔法生物のテディや、 協力してくれる少年少女たちと共に、借金の返済の為に励んでいた。 しかし目の不自由なアリサではやはり限界があり、一年という期間を設けられた借金の返済は不可能と思われた。 それでも諦めずに懸命に働こうとするアリサは、薬草を採取するという依頼を果たす為、 テディと共に森に訪れ、そこで行き倒れていた青年を介抱することとなる。 まだ少年の面影を残した記憶喪失の青年、相沢祐一との出会い。 その出会いはアリサに、そしてジョートショップに、どのような結末をもたらすのだろうか―――