佐祐理さんの作った年越し蕎麦争奪戦
ナレーション(お節介)『相沢祐一、北川潤、天野美汐の三人がいる場所、教室。
その黒板には『佐祐理さんの作った年越し蕎麦争奪戦』と書いてあった。
そう。これから佐祐理さんの作った年越し蕎麦を巡って二人の漢が争うのであった。』
美汐「お二人共、準備は良いですか?」
こいつは天野美汐。
………とりあえずおばさん臭い美少女と言っておく。
潤「天野さん、いつ始めても良いぜ。」
ついでにこいつは北川潤。
いつかキングオブ脇役の称号を手に入れるだろう。
俺「いつでも良いぞみっしー。」
そして俺は相沢祐一。
言わずと知れたKanonの主人公だ。
美汐「そういうこと言う人嫌いです。」
俺「キャラが変わる程嫌なのか?」
美汐「はい。」
俺「なかなか可愛いと思うんだがな〜。みっしー。」
どうやら美汐はこのあだ名が気に入らないらしい。可愛いと思うんだがな〜。
美汐「相沢さんには後で謎ジャムを食べて頂くとして、そろそろ始めましょう。」
俺「いや、悪かった。だからジャムだけは止めてくれ。」
栞『こちらも準備オッケーですよ。』
スピーカーから栞の声が聞こえた。栞、今はお前が天使に見えるぞ。
これであのジャムを食わずに済みそうだ。
栞の紹介をしなければ、スピーカー越しに喋っているやつは美坂栞。
冬でもアイスを食う少女だ。病気なのにアイスを食う根性はどうかと思うぞ。
美汐「それでは、よ〜い。」
美汐がピストルを構えた。ちょっと待て!!何処から出した?
ってそんなこと考えてる暇は無いんだったな。
美汐「スタート!!」
バン!!
ピストルが鳴ると同時に俺と潤が教室を飛び出し、第一ステージである第一化学室へ向かう。
栞『さあ!スタートしました!
第一回佐祐理さんの作った年越し蕎麦争奪戦第一ステージは化学室です!
お姉ちゃんの出すクイズに見事正解出来た順に第二ステージに行けます!
逆に正解出来なければ正解するまで第二ステージには行けません!
実況は私、薄幸の美少女こと美坂栞です!』
俺「自分で言うな!」
バンッ!!
香里「来たわね。それじゃいくわよ。」
こいつは美坂香里。
栞の姉。そして脇役!!(そりゃ無いんじゃね?by作者
潤「さあこい美坂!俺の胸へ!」
俺「そうじゃねぇだろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
スパン!!
潤「おのれ祐一。俺と美坂の愛を邪魔する気か!?しかもそのハリセンはどこから出した!!」
俺「ハリセン?」
何言ってんだこいつ?香里にフラれ過ぎて頭イカれちまったか?
そう思いながらも俺は右手を見た。
マヂだハリセン持ってるよ俺。
俺「きっと神が使えと言ってくれたんだろう。」
潤「訳分かんねぇよ。」
香里「馬鹿やってないで、始めるわよ。」
潤&俺「おう!!」
香里「問題。Kanonのキャラで12月が誕生日なのは誰?」
俺「え〜〜〜〜っと。」
誰かいたっけか?全く分からん。
潤「ふははははははははは!!天は我に見方せり!!」
香里「訳分かんないわよ。」
潤「そんなことはどうでも良い!!ずばり!!水瀬名雪さんだ!!」
香里「正解。」
俺「あ!!思い出した!!」
香里「相沢君。北川君はもう行っちゃったよ?」
俺「何!?急がねば!!答えはみっしーこと天野美汐!!」
香里「正解。」
美汐『相沢さん………(怒)』
美汐の怒ったような声がスピーカーから聞こえてきた。ヤバいなジャム食わされるかも………。
俺「冗談だ。」
そう言って俺は第二ステージに向かって走り出した。
栞『さあ!!第二ステージはロシアンルーレット!!
Kanonキャラの大好きなあの食べ物達の中に一つだけ『あれ』が入っています!!』
バンッ!!
俺は潤を追って第二ステージの有る第三調理室の扉を開けた。
調理室には何とも形容し難い表情の潤がいた。
そして潤の前には鯛焼き、イチゴサンデー、肉まん、牛丼、アイスが有り、その横には
『この中のどれかに謎ジャムが入っています』
と書かれていた。
マヂか!?俺に死ねと言うのか?
謎ジャム説明by作者
―――――なぞじゃむ【謎ジャム】
魔王と契約した魔女の生き血から作られたとか宇宙人との交信の結果齎されたとか言われている謎多きジャム。これをスプーン5杯食べると三日間三途の川を彷徨い、10杯食べると異世界に飛ばされたり宇宙人と交信できるなどと言われているが本当のところは分からない。
Kanonキャラが最も恐れている食べ物(?)。
ありとあらゆる怪我や病気を治すらしい。
栞の病気を治す為に使われたとか使われなかったとか………
閑話休題
ジャムが入ってるのはどれだ?それさえ選ばなければ大丈夫だ。
潤(食ったら死ぬ!!食ったら死ぬ!!食っちゃら死ぬ!!
くっちゃらハピハピ……………ってなんでやねん!!)
そうゆう事は口に出して言わなきゃつまらんだろ!!
潤(俺の思考を読むな!!それよりお前が先に選べよ。
そして俺があたらないように謎ジャムを当てろ!!)
俺がジャムに当たらない可能性もあるんだぞ?
潤(大丈夫だお前なら必ず当たる。)
そこまで言うのか?いいだろう。見せてやるぜ。ギャルゲーの主人公が如何に幸運かを!!
潤(自分で言うなよ。)
名雪「祐一〜どれ食べるか決まったの〜?」
こいつは水瀬名雪。俺の従姉妹にして睡欲魔人だ。いつか睡拳を使うのではないかと思っている。
俺「うをっ!?いつから居たんだ!?」
名雪「最初から居たよ〜。」
俺「まあいいや。俺は牛丼を食べるぜ。」
名雪「ジャムじゃなかったら次に行けるよ〜。」
がつがつ
俺「……………どうやら違うみたいだ。じゃあな潤。」
潤「何!?ずっけーぞ祐一!!」
祐一「はっはっは。負け犬の遠吠えにしか聞こえんな!!」
俺はラストステージのある体育館へと走り出した。
栞『おおっと!!ここで北川さんが祐一さんに追い抜かれた!!祐一さんはこのまま北川さんを突き放すのか〜!!』
潤「ちくしょ〜祐一め!!水瀬さん!!俺は鯛焼きにする!!」
がつがつ
潤「セ〜フ!!じゃ!!」
そう言って潤も走り出した。
名雪「北川君もふぁいとっだよ〜。」
ダダダダダダダダ!!
先を走っていた俺に潤が迫る。
さながら某恋泥棒を捕まえようとする某警部の様に。
潤「ふはははははは!!追いついたぜ祐一!!」
俺「何!?貴様、脇役のくせにでしゃばり過ぎだぞ!!」
潤「それを言うな!!嘗めやがって!!ぜって―負けねぇぞ!!」
俺「奇遇だな。俺も負けたくない。」
栞『さあ!!両者の気合(殺気?)も十分なところで最終ステージです!!』
ガラッ!!
潤が勢い良く体育館の扉を開ける。
ガッ!!
開けると同時に潤が何者かに吹っ飛ばされた。
俺「うをっ!?何だ?」
ギリギリで潤を避けることに成功した。だって当たったら痛いじゃん。
そして体育館の中に入る。
俺「舞!?………お前がラスボスか。」
舞「はちみつくまさん。年越し蕎麦を食べたければ私を倒すしかない。」
こいつは川澄舞。とにかく危ない。今だって剣持ってるしネ(はあと
俺「げ!?」
背中を嫌な汗が伝う
なんかねぇかな〜?………!?そうだあの手があった。
舞「?」
俺「舞!!校門前に狸さんがいるぞ!!」
ダダダダダダダダダダダダッ!!
舞が全く疑わずに校門まで走っていった。
栞『川澄先輩どこ行くんですか〜?………………行っちゃった。祐一さん不戦勝です。』
俺「舞、悪く思うな。」
佐祐理「祐一さん、賞品の年越し蕎麦です〜。ご苦労様でした〜。」
この人は倉田佐祐理さん。料理上手だし優しいし、とにかく将来良い嫁さんになること間違いなしだ。
俺「有難う佐祐理さん。」
パチン!!ズルズル
割り箸を割って蕎麦を食べる。何だこれは?形容し難い味がする。
あえて例えるなら謎ジャムのような感じが…………
俺「……………………………佐祐理さん。何入れた?」
佐祐理「佐祐理特製の佐祐理ジャムです。どうですか〜?」
ズルズル
俺は根性で年越し蕎麦をたいらげた
俺「……………………グフォァ!!」
ドサ
そして意識を失った。
この後十日間俺は三途の川を行ったり来たりしていた。遠くの花畑は綺麗だったと言っておく。
終わり