迷子札

わたし雷が大嫌い!というより恐いの。
去年の夏のある日、夕方になって急に、お空に黒い雲が広がって
雨が降ってきました。そして遠くで雷がゴロゴロ鳴っているのがきこえてきたの。
恐くなったわたしは夢中で、お家を飛び出してしまいました。
走っているうちに、雨も雷もますます激しくなって....。ほんとうに
恐かった!もう動けなくなって、知らないお家の軒下でボーっと
していたら、優しそうなおにいさんが近付いてきて、どうしたの?って
きいてくれました。

丁度夏休みで娘や孫たちが遊びにきていました。皆で、必死に探したのですが....。見つかりませんでした。

やがて雷が去り、もしかして戻ってきてくれるかもしれない....。
願いもむなしく何時間待っても、帰ってきてくれません。
もう日も暮れて外は真っ暗になりました。
ただただ、無事に帰ってきて欲しい.......と祈るばかり。
私たちにとって、長い長い時間に感じられました。

その時電話のベルがなりました。自衛隊の門衛さんからでした。”お宅のピッピちゃん、雨宿りしているところを保護しました。”
というのです。
その時のホっとした気持ち、言葉に現わせません。
迷子札をつけていて、ほんとうによかった....と思いました。

門衛のおにいさん、ほんとうにありがとうございました。

その時以来、前にも増して必ず迷子札をつけるように気を
つけるようになりました。

みんなも、気をつけてね。 ピッピ

どうして、お兄さんはわたしの名前やお家が
わかったのかしら。
背中のポシェットの中にピッピのお家がわかる
ように、カードが入れてあるのよ....ってかあさんが
教えてくれました。