戦略労務第328号(2020/09)

イントロダクション

 まだまだ暑い日が続いています。やはり彼岸過ぎまでは気を抜けません。熱中症にはくれぐれも注意し、ときにはマスクを外したいですね。新型コロナ感染者数は日に日に減少傾向にありますが終息までにはもう少し耐える必要があるようです。「戦略労務」第328号をお届けします。

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★労働基準監督官は突然やって来ます

 事業場で仕事をしていると、突然、労働基準監督官(以下、「監督官」という)がやって来ることがあります。これが労働基準監督署(以下、「労基署」という)の「臨検」や「監督」と呼ばれる立ち入り調査の始まりです。現状を見るための抜き打ち訪問です。

 一般的には定期監督といい、当該年度の監督計画により労働基準監督署が任意に調査対象を選び法令全般について調査をするというものです。労働者の訴えによるものもあります。

 監督官は、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法等、法に照らして問題がないか、法を遵守しているかどうかを調査し、法違反があれば「是正勧告書」を交付していきます。法違反とまではいかなくても、法の趣旨からして改善が望まれる点があれば、「指導票」を交付して事業場に改善を求めます。

 監督官には、労働基準法101条等を根拠として、事業場に立ち入ったり、関係者へ尋問をしたり、帳簿や書類の提出を求める権限が与えられています。事業場に立ち入るときも特に通知する必要は無く、犯罪捜査が目的でない場合には令状の必要もありません。

 このように、監督官が監督を行うのは、労働基準法等の法律を遵守させることが目的なのですが、監督官には特別司法警察職員としての権限も付与されています。警察官と同じように逮捕権まで持っているのです。臨検・監督の際、監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならないと規定されています。

 憲法27条2項には、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」とあり、それを受けて制定されたのが労働者保護の法律である「労働基準法」です。その後、労働基準法の中に含まれていた最低賃金に関する部分と安全衛生に関する部分が分離されて「最低賃金法」と「労働安全衛生法」が生まれました。

 したがって、監督官が特別な権限を付与され、事業場を監督する目的は憲法や労働基準法等に基づき、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるように、賃金、安全、健康などの面から確認及び周知をするためであると言えるでしょう。

 労働基準監督官の人員不足から、業務の一部を民間に委託したり、労働基準監督署に呼び出して調査をすることも多いです。訪問や連絡があったらすぐ社労士に連絡をしてください。

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