戦略労務第289号(2017/6)

イントロダクション

 梅雨の只中ですが降雨量は少なく家庭菜園はもうカラカラ状態で土はカチカチです。昨年の今頃はダムの貯水率が低下し水不足を心配する声がありましたが、今年は冬の降雪量が多かったみたいで山には残雪が多くダムの貯水量も結構多いようですね。今回も労働問題のうち「解雇のリスク」について取り上げます。「戦略労務」第289号をお届けします。

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★「解雇は自由」とはいえ「解雇」する場合はぜひ慎重に!

 民法によれば、期間の定めのない雇用契約について、使用者はいつでも労働者を解雇することができるとされ、雇用契約は解雇通知後2週間を経過すれば終了し、また、解雇に特別な理由は要求されていません。この意味で、使用者は解雇の自由を有しているといえます。

 しかしながら解雇が労働者に与える影響は大きく、生活の基盤を失うことになるため、解雇には合理的な理由が求められ、裁判例により「解雇権濫用法理」が確立されています。解雇権濫用法理とは、合理性、公正性、重大な理由あるいは相当性を欠く解雇を無効とするというものです。(労働基準法では30日前の解雇予告を義務付けています。)

 合理的な理由とはどういうものかというと、主なものには下記のようなものがあります。

①労働者の人物に由来する事由→採用面接で見抜けない場合が多い
 労働者の心身について生来的又は後天的な欠陥があり、労働契約上求められている労務の提供を全部又は一部なし得ない場合です。能力不足、勤務成績の不良、職務不適格などが該当します。

②労働者の行動に由来する事由→採用後に顕在化することが多い
 労務提供義務違反を主としますが、そのほかに服務規律違反や競業避止義務・秘密保持義務違反なども含まれ、具体的には、勤怠不良、協調性欠如、暴言、不正行為などが該当します。

③使用者の経営上の必要に基づく場合(整理解雇など)

「合理的な理由」に基づき解雇する場合であっても、社会的に相当性を欠く場合には解雇権の濫用として、不当解雇とされ、その解雇は無効になります。
 解雇理由は就業規則等に規定されていなければなりません。就業規則が無い場合、若しくはあっても労働者への周知がされていない場合、採用の際に交付する 「労働契約書」や「労働条件通知書」に解雇理由についての記載があればよいのですが、そこまでの記載をすることはまずありません。(労働契約書等の作成及び交付は労働基準法15条で、また、就業規則作成と届出は同法89条に規定されています。)
 その結果、就業規則が周知されていない場合等では、解雇の理由が使用者の自己判断(独断)ということになり、場合によっては裁判となって敗訴の場合も出てきます。

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