戦略労務第282号(2016/11)

イントロダクション

 皆さんこんにちは。朝晩、急に涼しく、というより寒くなりました。
今年の紅葉は平年よりも1週間ほど遅れているようです。家庭菜園をしていると季節の移ろいがよくわかりますが、作物によって収穫が早くなったり、遅くなったりします。もちろん、その年によって作付け時期も変わりますから、種まきから収穫までの期間に長短があったとしてもはっきりは分かりませんが。
 今月も「戦略労務」をお送り致します。参考になれば幸いです。

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★帰宅困難となる前に帰宅させる場合の賃金支払いは?

 群馬県内では少ないようですが、地域によっては台風やゲリラ豪雨による洪水被害などが多くなっており、それに伴ってタイトルのような問い合わせも多いようです。

 さて、労働者は使用者と雇用契約を結んで労務を提供し、その対価として賃金を受け取ります。朝出勤したら、「今日は仕事がないから帰って」と言われたら困りますね。仕事をするつもりで出勤したのに仕事をさせてもらえないのですから、通常これは会社の都合となり、最低限の補償が必要です。

 上記のような場合を法律上「使用者の責に帰すべき事由」による休業と言います。

(1)使用者の責任で労務の提供ができなかった場合、労働者は賃金請求権を失わないが、労使の特約によって賃金請求権が発生しない旨の合意もできる。その場合でも、使用者は労基法26条により平均賃金の60%以上を休業手当として支払う義務を負う。

(2)労基法26条で定める「使用者の責に帰すべき事由」は、賃金請求権が発生する場合より広く、不可抗力を除いて、使用者側に起因する経営、管理上の障害も含まれる。

 労働基準法第26条の「使用者に責任がある休業」の例
工場の焼失、機械の故障、原材料不足、資金難、生産過剰による操業短縮、監督官庁の勧告による操業停止、など

 使用者の故意・過失とまではいえない事情で就労できなくなった場合には、賃金請求権は発生しない。そのような事態に備えて、労基法26条は休業手当の定めをおき、その休業期間中、使用者は労働者に対して平均賃金の6割以上の休業手当を支払うことにより、労働者の生活を保護することとしている。

★結論として、危険回避のため帰宅させる場合、「義務ではないが賃金支払は望ましい」と考えます。
 台風や豪雨などの影響で帰宅困難になる前に帰宅させる場合、会社は労働者に危険回避のため帰宅を勧めることができると考えます。できるなら労働者全員を同じに扱いたいところですが、人によっては帰宅に支障がなく仕事をしたいという人がいるかも知れません。その場合には就業させなければなりません。そして、例外なく就労分の賃金は支払うことが必要です。また、一方的帰宅命令の場合は休業手当が必要です。

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