戦略労務第278号(2016/7)

イントロダクション

 水不足の状況は続いているようですが、梅雨明けが待たれる今日この頃です。
「戦略労務」第278号をお送りします。

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★定年再雇用賃金訴訟~減額は違法

 仕事内容は同じなのに定年後の再雇用で賃金を減らされたのは違法だとして、契約社員のトラック運転手3人が勤務先の運送会社「長沢運輸」(横浜市西区)に対して、正社員と同じ賃金の支払いなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁は5月13日、原告の請求通り、正社員の賃金規定の適用と差額分計415万円の支払いを命じました。佐々木裁判長は、「正社員と賃金格差を設ける特段の事情は見当たらず、労働契約法に違反する」と指摘しました。

 2013年に施行された改正労働契約法は、有期雇用と無期雇用の間で、賃金や労働条件に不合理な格差を設けることを禁じています。原告側の弁護団によると、定年後の再雇用賃金引き下げを同法違反と認めた判決は初めてです。
 ※不合理な労働条件の禁止→有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止する(労働契約法20条)

 判決によると、運転手3人は2014年3月から9月までに60歳の定年を迎え、1年契約の嘱託職員として再雇用された。仕事内容等の労働条件は定年前と同じだったが、賃金は約25%減ったという。

 ★会社側は賃金カットについて、65歳までの雇用延長を企業に義務付けた高齢者雇用安定法に基づく再雇用であって、労働契約法は適用されないなどと主張しましたが、判決は再雇用後も同法が適用されると認定し、「職務が同一であるにもかかわらず、有期、無期雇用の間に賃金格差を設けることは、特段の事情がない限り不合理である」と指摘しました。

 定年後も同じ仕事をしていながら給与減額を余儀なくされている再雇用者はもちろんのこと、再雇用後も同じ仕事をさせながら賃金を下げている他の会社や業界も、対応を迫られる可能性があります。
 当たり前のように行われていると思われる再雇用契約書による労働契約締結ですが、労働者側の同意をもって成立するものです。今回は、無期雇用から有期雇用への変更が表立っていますが、同一労働同一賃金の観点からは当然のことなので、賃金の減額変更を行う場合には労働条件についても変更することが必要です。

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