八−ヤツ−


刻みても残らぬ置き去られし時間ときの中戻れぬを嘆くか
忘らまほしき夢は暗に記憶うた 想ひに染まれぬ絶佳の娘

はくに細し糸 雪が如く 投げかくてやはらかき繭に埋み
誰が目にも触れなくなりし肌 とうですべて舐むるは咎か

カラリカラリ 糸を繰る指か
ゆるりゆるり 紡ぐ妖しか

通りゃんせ通りゃんせ 耳塞ぎてお入り
哀し娘の昔話 唄を唄へや
”おいで……近づかないで……”



切なほどに肢体カラダ抱くかいなを 絡む糸を糸で刻みきり
僅かばかりしかと咲くために 自らを刺すささがにの娘

カラリカラリ 糸を繰る指か
緩に切に 絶えぬ童歌

通りゃんせ通りゃんせ あふのけば真白にぞ
花が降る花が旧る 永久とわの傷痕を乞へや
証しきずが……欲しかったの ……?”



からりからり 糸を繰る指か
ゆるりゆるり 紡ぐ妖しか

通りゃんせ通りゃんせ 耳塞ぎてお入り
哀し娘の昔話 唄を唄へや

通りゃんせ通りゃんせ そは”とお”のなき限空ぞ
花が降る花が旧る 永久とわの傷痕を乞へや
”おいで……近づかないで……”


 
 睦月リクエスト、某ゲームソフト「Atrach=nacha」より。ちなみに成人指定(笑)。
 当時の睦月のハマりようが尋常でなかったことは覚えている。
 
 古文好きだった身としては、こういう歌を作るのは楽しくてしょうがないが。
 もう当時のような古文能力はないのが寂しいところ。
 でも「ささがに」は覚えていた。よかった。