パーフェクトサークル〜別れ話をしよう






─────────耳朶に燻り続けるその余韻に
     深く深く息を潜めて
     ただ鳴り止むのを待っている

悲しくないわけじゃない
なんでわざわざそんな言葉を選ぶのって思ったり

────────────────耳に残るもの

ほんのりとだけの熱さを感じるに留まる喉とか
もう足掻けない絶望感とか
プライドを置き去りたい焦燥感とか
ああもう、すがりたいな、とか

──────────────────耳の奥

なんで私 ”まだ”って思ってるの
なんでこの人 ”もう”って思ってるの
未来の不在を理解しているくせに だらだらと現在

─────────────脳の近くで燻ってる

穿った乙女チックなんて大嫌いで
悟った台詞しか吐けない口が
”おねがい”を意味してるって知って
何度も吐き気がした

─────────火気のない世界の焼け木杭

でも それよりもずっと
すこんと 抜けるような
開放感

──────これでもう新しい花火は上がらない

今更でも初めての
形式に忠実な明言

──────あとはただ少しずつ減っていくだけ

嫌悪感のするいとおしい努力が
余地をなくして

────────どれほどのものだったとしても

タイミングがつかめなくて続けた
受動態ぶった言い訳が
絶望の一言で
逃げ道をなくして貰える

──────────その方向性の揺ぎ無さが

”どうしよう”と”これから何をしよう”の
表裏一体
漠然とした躍動感

─────────涙を呼ぶほどの救いなのだと

その余りの嬉しさに涙が出た




─────────二度と上がりようのない花火

無駄な活性化のない時間の経過

─────────────深く深く息を潜めて
     ただ鳴り止むのを待っている



おじゃる殿に捧げた
 
 リクエストは嬉し泣き。……したことねぇ。
 
 定番鉄板ネタとしては、プロポーズとか結婚式。
 こればかりは、経験しないことにはピンとこない。
 
 そう思っていた制作当時から10年弱。
 経験しても泣かなかった。
 かの有名な「両親への手紙」でさえ、姑の涙腺除いてノーダメージ。
 うちの両親、笑顔だなー(第三者目線)。
 
 よって、泣いてもいいほど嬉しかった経験を再摸索。
 結果 : 昔ずっと好きだった人に振られた時。
 
 上手く行かないの承知で、ずるずるとつき合ってもらった。
 自分からは切り難い。よくわざわざ辛くなる。
 狡い希望が捨て難い。よくわざわざ絶望する。
 なのに、これがまた稀に無駄に蒸し返る。このまま続くかと、ぞっとする。
 
 いざ振られたら、悲しい以上に、本気で嬉しかった。
 後は風化待ちって思える開放感。
 何しようっていうわくわく感。
 あれでしょう。他じゃあ味わえない。
 
 実話ネタは、いつだって根暗。
 ちなみにタイトルは、ポルノグラフィティの何かのシングルのC/Wから。こっちは根暗じゃない。