ハツコイ




――――…カチ カチ カチ カチ…――――

内緒じゃない。
君より好きな人は他にいる。
……長すぎ。

――――…カチ カチ カチ カチ…――――

ハツコイなんて嫌い。
好きになる相手を、その視界を範囲に選んだ。
選抜した子供の本能はタチ悪く正確。
選抜した子供の世界は、半端に狭い。
”ハツコイのキミ”と、二度と会わないのは案外難しい。
……長すぎ。

――――…カチ カチ カチ カチ…――――

”一番よく知ってる”は、”一番好き”にはならない。
思い出は重荷?
違う。
深刻にはなれない、居心地の良さ。
”なんだかなぁ”は、どこまでも続く。
……長すぎ。

――――…カチ カチ カチ カチ…――――

オツキアイが、何回もぶり返される。
私が君を好きと思った理由と、君が私を好きと思った理由は、多分同じ。
余計な情報がいっぱい。
知ってる。
知ってる。
もうすぐ4回目が終わる。
……長すぎ。

――――…カチ カチ カチ カチ…――――

本当は多分好きじゃない。
私の何よりトクベツな人。
しんどいときに、君を好きになる。
中途半端なシラフ。
……長すぎ。

――――…カチ カチ カチ カチ…――――

長すぎて好きな理由がない。
否定すべき箇所が新しくは見つからない。
長すぎて嫌う理由が見えない。
つぶす糸口が見えない。

――――…カチ カチ カチ カチ…――――

だって泣けない。
多分、好きじゃない。

――――…カチ カチ カチ カチ…――――

認めてるだけで放ってある事実。

――――………………………カチッ…――――

卒業おめでとう。

――――…………………………………――――

”Do you remember me?”

――――………………カチ カチ カチ…――――

さようなら、多分好きだった。



おじゃる殿に捧げた
 
 リクエストは初恋。リアリティのあるものを、との意向。
 リアリティを追求すれば、可愛くなくなる。自明。
 
 リアルその1。
 私の初恋相手は2名。開始点が明確にわからないので、先着が決められない。
 @親公認初交際相手。リリカルな魔法ステッキ玩具を所持する、姉も妹もいない一人っ子。
 Aテーマパークのキングコングに「こんなところにいたのか母さん!?」と叫ぶ、年上の血縁者。
 
 リアルその2。
 初恋相手は小学校同級生等が多い。
 地元通学の身である以上、親の転勤なくしては卒業するまで疎遠になりそびれることも多い。
 
 リスクエスト者の意向は汲むが希望は汲まない主義。