昔、古代の人は、樹皮や草の皮の繊維を
細くして、布を織ることを覚え、その布を晒して白い布を
得ることを知り、遂に灰を用いて白く晒す技術を習得したのです。
染色の世界は白を得ることから始まったと言えるようです〜
現在はいくつかの媒染を利用していろいろな色を得ることが判って
いますが・・昔の古代の色は想像の世界でしかありません。
ここでは、媒染剤についてご紹介いたします。
(私の実験箱から・・★)
《アルミ媒染剤》
椿灰 盛夏に枝を切って、枝葉を枯らさないように燃やして、 その灰を水に入れて攪拌し、静置した上澄み液を利用する。 主として、紫草、茜草染めの先媒染に用いる。 湿気ないように保存する。 |
あかね、むらさきの灰汁には、 椿のアルカリとアルミの金属のはいったものを利用する。 |
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★酢酸アルミニウム アルミ媒染として一番利用されている。 白色の粉末で水溶性。少量の湯でとかしたほうが溶けやすい。 布の5パーセントを1回の分量とする。 |
赤 あかね、すおう、コチニール。 黄色 ふじ、くちなし、ねむのき。 肌色 いちい、そよご。 明るい茶色 うめ、あんず、さくら。 |
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★塩化アルミニウム 無色の結晶で水溶性。 煮染めするものにかぎる。煮染めしないものは酸が残るので 使用しないほうがよい。 布に対して5パーセントを1回の分量とする。 。 |
《鉄媒染剤》
紀元前より行われていた鉄媒染。
自然に流出する鉄分を含んだ水を利用しての染色。
おはぐろ かね、鉄とも言われるが、酢酸鉄で主成分は酢酸第一鉄。 古来の黒染、鼠染、茶染にかかせなかった。 インドではJaggreyという粗糖液に鉄を浸して発酵熟成している。 |
黒茶 さくら、くり、うめ、れんげつつじ 紫黒 ごばいし、やまうるし。 オリーブ あわだちそう、きく、よもぎ。 すすき、なんてんはぎ。 |
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★木酢酸鉄 おはぐろに一番近い酢酸鉄。薄黄色い液体。 古くなると黒くなるのでなるべく新しいものを使用する。 布の1あるいは・・2パーセントくらいで使用する。 |
鉄とアルカリ併用 濃茶 ざくろ、くり、くぬぎ、かしわ。 |
塩化第一鉄 煮染めに限って使用する。 灰黄色の粉末で水溶性であるが、湯で溶かしてから使用する。 溶かして、時間が置くと酸化して第二鉄になるので直前に溶かす。 布の1〜2パーセントで使用する。 硫酸鉄は、酸が残存して布を傷めるので利用しない。 |
《錫媒染剤》
塩化第一鉄錫、第二錫は劇薬でしかも
絹を傷めて光沢をそこなうというので使用されていません。
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★錫酸ナトリウム 錫酸ソーダとも呼ばれる。強アルカリの為にクエン酸と中和してから使う。白色の粉末で水溶性。錫は熱のよって白濁するので、溶かす時まで、媒染液もすべて冷水を使用する。 浸し染め布の2パーセントの錫酸ナトリウムと三倍量のクエン酸。 |
赤 コチニール、ラック 紫 ロックウッド 黄色 紅花、たまねぎ、マリーゴールド。 |
塩化第一鉄 劇薬なので使用しないように。無色の結晶で水溶性。 冷水で溶くようにして、時間がたつと白濁してくるので使用にさきだって使う分だけ溶くようにする。浸し染めでは、布の重さの2パーセント。 |
《クロム媒染剤》
重クロム酸カリウムは公害問題で今は利用されていません。
酢酸クロムは代用にはならないのですが、
染色のあと最後には灰汁に浸すとある程度代用になる。
酢酸クロム 灰緑色の顆粒状の粉末で水溶性。溶けにくいので湯でとかすと良い。 最後に灰汁に浸したほうがよい。 布の重量の2パーセント。 |
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塩化クロム 青緑色の顆粒の粉末で水溶性で、溶けにくいので湯に溶かす。 最後に灰汁に浸す。 媒染の量は酢酸クロムと同じ。 |
《銅媒染剤》
日本では、古くは用いていなかった。
日光堅牢度が高いので近年重用されてきた。
媒染した色相とその後の煮染をしたあとの色相はまるで違う。
熱が加わって始めて本当の銅染色の色相となる。
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★酢酸銅 黄味をおびた緑色の粉末。水溶性ではあるが湯でといた方がよい。 布の重量の3パーセント。 硫酸銅は劇薬のうえ、酸が残りやすいので・・使用しない。 |
黄茶 たまねぎ、かき、あけび。 金茶 ふじ、ざくろ、みずき。 赤 さくら、けやき 鶯色 むくのき、 裏葉色 すすき、くず。 黄色 なつめ、ひいらぎなんてん |
《アルカリ媒染》
灰汁は最も古い媒染剤
灰汁 庭木の剪定した枝葉を枯れないように燃やして、その灰を水に入れて攪拌し、静置した上澄液使用。 媒染剤というより、酸化剤。 染色の最後に発色と定着を助ける。 |
むらさきによる紫。 あかね、すおうの赤→黄色 鉄と灰汁の併用 濃茶、鶯色、黒など。 |
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藁灰 古くは藁灰は絹糸の精練に用いられてきた。 現在は、炭酸カリウムを使用する。 |
精錬の他、紅花にかかせない。 | |
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★炭酸カリウム もとは、植物の灰からアルカリ分だけを取り出したのが 炭酸カリウム。植物灰に一番近いアルカリである。 純粋で灰のように他の金属を含まないので媒染剤に 適していないので他の媒染剤との併用で使用する。 染材料を煎じる時に極少量で色素の抽出を早める。 |
紅花の抽出には、これを使用する。 |
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★生石灰(酸化カルシウム) 石灰石から製したものは、鉄、マンガンを含む。 生石灰を水にいれて攪拌して静止した上澄み液を使用する。 媒染には、水に上澄み液をいれてph12ぐらいで使用する。 媒染剤というより、発色料。(木綿に適している。) |
多くは鉄媒染した最後に用いて、濃い茶、焦茶、黒色などを 染める |
《酸媒染》
古くは米酢が使用されていましたが中性から梅酢が用いられています。
クエン酸、酢酸が利用されていますが自然の酢も是非用いたい〜
梅酢 平安から江戸時代まで重要なものとして利用された。 青梅の果肉を薄くむいて干して保存したものをむき梅。 それを水、湯に浸して液。(烏梅がある) |
紅花染めのアルカリ水で抽出した液を酸性液にして先着させるために使用。 | |
酢酸 コチニールやラック染めに使用。 すおう、紅花染めにも利用される。 酢酸媒染の時は酢酸を使用する。 |
あかね、むつばあかねの染色 は、煎じる前に酢を加えたほうが赤い色相になる。 |
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★クエン酸 無色の結晶または、粉末、梅酢に一番近い酸。 錫媒染の錫酸ナトリウムを中和するのに使う。 |
紅花染めに梅酢の代わりに使用する。 |
米酢 純米酢を利用する。 穀物酢のOK |
茜草、紫草の染液をとる時に少量。 紅花染色の時も使用する。 |
《酸化剤》
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★過酸化水素水 過酸化水素水35パーセント液が市販されている。 藍草の生葉の水色を染める場合、酸化を早めほうが色合いがよく 後日、色の変色も妨げる。 酸化防止のため使用される。 布の重量1パーセントで浸して染める。 |
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