てんし様
『てんし様おろがみてくれよ、てんし様は神と申して知らしてあろがな』
『てんし様とは天地様のことぞと申してあろがな、この方シチニの神と現われるぞと申してあろがな、テンプ様のことざぞ』
『天地の先祖、元の神の天子様が王の王と現れなさるぞ、王の王はタマで御現れなされるのざぞ』
『神国の王は天地の王ざぞ、外国の王は人の王ざぞ。人の王では長う続かんのぢゃ』
『七王も八王作らせんぞ、一つの王で治めさすぞ。てんし様が世界みそなわすのざぞ』
『三千世界一度にひらいて世界一列一平のてんしで治めるぞ』
『何もかもてんし様のものではないか、それなのにこれは自分の家ぞ、これは自分の土地ぞと申して自分勝手にしているのが神の気に入らんぞ、一度は天地に引き上げと知らしてありたこと忘れてはならんぞ、一本の草でも神のものぞ、野から生まれたもの、山から取れたもの、海の幸もみな神に供えてから臣民いただけと申してある訳も、それで判るであろうがな』
『てんし様まつれよ。みことにまつろえよ。このこと出来れば他に何も判からんでも、峠越せるぞ』
『てんし様まつれと申してあろが。天津日嗣皇尊大神様とまつり奉れ。奥山には御社造りていつき奉れ皆のうちにも祀れ。天津日嗣皇尊大神様弥栄ましませ、弥栄ましませとおろがめよ』
『てんし様よくなれば、皆よくなるのざぞ、てんし様よくならんうちは、誰によらん、よくなりはせんぞ。この位何故に判からんのぢゃ』
『てんし様は生き通しになるぞ、御玉体のままに神界に入られ、またこの世に出られる様になるぞ、死のないてんし様になるのぞ、それには今のやうな臣民のやり方ではならんぞ、今のやり方ではてんし様に罪ばかりお着せしてゐるのざから、この位不忠なことないぞ、それでもてんし様はおゆるしになり、位までつけて下さるのぞ、このことよく改心して、一時も早く忠義の臣民となりて呉れよ』