『戒律をつくってはならん。戒律がなくてはグニャグニャになると思うであろうなれど、
戒律は下の下の世界、今の人民には必要なれど、いつまでもそんな首輪はいらんぞ、戒律
する宗教は亡びると申してあろうが』
〔すべての規則的のことは一般的の場合をいえるものにて、十人十色、百日百態の世なれば
この一般的のことをもって、単個のものにおよぼさんと強いるなかれ〕
〔造物主御自身をのぞいては、どんなものにも絶対の自由はない。しかし、どんなものにも
許されたる自由という物はある。この範囲において、できるかぎり自己を伸ばしたい、
というのが、すべてのものの願望である。そして、この許されたる自由の範囲を、他のもの
から侵されることほど堪えられぬことはない。人間は、まして、どんな人に対しても、
できる限り、お互いの自由を侵しあわぬよう心がけねばならぬ。老幼貴賤を問わず、人格と
いうものを認めあって、お互いに、最小限度の干渉にとどまるべきである〕