24. ひきだし












 昔、まだ自分だけの机を買ってもらえなかった頃。
 あたしよりも年上で、小学生だった姉ちゃんは、もちろん自分だけの机を持っていて。
 あたしは姉ちゃんの机の引出しの中を見てみたくて見てみたくて、たまらなかった。

 結局、あたしが姉ちゃんの机の引出しの中を、見ることはなかったのだけれど。







 ガウリイは大学生である。

 その大学生であるガウリイは、実はちゃんと机を持っていた。……意外なことに。
 初めてその机を見たとき正直にそう言ったら、ガウリイは苦笑してみせた。

「お前さんなぁ。オレをいったいなんだと思ってるんだ?」
「体力バカのくらげ」

 ガウリイはがっくりと項垂れたが、立ち直ると、まぁ、オレも一応学生だから、といって笑った。





 そして今、あたしはその机の前に立って、それを睨んでいた。

 ……………見たいんである。机の中が。



「……………………」


 声もなく、唸る。

 見たい。見てみたい。ものすごく気になる。気になって仕方がない。


「おーい、リナー?」

 はっと我に返る。
 そういえば、ガウリイの部屋に物を取りに来たのだった。

 ……まぁいいや、また今度。

 あたしは踵を返し、部屋を出た。














なんか、未森がちっちゃい頃、父上の引出しをよく覗いていたので(笑)





自力で戻りましょう。