20. お遊戯













 その日、父親は愛娘からパンチを喰らった。

「どらぐぴーんくぱーんちっ!」

 ぽへっ

「きーっく!」
「あたーっく!」
「びーむっ!」

「………………」

 まさか反撃するわけにもいかず攻撃されるがままにしていた父親は、困惑した表情で妻を見上げた。

「ああ、今度ね、幼稚園でお遊戯会があるのよ」
「お遊戯会? ……って、何だ?」
「ん〜、そうね、発表会みたいなものね。それでリアのクラスはドラグレンジャーやるらしくって、リアはドラグピンクになったみたい」
「ドラグレンジャー……って、日曜の朝にやってる、アレか?」
「そうそう、アレよ」

 ドラグレンジャー。
 正式には、正義戦隊ドラグレンジャーという。
 定番の、赤・青・黄・緑・ピンクの五色の戦士達が戦う、特撮ヒーロー番組である。

「……なるほど」

 ちっとも攻撃の堪えてくれない(当たり前だが)父親に見切りをつけたのか、娘は今度は母親にタックルをかました。
 その様子を見ながら、父親はドラグピンクの服装に身を包んだ愛娘の姿を想像してみた。

「…かわいいだろうなぁ…」
「………親ばか」










うわぁ、オチがねぇ!(爆)





ぷりーず ぶらうざばっく。