13. 待ちぼうけ |
|||
だいたい、『待つ』というのははっきり言って好きじゃない。 つまらないし、何故だかみょーに不安になるし、時間の無駄だし、何より退屈。 だから待ち合わせなんて、あまりしたくない。 したくない、んだけど。 「………するしかないのよね」 呟いて、ため息をつく。腕時計を見ると、約束まであと6分。 下心丸出しの笑みを浮かべたナンパをかわして、またため息をつく。 まぁ、こんな美少女が1人で立ってたら、声をかけたくなるのがオトコってもんである。 しかし、うざったいものはうざったい。 「……遅れてきたらめいっぱいごはん奢らせてやるんだから」 低く小さく呟いて、再び時計を見る。あと5分。 ああもう、いやになる。 だいたい、待たせるのは普通女がすることじゃない? 女を待たせるなんて男がやることじゃないわよ。 時間オーバーしなくても、ご飯奢らせてやる。めいっぱい食べてやるッ。 まぁ、あたしは高校生で。 あいつは大学生で。 だから、時間が合うってことはあまりない。 だから、待ち合わせをするしかないんだけど。 今頃、どこを歩いているのだろう。 あと、4分。 「……………ばかくらげ」 目の前を忙しく通り過ぎていく、知らない誰かの中に見慣れた金色の頭を探す。 人ごみの中でも、あの金色の頭は目立つから、いたらすぐに判る。 あと、3分。 「…あ」 人ごみの中を縫って走ってくる、金色の頭を見つけて、あたしは一歩、足を踏み出した。 |
|||
待つのって嫌いです。色々な理由で。 |