10. おねだり













 世間の彼女というのは、彼氏によくモノをねだるらしい。
 宝石やら指輪やらネックレスやら服やら、高価たかいやつから安価やすいモノまで様々。
 では、オレの可愛い彼女の、リナはどうかというと、それはリナには当て嵌まらないように思う。
 そりゃ確かに、食事は奢らせられるし、その量はハンパじゃないし、でも同じくらいオレも食べるし。
 だからおねだりとは言えない、と思う。




「…あ。」

 二人で街中を歩いていて、ふとリナが立ち止まった。

「どうした?」

 オレもつられて見やると、そこには指輪やネックレスが、所狭しと並べられていた。
 そして、リナが見ていたのはシンプルなデザインの、指輪。

「ん。キレイだなって」

 ちらりとオレを振り返り、また指輪へ視線を戻す。
 値札を見てみる。そんなに高価くない。むしろ安価い。

「ごめん、行こっか、ガウリイ。…ガウリイ?」

 不思議そうなリナを制して、オレはその指輪を手に取った。

「え、ガウリイ?」

 金を渡して、指輪を受け取ると、リナに向き直る。
 オレはにっこりと笑い、

「プレゼント」

 と言って、手渡した。




 リナはあまり、モノをねだるということをしない。
 誕生日などの特別な時は別だが、それ以外でリナがオレにモノをねだったことなんて、あっただろうか。

 ………………(思い出している)、いや、ない。

 家が商売をしているせいもあるかもしれない。
 どケチなところがあるし、妙に生活力もある。

 だから、かもしれない。
 リナはモノをねだらない。




 リナは、手の中の指輪とオレを交互に見て、頬を赤くした。

「………………………………………あ、ありがと。」

 言って、指輪を右手の薬指に嵌める。
 オレとしては左の薬指がよかったんだが、照れ屋のリナには無理な選択かもしれない。










 その後オレは、店の人に一部始終を見られていたことに気づいたリナに、真っ赤な顔で殴り倒された。












…なんか、書いてて恥ずかしかった……(爆)
最後はお約束、とゆことで。





ぷりーず ぶらうざばっく。