07. ティッシュ













「………っくしゅんっ!」
「なんだ、風邪か? リナ」
「んー。そうかも……」

 リナは頷いて、鼻をすすった。
 そういえば、朝から喉の調子が悪かった。
 鼻もむずむずしていたかもしれない。

 斜め後ろにいたガウリイが、リナの前に出て顔を覗き込んだ。
 その顔の近さに、思わず顔が赤らむ。

「…顔も赤いぞ。熱もあるのか?」

 あんたのせいだってば。
 …とはさすがに言えず、リナは視線をそらした。

「ううん、熱は無いと思うけど。…ごめん、ティッシュ持ってる?」
「ああ、あるぞ」

 ほれ、と差し出されたポケットティッシュを受け取り一枚を取り出して、リナは鼻をかんだ。
 少し、すっきりした。
 残りをガウリイに返す。

「…ありがと。あんた、ティッシュ持ってるのね。ちょっと意外」
「なんでだよ」
「なんとなく」
「リナが持ってないほうがオレにとっては意外だぞ」
「今日はたまたまよ。持ってくるの忘れたの!」

 いつもはちゃんと持っているに決まっている。
 今日はホントに、たまたまなのだ。

「夏風邪はバカが引くんだよな、たしか」
「何よ、あたしがバカだって言いたいわけ?」
「……リナでバカだったらオレはどうなるんだ?」
「うーんそうねぇ、くらげ」
「……………まぁ、今日は夜更かししないで寝ろよ?」

 ぽんぽん、と頭を撫でられる。
 最初は鬱陶しくて仕方がなかったその仕草が、今はたまらなく心地いい。

「酷くなっちまったら、オレが看病してやるよ」
「……うつっても知らないわよ」

 頭の上にあった手が、くしゃりと髪をかき混ぜる。

「そのときはリナが看病してくれるんだろ?」
「…しょーがないからしてあげるわよ」

 頼まれなくても、彼の容態が気になって、看病しに行ってしまうに違いない。















てぃっしゅぺーぱー。





ぷりーず ぶらうざばっく。