04. テープ













「…たッ、痛いってば、ガウリイ!」

「我慢しろ」
「痛くしてどーすんのよ!」
「自業自得だろ?」
「……この痛みはあんたのせいでしょーがっ」
「応急処置しなきゃならないような、怪我をしたのはリナだろう?」
「……………」
「――ほら、できた。明日、ちゃんと医者に行って診てもらえよ」

 包帯を巻いた小さな細い足を、ポンを軽く叩く。
 リナは、彼の手から解放され自由になった足を、ぷらぷらと揺らしてみた。――痛くない。
 椅子に座ったりなの前にしゃがんでいたガウリイを、軽く睨め付ける。

「……この足で、どうやって行くってのよ」
「オレも一緒に行くから」
「……講義はどうするのよ?」
「一回休んだところであまり変わらないさ」
「…………」

 ぷう、と頬を膨らませる。彼女は先ほどからずっと、不貞腐れたまんまだった。
 ガウリイはふう、と溜め息をつく。
 彼女が人一倍強がりの意地っ張りなのはよーく知っているが、もう少し自分を大切にして欲しい、と思う。

 ぽん、と軽く手を彼女の頭にのせ、顔を覗き込むと、リナは視線をそらした。

「いつから痛かったんだ?」
「………一昨日の、体育の授業の時から」
「何をやってたんだ?」
「…バスケ。着地したときに、捻っちゃって」

 その答えに、再び溜め息をつく。それからずっと、誰にも気付かれないよう、気を張っていたのか。
 ……ガウリイが気づくまで、ずっと。

「……なんで、早く言わなかったんだ?」

 訊ねる口調が、知らず、咎めるような口調になってしまう。
 リナが、彼に怒られるのを苦手としていることはわかっていた。だがそれと同じくらいに、過保護な彼に余計な心配をかけるのも嫌だったのだろう。

 リナはあれから、ずっと黙っている。そっぽを向いたまま、視線はガウリイを向かない。
 意地っ張りな彼女のことだから、ここは素直に謝るべきなのだとは判っていても、『ごめん』の一言が言えないのだろう。
 それがリナがリナである所以であり、困ったところだった。

「……もう、無茶はするな。今度からは、ちゃんと言ってくれよ?」
「うん。――――――ごめん」

 小さく答えて、リナは包帯を巻かれた足を見た。
 頭を撫でるガウリイの胸が、リナの顔の前にあって、リナはまた、ごめんと呟いた。
















テープ→テーピングってことで。や、やるよね?(不安)





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