01. 明日の天気
















 テレビをつけると、ちょうど天気予報をしていた。


「……雨だって。明日。」
「雨かー……」

 チャンネルを回さずにそのままにしておくと、顔ににこやかな営業スマイルを貼り付かせたキャスターが予報を続けている。
 映像が映りかわり、『ひまわり』からの映像があらわれた。
 画面の中の日本の上に、大きな雲がかかっていて、キャスターは細長い棒を手に、説明を続ける。

「…梅雨前線だって。」
「そういや、もうすぐ6月だもんな。雨が降ると髪が重くなるんだよなぁ」
「そんな長い髪をしてるからよ。……どーせ、切るのが面倒で、放っておいたら長くなった、ってだけなんでしょ?」
「………よく判るなぁ、お前さん」
「わからいでか」

 再び映像がかわり、週間天気予報になる。
 これから一週間をあらわした表には、雨のマークばかりが表示されている。

「………しまったわね」

 視線をテレビから窓の向こうに移すと、なるほど確かに、空は厚い雲で覆われていて、今にも雨が降り出してきそうだった。

「何がだ?」

 視線をテレビに戻す。
 ちょうど、天気予報が終わったところで、次はNHKのニュースだった。

「傘。……この前、盗まれちゃったのよ。すっかり忘れてたわ。最近降ってなかったし」
「ああ…。でも、傘のことなら心配しなくても大丈夫だぞ」
「へ? …なんで」

 チャンネルを回していた手を止めて、隣にある身体の顔を見上げる。
 何とも楽しげな表情が、そこにあった。


「オレの傘に入ればいいだろう?」












現代版なふたり。





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