皮膚も臓器である。
しかも全身を包んで外界と人体内部を守る最前線にある臓器。
このため皮膚の機能と業務もおびただしい。
そうした露出しつつ活躍する皮膚の機能のひとつに
触ったものがどういう物質なのかを識別する機能がある。
たとえば ツルツル、ネバネバ、ごつごつ、など対象物質の特徴を
解析するセンサーの役割を果たし、
その物質が有益なのか?それとも害をもたらす物か?を判断する。
これを皮膚の識別機能という。
ところが
そうした皮膚の識別機能とは別の次元で
触覚し、その触覚感覚によって情動(心や感情))を発動する機能がある。
情動とは、
快感、不快、安らぎ、不安、好感、嫌悪、愉快、などの
心や感情の動きや発露をさす。
その情動を刺激する皮膚の機能は
C触覚線維と呼ばれる繊細な皮膚繊維を通り脳に到達して発揮される。
このC触覚線維は情動をもたらす事により
別名、官能C線維と称される。
( 官能とは生物学的に使われる場合は、ヒトの五感という事の意味として使われる。)
C触覚線維は、皮膚の体毛の根部に存在している。
C触覚線維は、皮膚の形成進化の度合いから見ると
もっとも初期に形成されたものであり
原始的に人が生きる場面においては、
この情動を刺激する機能が
生存のためには必要であったという推測が成り立つ。。
つまり
それは生存する上で原初的な体の外にある事物を判断する為に
必要な機能であったといえる。
たとえば
乳幼児期にすべてのものを さわりまくり、なめまくる
という行為はこの C触覚線維を存分にはたらかせて、
快感を得ようとしていると解釈できる。
これによって乳幼児は情動が安定し豊かになるのである。
したがって
幼児期に親からさわりまくり、なめまくるなどの行為を
禁じられた乳幼児は長じるに及んでC触覚線維が未熟をとげるか
逆にひどく快感を求める渇望状態になるか
などの状態をひきおこすかもしれない。
このように
C触覚線維はヒトが長じるに及び皮膚を介在して他者との接触によって
幸福感や安心感を醸成する出発点となる皮膚に存在する。
では
C触覚線維を刺激して効果的に幸福感や安心感をより豊かに出すには
どのような条件があるとより効果的か?
主に3つの要素がある:
接触する対象が柔らかいこと |
接触し移動する適度なスピード |
接触する対象の温度 |
柔らかい質感、皮膚を刺激する自在の速度、温度が気持ちよい事、
C触覚線維が刺激される時 これら3つの要素がうまくかみ合い
皮膚の上で展開されると官能性が十分に引き出される。
これらの条件を満たすのは、
お風呂であびる湯、海水浴での海水、森林浴の風、などなど
極め付きは やはりヒトとヒトが触れ合う局面であろうか?
自分の子供とのスキンシップ |
気の合った友人との握手や肩を組んで応援する |
男女間のスキンシップ |
相性の良いマッサージ師から受ける施術 |
などなど とりわけヒトとのヒトの接触は
それがスムーズに展開されていくとついには
同調と共振という作用が生まれる。
同調と共振とは、
接触が佳境にはいってくるや それぞれの間に
互いの想念、感情、感覚、などがひんぱんに往来交流をはじめ
ついには、当初は別々の想念、感情、感覚、であったものが
同化されてひとつのものに統合されていくことを指す。
そうなると
快感、、安らぎ、、好感、、愉快、などの官能は
倍加し膨張し より高次元のレベルに達していく。
つまり
C触覚線維の活動が加速度的に倍加されることにより
奥深い満足度で心身ともに解放されるのである。
整体もいうまでもなくこうした皮膚の特性を
最大限に活用することは言うまでもない。
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