special contents 『ウミユリクラゲ×LASKA



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第一回対談
1.ノベルゲーム界隈の現状について
 〜〜制作者の立場からみた感じを語り合ってみる〜〜
(編集:丹酌 webページ製作:永織 2009/6/29




丹酌

こんにちは。丹酌(たんしゃく)です。
同人ノベルゲームサークル「ウミユリクラゲ」のリーダーをしているものです。

本日は、同じく同人ノベルゲームサークルの、「LASKA」様のリーダー、
永織遥(ながおりはるか)さんと、同人ノベルゲームについてお話してみたいと思います。

永織さん、今日は集っていただきどうもありがとうございます。



永織
いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます!
こういったことを行うのは初なので、どういう風に転がるのか非常に楽しみ且つ不安です(笑)
よろしくお願いいたします〜



丹酌:
私もはじめてです。どのように転がるものか、ドキドキします。
とりあえず、グダグダにならないように気をつけますね(笑)。



永織:
わたしも気をつけます(笑)


丹酌:
トピックは二つです。

1.ノベルゲーム界隈の現状について
 〜〜制作者の立場からみた感じを語り合ってみる〜〜

2.ノベルゲームはどのようなジャンルやコミュニティに分流しているのか
 〜〜制作者の立場からみた感じを語り合ってみる〜〜

まずは1からいってみましょう。
ちょっと具体的に説明します。

ノベルゲームと一言にいっても、フリーゲームなのかシェアゲームなのか、
はたまた一般なのか18禁なのかで、ずいぶんと違うところがありますよね。
そのあたりについて、まずは永織さんにうかがってみたいのですが・・・。



永織:
わたしはいわゆる「フリーゲーム」として完結したものを提示したことがなく、
シェアゲームとして全年齢一般向け作品(「metropolice」)を発表させてもらってます。

フリーゲームはたくさんの方にプレイしてもらえるのが利点ですよね。
作品を読んでもらえるという点では、一番人目に触れやすい発表の仕方なのかな、
と思います。

18禁もプレイ人口が多いことを考慮すると、人目には触れやすいですよね。



丹酌:
LASKA様の作品「metropolice」は、一般向けのシェアゲームですね。
実はまだ体験版しかプレイしたことがなくて申し訳ありません・・。
なかなかイベントに赴くことが出来ず、手に入れられないのです。

フリーゲームですと、たしかに誰でもDLしてプレイすることが可能です。
ですが、おおざっぱにいってしまうと、それほど多くプレイされているとはどうも考えられないんです。

私どもの作品「だれかのかがみ」はフリーゲームとしてネットに公開したのですが、
おそらく、100〜200人くらいの方がプレイされたかなってくらいなんです。

理由は大きく三つに分けられると思います。
宣伝の場が限られることと、ノベルゲームをプレイする人そのものが少ないということ。
そしてゲームのクオリティや宣伝の仕方に左右される、ということでしょうか。

でですね、結局のところ、もっとも手にされやすく、宣伝的にも大きくひろがるのは、
18禁ものかなと考えられます。ただ、18禁でフリーゲームはそれほど多くなく、やっぱりシェアがメインになると思われます・・。

DL販売サイトなんかも、18禁と一般ものではずいぶんと規模が違う(笑)。
かなしいけれど、それが現実ですね。


永織:
いえいえ^^
わたしもウミユリクラゲさんのゲームは「だれかのかがみ」しかプレイしたことないので……「tetRa」も楽しみにしております。

そうですね、18禁とは大分規模が違いますよね。
詳しい規模はわからないんですが、DL数の差を見ると泣きたくなります(笑)


ニュースサイトやレビューサイトも、
更新停止などで一時期に比べると現状かなり減ってきているようですね……



丹酌:
泣きたくなります><;

ニュース・レビューサイトは、そうですね某大手が去年から更新を停止してるんですよね。
ただ、ここ最近、また新しいニュース・レビューサイトがぽつぽつと立ち上がっているみたいです。

あれです、「IGDA日本のSIG-Indie研究会に関する記事」が、数ヶ月前に話題になって、
そこからノベルゲームやインディーズゲームについて、関心をもたれた方が多くなったんだと思います。
とくに、制作者側がこれらの記事に反応していたと思うんです。
私もその一人ですね(笑)。

いずれにしても、プレイヤーの数が少ない+宣伝場所が限られる(コミュニティが限定される)という状況、
ここがやっぱり寂しいなあ、と私は思います。



永織:
>ただ、ここ最近、また新しいニュース・レビューサイトがぽつぽつと立ち上がっているみたいです。

それは製作者としては大きいですね!
自分のサイトの宣伝だけでは、やはり大きな宣伝効果を望むのは難しいので……
特にレビューやニュースに取り上げて頂いたりすると、
飛躍的に体験版ダウンロード数が伸びたりもしますし、ほんとうにその力は大きいです。
大感謝です。

プレイヤーの数が少ないのは寂しいですよね。
例の規制が同人にも波紋を広げないか、少し心配です……


丹酌:
>特にレビューやニュースに取り上げて頂いたりすると、飛躍的に体験版ダウンロード数が伸びたりもしますし、

そうですよね!
googleやヤフーで作品タイトルを検索すると、ある日突然ヒット数があがっていて・・・
確認すると、レビュー・ニュース、あるいは個人のブログなどで取り上げて頂いていたという体験、なんどかあります。

例の規制は、どのように転がるのか、まったくわかりません。
ソフトハウスのほうは本当に大問題だと思われますが、
う〜ん、一般向けの同人ゲームサークル的にはどうなのか・・。
これ、ちょっと私には予測できないんですよ。予想はあるけれども・・。

永織さんはどのように考えておりますか?


永織:
うーん、難しいところですよね……
ノベルゲームをプレイする人口自体が減ってしまうのではないかという危惧はあります。

ただ、最近は携帯のアプリなんかでもノベルゲームに人気が出ていたりもするので、
逆にそこには期待していたりもします。

家でPCでじっくりプレイする楽しみももちろんありますが、
手軽に携帯でノベルゲームがプレイできる環境が増えれば、
もう少しいろんな方に興味を持ってもらえるんじゃないかとは思います。



丹酌:
そうですね。
パソコンでDLしたソフトを起動させてプレイするというスタイルに
こだわる必要はないのかもしれません。

携帯もそうですが、ニコニコ動画のような動画共有サイトでも、OPムービー等を用いた宣伝や、
それから実況プレイのような形でゲームを見ることが可能になっています。
実際、ノベルゲームは動画として流すほうが簡単に文字を追えるのかも・・。

あとはネトラジ(映像つきもあります)かなぁ。
そういえば「だれかのかがみ」も、ネトラジでプレイされてました! びっくりでした。



永織:
ネトラジいいなーうらやましいです(笑)
そういう風に他の媒体を通して興味を持っていただけるのも嬉しいですよね。

OPムービーにも興味があって、一度自分で作ろうと挑戦したのですが、
3日かけたのに前奏すら終わってないことに気がついて断念しました(笑)
同人ゲームは端から端まで時間がかかるので、注目されなかった時に切なすぎますよね……

プレイ動画を流すのもやってみたいとは思うのですが、
うちは連作物だったり選択肢があったりでそちらも断念しました。。
ただ、色々な方に気軽に触れてもらえるという点では挑戦してみてもいいのかな、
とは考えています。

ウミユリクラゲさんでは何かそういった宣伝方法は考えておられますか?



丹酌:
う〜ん、宣伝というよりも、
活動を通して認知度をあげていくのが一番確実かなって思うんです。

実は最近、MIXI内にてオマケ・ノベルというコミュにいれてもらったんです。
そちらのほうの小説誌でも、作品をつくって掲載していただく。
他のものかき様たちと切磋琢磨していく。
そして、自分の技術の向上と共に、一人でも多くの方に読んでもらえればなって^^

そうですね、サークルを通じての活動でもいいし、個人の小説の活動でもいい。
とにかく、創作という行為はとまっていてはダメだと思うんですよ。



永織:
>とにかく、創作という行為はとまっていてはダメだと思うんですよ。

むむ、なかなか深い言葉ですね。
作り続けることはほんとうに大事だと思います。
自分自身の成長にも繋がりますしね^^



丹酌:
はい^^
んでも私の場合、何か理由をつくって、しばらく止まってしまう・・・
という事態を結構頻発させてしまうんです><
ですのでできるだけ自分を追い込んだほうがいいかなと。

ええと、あまりこのようなことをいうのは間違いかもしれませんが、
年齢的にも、なんらかのコミュニティの活動として目的を与えられたほうが、
よほど素直に創作活動に打ち込めるように思えます。
う〜んなんといいますか・・・結局のところ、自由ってなんだろうなって、
最近よく考えているんです(笑)。

っと、話を脱線させてすみませんw



永織:
いえいえ^^

うちは活動当初からイベントに申し込みしまくって、
間に合わせるために必死に物を作っている感じなので(笑)
ただ、その焦りがいい感じにゲーム作りに貢献しているのかもしれません。
自由にやろうとすると怠けてしまうというか、自由に縛られるというか……

とはいえ、去年の冬に出だしで一作目を思いっきり落としましたが(笑)



丹酌:
ま、まあ落としてしまうという失敗は、結構誰でもあると思いますよ^^;

私らのほうだと、
フリーゲームでつくっていましたから、あまり追い込まれる感じではなかったんです。
文学フリマに参加したときはシェアゲームの作品を制作していましたが、
短編+期間がたくさんな状態だったので、時間の焦りはありませんでした。

が、これからはもっと追い込んだほうがいいのかもしれませんww
いまのところはネットでの活動が主体ですが・・・ちょっとこのへんは、
今後しっかり考えなきゃです。

そうそう、自由すぎると自由や自分のこだわりに縛られてしまう!



永織:
わたしは落とした時はものすごい反省させられました。
シェアゲームメインだと、どうしてもイベント活動が主体になってしまうのですが、
当時はいくらなんでも追い込みすぎたかもしれません……

追い込みも加減が大事ですよね(笑)


丹酌:
さじ加減は大切ですね。
これを間違えてしまうと、
ヘタをすればメンバーのモチベーションにもとても響いてしまうと思います。

この辺りはどのような活動や仕事でも同じだと思いますが・・・。難しいところですね。
確実なのは、やりたいことと、できることをしっかり把握することなのかなと思います。

ところで、さきほどニコニコ動画やネトラジの話をしましたが、
どちらもアクセス数ってそんなに多くないですよね><;
ニコニコ動画で、”ノベルゲーム”で検索かけるとわかりますが、
シェアメインの同人サークルさんの宣伝OPなどでも、
アクセス数がちょっと残念な数なんだなぁ。

絶対、永織さんの初音ミクちゃんのほうが人気ありますよ^^



永織:
>確実なのは、やりたいことと、できることをしっかり把握することなのかなと思います。

まさにその通りです。
同人ゲームはモチベーションの確保が必須ですよね!

>ところで、さきほどニコニコ動画やネトラジの話をしましたが、
どちらもアクセス数ってそんなに多くないですよね><;

そうなんですよね……
苦労する割にはアクセス数があんまり稼げないっていうのも、
踏み切れない一つの理由ではあります。

うちのミクさんは半年以上お休み中です(笑)
余裕があれば次回作のEDテーマもミクver.を作ろうかとは思っているのですが……
時間の余裕次第ですかね(汗)



丹酌:
ミクED,いいですね^^

宣伝としても、すでにどのようなメディアやコミュニティでも、
人が拡散しすぎていて、踏み切る必要はあるのかな?と考えてしまいますよね。

多くのところに宣伝するよりも、フリーゲーム系のサイト(ゲームモリモリさんとかの)に作品を登録するのが一番いいのかも。

同人に限らず、どのようなジャンルでも、
すでに人々(の嗜好やコミュニティ)が拡散している。
従来のメディアの捉えかたも、90年代のネットの捉えかたでもダメなんだと思います。

これからメディアやネットはどうなっていくのだろうか。
不思議で、ちょっとゾッとしています。


永織:
フリーゲーム系の紹介サイトさんの作品登録も大分助かりますよね!
作品さえあれば登録もそんなに大変じゃないですし。

メディアはCD、データ媒体のものには確かにこの先不安がありますよね。
消滅はしないと思いますが、縮小は避けられないのかもしれません……


丹酌:
だんだん、同人ノベルゲームの宣伝方法から、メディアの変化の話になってきましたね^^
これはもう誰も避けられない感じですね・・・。

では、次のトピックにうつりましょう^^



おっと、いい忘れたことがありました!

確実な宣伝方法は、同人誌イベントへの参加&交流だと思われます!
いつの時代も、物理的な空間と存在を共有するのが、確実なんだ!


→第二回へ続きます(近日公開予定)




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