うそつき日記 20
遠い町の灯がまたたく
大気圏は今日も冷たく
mの上には東京の空
m’の上には鹿児島の雲
東京の空にはくじらも浮かぶ
ああすごい夕焼けだったね
fのいるここは東京じゃない
残照ばかりがまぶたに広がる
mの空はもうすっかり暮れて
夜のほとりでfを思えば
鹿児島の空もそろそろ赤く染まるころ
振り仰ぐm’を見おろしている活火山
雑音だらけの電話
mの声は届かない
fの気持ちも通じない
電池がない
もうじき切れるよ
そういうとほんとに切れてしまうんだ
町を見下ろす公園で最後のキスをしたことも
混んだ地下鉄の中でつかまえた左手も
m’を乗せたタクシーも
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