果樹園
くだもののなる樹の下で
動物たちが口をあけて待っている
種のまわりの肉がほしいんだよ
おいしい汁をすすりたいんだよ
種ごとまるごと食べ尽くされて
種はけものの中を旅していく
地上にもう一度降り立つために
fの種のまわりにも
たっぷりと肉がついて
mに食べられる日を待っている
おいしいから
たべてごらんよ
fの核がmの中に入る
根を張る
芽を出す
内側を所有する歓び
おいしいから
たべてごらんよ
今度はmがfを誘う
mをぜんぶ食べてしまうと
mの外側だけが日常の中に残る
果樹園への道
mの核はfの所有
fの核はmの所有
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