下のB♭とは、ヘ音記号第二線の音のことだろうと思います。この音は相当特殊な音と思ってください。この音に悩む人はとてもたくさんいます。B♭より上の音からこの音に降りるとき、多くの場合「バリッ」と大きな音になるのではありませんか。そしてそのとき何か輝いたような音に聞こえませんか。それとも逆に、その音だけこもって聞こえたりしませんか。またそれより下の音とその上の音では音色に大きな差がありませんか。
私は次のような練習方法を勧めます。
1.当分の間、例えば1週間ぐらい、B♭管でなく、F管を常に使い、主としてレガートおよびレガートタンギングで吹く練習をする。
2.1ポジションの下のB♭と、同じ音をF管3ポジションとで交互に2拍ずつロングトーンで吹く。
私はこのF管3ポジションのB♭は演奏でも時々使います。ちゃんとしたポジションを取って、豊かな息がまっすぐ管に入っていればB♭管よりも「リッチな」音がすることもあります。この音が使えるようになると、演奏の幅が広がります。フレンチホルンでは同じ音でもB♭管よりもF管の方が太い音がするので好まれることが多いですが、それと同じです。
さて、実際にやってみるとやはりポジションが難しいですね。B♭は3ポジションですが低め、下のAは4ポジションずいぶん低め真ん中のAは1ポジションです。下のGはB♭管の7ポジションより低くです。頑張って一杯に手を伸ばしましょう。下のF♯だけは難しいですが、たくさん出てくる場合には、F管抜差管を引いてE管にして使います。もしダブルロータリーのバストロを持っているならF♯はインラインD管の場合は4ポジション(といっても5ポジションぐらい)アウトラインE♭管の場合は5(6ぐらい)Gも同様です。
ポジションに気を付けながら、F(E、E♭、D)管の音色を確かめていきます。当然ムラがあるでしょう。それを均一にしていくことを考えます。そのときに気を付けなければいけないことは、F管の音色をB♭管の音色に近づけるのではなく、B♭管の音色をF管に近づけるように考えること。B♭管で出やすいバリッとした音はこの際封印。柔らかくて豊かで伸びのある音を目指しましょう。
息をたくさん吸ってまっすぐ音を出すという基本を踏まえた上でこういうトレーニングを積むと、唇の開き方(アパーチュア)が適正なものになるはずです。そうすると自然に問題が消え、おまけに音が前よりも豊かになるはずです。試してみてください。マウスピースが大きすぎる、またテナーから一時的にバスに代わってそのマウスピースになれていないという状況かもしれません。そうした場合もこの方法が役に立ちます。
以上のお答えは、T.S氏からいただきました。
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