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サクソフォーン 4.バリトンで低音を上手に出すには?

低音が出にくいのは、息の絶対量が足りないことが考えられます。対処法は呼吸のトレーニングに尽きます。腹式呼吸法をマスターしましょう。尚、女性は男性に比べると腹式呼吸のイメージがつかみにくいと思います。とりあえず身体を腰のところでホンの少し前傾させて見ましょう。(椅子に座った状態なら少し前に身体を乗り出す感じ)
そうするとお腹の辺りが少し窮屈になりますよね? その窮屈なところを、息を吸い込むことによって押し返してみます。あるいは軽く手を当ててお腹を押してみます。息を吸って押し返してみて下さい。お腹が動く感じがわかりますか?それが「腹式呼吸」の第一歩です。お腹だけではなく、背中側、脇腹・・・全てが風船のように膨らむのです。
ココで注意ですが・・・
大切なことは、「お腹がいかに膨らむか」ではなくて、「筋肉に意識を通わせる」と言うことです。腹式呼吸というのはお腹の筋肉で息を吸ったり吐いたりするのではなく、吸った息をいかにコントロールして吐き出すか、なのです。筋肉は本来、動くことによって堅くなります(腕の力瘤を考えてみて下さい)
それは呼吸に用いる筋肉も同様です。もし息を吸い込むと時に筋肉を意識しすぎるとどうなるか・・・筋肉は堅くなり肋骨を、横隔膜を、肺を押さえつけてしまうのです。それではたくさんの空気を吸うことは出来ません。
最初は、少なくとも息を吸うときは腹式呼吸を意識しないで、とにかく深く息を吸うことを心がけてみて下さい。大事なのはそのあと、吸った空気を繋ぎ止めて、適量の息をを一定の速度で吐き出すことに筋肉は使うのです。一般に言われる「肩の上がり下がり」や「お腹が膨らむ」ことが腹式呼吸のポイントではないのです。それは確かにある程度目安にはなりますが、あくまで2次的な結果に過ぎません。意識しすぎると逆効果になるので注意して下さい。
そしてロングトーン練習です。低音をしっかり、一定の音量で吹けるように意識しながら練習して下さい。息を吐き出すときは、全身の筋肉を柔らかくゆったりとコントロールする事によって息をコントロールする、といったイメージを持つと良いでしょう。

また、アンブシュア(マウスピースをくわえる時の口の形)の問題ことも考えられます。マウスピースをくわえるときに、必要以上にきつくかんでいたり、弛め過ぎてはいませんか? アンブシュアを文章で伝えるのは困難ですが、ポイントとして「歯で上下を締めてかみ合わせてはいけない」「大事なのは上下よりも左右から締める力」を挙げておきましょう。唇廻りの筋肉がコントロールできるようになるには時間がかかります。だからといって、歯の上下かみ合わせでマウスピースを固定するのは良くありません。リードが締め付けられて、豊かな低音は望めません。計る目安として、下唇が痛くなるかどうか考えてみて下さい。むろん初めの頃は誰でも痛いですが、血が出てきたり、唇の裏側に筋がくっきり着いてしまうようならそれは噛みすぎです。口廻りの筋肉で軽くマウスピースを「浮かす」感じでくわえてみましょう。(これも必要以上にやると、結局締まりすぎてしまうので注意)
上下の締めは比較的イメージしやすいでしょう。普段の口の動きですから。そこで上下以上に意識しないと出来ないのが左右からの締めです。本来サックスのアンブシュアは全体に唇が輪ゴムのようにマウスピースを包むのが理想です。そのためには普段意識しづらい部分に意識を行くようにしなくてはなりません。となれば、最初のウチは左右の締めを重視するのが良い、ということになります。

それから、マウスピースとリードの組み合わせが良くないこともよくあります。とりあえず、リードを少し柔らかめのモノにしてみて下さい。それだけでグンと楽になる場合があります。使用しているかリードのメーカー、番号はわかりませんが、リードが堅すぎる場合、初心者には低音は出せないでしょう(出ても壮絶に割れた音か、ひょろひょろの音になりがちです)
経験者や先輩の使っている番号より数字半分だけ柔らかい(例えばヴァンドレン社のリードの場合、3と2/1番から数字半分柔らかい3番と言った感じ)リードを使ってみて下さい。試しに違うメーカーのリードを使ってみるのも面白いですが、初心者のうちにあまりとっかえひっかえしているとかえって上達が遅くなることもあります。とりあえずは、同じメーカーで少しだけ柔らかいリードを試してみるのが無難でしょう。マウスピースの開きが大き過ぎる、もしくは狭すぎる可能性もあります。(狭すぎる場合、低音は細い音になりがちです)
自分用のマウスピースをなるべく早いうちに購入することをお勧めします。こればかりは、その人の体格、体力を考慮しないといけないので一概には言えませんが・・・。アルト、テナーと違いバリトンは、標準よりホンの少し開きがある方が吹きやすく、音も良いのです。例えばセルマーであればC*という型番のモノが標準の開き具合ですが(ヤマハ、ヤナギサワならば5番と言ったところでしょうか?)バリトンの場合D、出来ればE(ヤマハ、ヤナギサワであれば6番〜7番くらい)がバリトンの場合良いのです。ただこれも前述のように、奏者の体格、体力によって異なります。
・・・とりあえずは柔らかめのリードを試してみて下さい。

そして、キィが押さえ切れていない。意外と盲点なのがこれです。低音のキィは押さえるのに少しばかり力がいる上に、バリトンはキィの配置がアルト・テナーに比べ離れているので小さめの手の人や、女性の場合、どこかのキィを押さえている指(大抵右手小指)が浮いてしまうことがあります。これでは低音は出ません。これはしっかり押さえられるよう、ロングトーンの時などに指を一本一本意識しながら吹いてみて、しっかりキィを押さえた状態を持続出来るように練習してみて下さい。単に握力では無いのですが・・・握力があった方が楽なことは楽です。もっとも、リンゴを握りつぶすわけではないし第一指はスムーズに優雅に動かさなければならないものなので、変に筋トレ等はしない方が無難でしょう。

さらに、楽器の調整がおかしいことがあります。これは、学校に置いてある楽器にありがちなトラブルです。サックスはデリケートな楽器なので定期的に調整しなければすぐにおかしくなって音が出にくくなります。特に低音が影響を受けます。
最後に調整に出したのはいつなのか確認してみて下さい。極端な場合10年くらい調整していない楽器もあります。そんな状態ならば、即座に楽器屋さんに持っていって調整をお願いしてみて下さい。その際には、しっかりと調整が出来る専門の修理職人(リペアマン)がいる楽器屋さんか、あるいはメーカーに委託して下さい。
とにかく、2年以上調整をしていない楽器なら、調整の狂いも疑った方がよいでしょう。

以上のお答えは、吉田隆一氏からいただきました。



どんな楽器を吹く時でも「息の圧力」はしっかりしていなければなりません。ここでいう「息の圧力」とはいわゆる息の支えともいって、PP〜ffまで一貫した息のスピードだと思ってください。
練習方法としては、ffでのロングトーンからやってみてf〜mf・・・・ppと「息の圧力」を変えず、「息の量」だけを減らしていくロングトーンやりかたが効果あると思います。うーんわかるなかなぁ? 要は支えが常に音より勝っているっていうのかな。
この時オクターブキーを押した「D」の音を使います。特にp〜pp位の音量の時に「息の圧力」が落ちていないか注意してください。次にオクターブキーを押さない「G」の音から半音づつロングトーン(先ほどの要領で)降りてきてください。この時のポイントとして、「息の圧力」は保ちつつ今度は「息の方向」を下方向にイメージすると良いでしょう。(例えば楽器をかまえた状態の左手親指あたりに息を当てる感じ)
もう一つのポイントとしてアンブッシャーにも注意してください。低音を出すときに唇の両端の支えがゆるんでいませんか? また同時に下唇で(閉めすぎによる)リードの振動を止めてはいませんか? 理想を云うならアンブッシャーは上歯と唇両脇の筋肉でしっかりマウスピースを支え下唇で音程・音色等をコントロールします。人によって違いもありますが要はリードを沢山振動させれば楽に音が出せるという訳です。
これらの事を注意深くやっても何も改善されないようでしたらもしかしたら、楽器の具合があるいのかも。楽器のタンポが浮いていたりしてませんか? 先生か楽器屋さんに調整してもらってください。

以上のお答えは、TWWサックス奏者:松原孝政氏からいただきました。

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