フルートの場合、フラッターの方法は、二通りあります。
一つは、舌をrrrrr…と振るわせる方法で、これは主に高音域から中音域にかけて行ないます。
もう一つの方法は、口の奥に垂れ下がっている口蓋垂(俗に「のど○ンコ」と呼ばれているところです)を、振るわせる方法で、これは主に低音域の時に使われます。この口蓋垂によるフラッターの練習ですが、まず口に水を含みウガイをしてみて、口蓋垂の振動する様子を体感してみます。次に、水を含まない状態で、息を口蓋垂に当てるつもりで、空ウガイをしてみます。そのときに口蓋垂が振動していれば第一段階は成功です。その後、口蓋垂が振動したときの様子を思い出しながら、フルートを吹くときのアンブッシュアの形を作ったままでも、口蓋垂が振動するようにコントロールします。
ヨーロッパの言語では、たとえばドイツ語の「R」の発音のように、舌や口蓋垂を振動させながら発音するアルファベットがあるので、ヨーロッパ人にとっては、この両方の方法によるフラッターは容易であるように見えます。しかし、日本人は、言語の発音に対してそういう習慣がないので、綺麗な、周期が揃ったフラッターを、とくに口蓋垂の振動によって実現するには、かなり繰り返し練習する必要があります。この口蓋垂の振動によるフラッターがマスターできれば、低音域(とくに右手でキーを塞ぐ音域)に対するフラッターは、かなり完成度の高いものになります。
低音のAでは、舌か、あるいは口蓋垂によるフラッターにするか選択に迷う音域ですが、たいていは舌による方法で充分だと思います。しかし、そのとき上手く音が響かない場合は、息の吐き出しが少ないまま、口の内部だけで、舌が振動しているだけという状態が考えられます。つまり息は、舌を振るわせるだけで消耗されてしまい、さらに歌口へ空気を送る分の量が不足しているのです。その場合、腹式呼吸による息の吐き出しが充分に出来ているか確認してみて下さい。腹式呼吸ができていれば、息の量やスピードを、自由自在にコントロールできるはずです。
以上のお答えは、藤田信路氏からいただきました。
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