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フルート 2.音をきれいに終わらすには?

腹式呼吸による息の吐き出しがうまくコントロールしましょう。空気を胸一杯吸いこんだ後、特別な筋肉を使わなくても喉を少し開くだけで、息は自然に流れ出します。フルートを吹くときは、それだけで良いんだというように指導する先生もいらっしゃるようですが、これは間違いです。肺がしぼむに任せたままにしておくと、クレッシェンドやディミヌエンドなどの音量の変化や、それに伴う音程のコントロールがうまく行なうことができません。もし、この方法で音量を調節するなら、フォルテに向かうとき喉を開け放つ(=音程が上づってしまう)、ピアノに向かうときは喉を絞る(=音程が下がってしまう)ことになります。そのために、たとえば音の終わり方をしなやかに行なおうと思っても、音程がぶら下がってしまうので、本能的にブツッと切らざるを得ないのでしょう。また、肺がしぼむに任せたままにすると、息のスピードがコントロールできないので、軽いスタッカートやスタッカーティシモを演奏するときにどうしても重たくなってしまうのです。こういう呼吸法は胸式呼吸です。
空気を胸一杯吸いこんだ後、喉で息を止め、音を出すときに喉を開いていくというのは、腹式呼吸でも同じですが、それに加えて、横隔膜を通じて腹筋の力で肺を下から強制的に押し上げていく方法が腹式呼吸です。強制的という言葉は良い言葉ではありませんが、要するに自分の意志によって息のスピードが自在にコントロールできるのだということを意味しています。
横隔膜とは、肺とその下に位置している腸などの内蔵を隔てているただの「膜」です。この膜を腹筋を使って下から上に肺を押し上げて、息のスピードをコントロールします。あるお医者さんが書いた声楽のための本の中で、腹式呼吸について、面白いことが書いてありました(あまり綺麗な話ではありませんが)。「排便するときには、息を止めてお腹の力を使って排出するけど、歌うときはその逆で、おしりをしっかり閉じて、今度は、その腹筋を使って肺にたまっている空気を上に押し上げて吐き出す」これが歌うときの腹式呼吸だというのです。フルートの場合も同じで、演奏するときはそのくらい腹筋はダイナミックに使われているのです。
この腹式呼吸を体感するには、たとえば、口元に手のひらを近づけて、それを息を吹きかけることで急速に手のひらを暖めてみて下さい。フッーと吹きかけたのでは、手のひらは冷えてしまいます。ところがハッーと吹きかけると手のひらが暖めることができるでしょう?。そのときにお腹がへっこんでいくようすが体感できると思います。これが腹式呼吸による息の吐き出しなのです。フルートを吹くときは、確かに口の形(アンブッシュア)はフーッという形に近いですが、息を吐き出すそのものはハッーなのです。繰り返しますが、フーッという口の形のままで、ハーッと吐き出すわけです。すこしややっこしいですが、試してみて下さい。
呼吸についての理屈は以上の通りですが、理屈以上に、音の表現に対しての感性を養うことが最も大切なことです。出来るだけ多く、偉大なフルーティストの演奏を聴いて、フルートの表現の可能性とその世界を体験してみて下さい。その上で、ご自分の理想の音づくりを目指すようにすると良いでしょう。

以上のお答えは、藤田信路氏からいただきました。



音が「ブツッ」っと切れてしまう原因は2つ考えられます。
@音を切る瞬間、舌で息の流れを止めてしまっている。
  音の終わるその瞬間、舌の先端が口の中の何処かに触れてしまっていませんか?
A音を切る瞬間、唇の穴が完全に閉じてしまっている。

一番大切なことは、音が鳴り終わっても、しばらくの間息が出ていなければならないと言うことです。
そのことを念頭において、ロングトーンから練習してみて下さい。意識的に音が鳴り終わっても息をはき続けるようにして! 初めのうちは、「シュゥゥゥ〜」っという雑音が非常に気になると思いますが、第一段階としては、そこはあまり気にしないこと!!!
音が終わっても息を出し続けられる習慣が身についてきたら今度は雑音を無くす訓練です。「シュゥゥゥゥ」っという雑音が鳴ってしまうということは、要するに今鳴っている音量に対して息の量とスピードが大きすぎるからです(これは通常の音を鳴らす時にも言える事ですが)。音が割れてしまうのもそのせいだと思われます。その辺の息の量とスピードのバランスは時間を掛けて研究、工夫していかなければなりません。楽器の角度、腕の角度、顔の角度を微妙に変えてみる事も雑音を無くすのに効果的です。ちなみに私の場合、右腕をほんの少し右下に引き、それと同時に顔をほんの少し左上に動かしています。本当に、ほんの少しです。
でも、あくまでも息の力だけで行ってください。顔や腕の角度は音程を安定させる為の効果が主ですから!
初めのうちは、音が美しい形で完全に消えていくまでに相当長く音をのばしていないと消せないと思います。でも、毎日少しずつ短い時間で消せるように努力していけば、「スーッ」っと音を消す時間も自在に操れるようになります。操れるようになった時に、それをそのままスタッカートの奏法に生かしてみてください。鳴っている時間は短い、でも音はスーッっと消えていく・・・。最高のスタッカートですよね。
マルセル=モイーズ著『ソノリテについて』第3章「アタックと音の連結」を参照してみて下さい。これを使って練習するときは、メトロノームは使わず、テンポは自由(もしくは極めてゆっくり)で、初めは音の処理のみに神経を集中させて。美しい音の処理が出来るようになったら、今度はタンギングです。舌先を歯の裏にあててみたり、舌先を唇の外に出してみたり、色々試してみると良いでしょう。様々なニュアンスのタンギング(スタッカート)が出来るようになりますよ。
私は15年間、この「アタックと音の連結」の練習を欠かしたことがありませんよ!

以上のお答えは、TWWフルート奏者:満島貴子氏からいただきました。


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