灯台の光が届く距離を計算することから、数学と日常生活との関連性と
数学の有用性を感じることが、この教材のねらいである。
日本で最も標高が高い灯台は、兵庫県の余部埼灯台で、
水面から光源までの高さは284mである。
この灯台の光は、どのくらいの距離まで届くのだろうか?
地球の半径を6400kmとして、船の高さを5mとすると、
図のようになり、三平方の定理より、
√{(6400.284)2-(6400)2}+√{(6400.005)2-(6400)2}≒68.293kmとなる。
光の屈折の関係で、6%遠くまで見えることから、
68.293×1.06≒72.391kmとなる。これを地理的光達距離と呼ぶ。
海上保安庁で2003年までは73km見えると発表していて、地理的光達距離とほぼ近似する。
※なお、現在は国際基準にあわせた光に関する算出条件の見直しにより、
光が届く距離は地理的光達距離よりかなり短い43kmとなった。
同様の計算で、富士山を見ることができる場所までの距離は、
その場所の海抜を0mとし、身長150cmの人が見るとすると、
√{(6403.776)2-(6400)2}+√{(6400.0015)2-(6400)2}≒224.26kmとなることがわかる。
これは理論上、北は新潟県柏崎、東は千葉県銚子、西は滋賀県米原、南は八丈島で
見えるということになる。
※実際は地球上の距離は円弧なので、この長さより少しだけ短い。