リンドパピルスの単位分数

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分数計算

数学史の話を交えながら、分数で問題解決をすることで、数や計算に興味をもち、

分数の計算力を培うことが、この教材のねらいである。

文書として残っている最古の数学書は、紀元前17世紀くらいにエジプトで書かれた

「リンドパピルス」といわれている。リンドパピルスには全部で87の問題が出て

いるが、その中で「分数をわざわざ異なる分母を使った単位分数の和で表す」

というものがおもしろいので、ここで紹介する。

2個の円形のホットケーキを5人で分けるとき、図1のように(2/5)の形で分けると、

E氏だけ形が違ってしまうので、図2のように、とりあえず(1/3)ずつの塊で分け、

残りの(1/3)を5等分して全体の(1/15)ずつ分けると、全員同じ形になって平等である。

これを式で表すと、(2/5)=(1/3)+(1/15) ということになる。

当時は分子という考えがないらしく、リンドパピルスではすべての分数を単位分数で表して

いる。


以下のように、いろいろな分数を単位分数に分けてみるとよい。

(2/5)=(1/3)+(1/3)÷5=(1/3)+(1/15) を参考にして考えると求めやすい。

(2/3)=(1/2)+(1/2)÷3=(1/2)+(1/6)

(2/7)=(1/4)+(1/4)÷7=(1/4)+(1/28)

(3/5)=(1/2)+(1/2)÷5=(1/2)+(1/10)

また、(4/5)=(1/2)+(1/4)+(1/20) のように3つ以上の単位分数に分けることもある。

<参考文献>
[1]中宮寺薫(1994),『数学通になる本』,オーエス出版社,pp.38-48.