大相撲の巴戦の確率

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無限等比級数

大相撲の巴戦の対戦順の有利不利について考察することで、無限等比級数に興味をもち、

理解を深め、単元の有用性を感じることが、この教材のねらいである。

大相撲本場所で3人が同じ勝敗で並んだとき、一番先に連勝した人が優勝となる巴戦を行う。

最初に対戦する2人を抽選で選ぶが、力が互角のとき先に対戦する2人A,Bと最後の1人C

ではどちらが優勝する確率が高いだろうか。

Aが優勝する場合は、「1試合目に勝った場合、2試合目に勝つか、

『2試合目にCに負けた場合、3試合目にBがCに勝ち、4試合目に勝つ』の繰り返しがあって、

最後に勝つ」つまり、○(×-○)…(×-○)○のパターンか、

「『1試合にBに負けた場合、2試合目にCがBに勝ち、3試合目に勝つ』の繰り返しがあって、

最後に勝つ」つまり、(×-○)…(×-○)○のパターンなので、

Aが優勝する確率は、

(1/2)×{1+(1/8)+(1/8)2+(1/8)3+…}×(1/2)+{(1/8)+(1/8)2+(1/8)3+…}×(1/2)

=(1/4)lim(n→∞)(8/7){1-(1/8)n}+(1/2)lim(n→∞)(1/7){1-(1/8)n}

=(2/7)+(1/14)=(5/14)となる。Bが優勝する確率のも同様に(5/14)なので、

Cが優勝する確率は、1-(5/14)×2=(2/7)となり、最初に対戦するAとBより低くなる。

よって、確率的には最初に対戦するAとBの方がよく、多少なりとも対戦順を決める

最初のくじ運も大事であることがわかる。

なお、対戦総試合数の期待値は、2試合で決着がつく確率が(1/2)、3試合で決着がつく確率が

(1/2)2、4試合で決着がつく確率が(1/2)3・・・なので、

E=2×(1/2)+3×(1/2)2+4×(1/2)3+5+(1/2)4+…}

 =lim(n→∞)(k=1Σ){(k+1)×(1/2)k}

ここで、 S=(k=1Σ){(k+1)×(1/2)k} を計算すると、

     S=2×(1/2)+3×(1/2)2+4×(1/2)3+5×(1/2)4+6×(1/2)5+…+(n+1)×(1/2)n

-)(1/2)S=     2×(1/2)2+3×(1/2)3+4×(1/2)4+5×(1/2)5+…+n×(1/2)n   +(n+1)×(1/2)n+1

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  (1/2)S=1      +(1/2)2+(1/2)3+(1/2)4+(1/2)5+…+(1/2)n            -(n+1)×(1/2)n+1

      S=2     +(1/2)+(1/2)2+(1/2)3+(1/2)4+…+(1/2)n-1        -(n+1)×(1/2)n

ここで、lim(n→∞){(n+1)/2n}=0 なので、

E=lim(n→∞)S=2+1-0=3 となり、対戦総試合数の期待値は3試合である。

少し難しいが、(等差数列×等比数列)の和を求める練習になる。