積分を利用した重心の求め方

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定積分と面積

いろいろな図形の重心の位置を積分を利用して求めることで、積分に興味をもち、

単元の有用性を感じることが、この教材のねらいである。

重心を求める公式がある。これは、図形の面積をSとしたとき、

重心の座標(xG,yG)は、G=(1/S)∫xds,yG=(1/S)∫ydsである。

ここでdsは、それぞれの積分方向における面積の微小増加量である。

①正三角形の重心

簡単な例として、この公式を使って、右図のような

一辺の長さが3の正三角形の重心を計算で求めてみよう。

面積 S=(1/2)×2√3×3=3√3

図の正三角形の右側の斜辺の直線の式は、y=-(√3)x+3、

x=(1/√3)(3-y)より、

y方向の面積の微小増加量 ds=2xdy=(2/√3)(3-y)dy

よって公式より、yG=(1/S)∫03yds=(1/3√3)∫03y(2/√3)(3-y)dy

 =(2/9)∫03(3y-y2)dy=(2/9)[(3/2)y2-y3/3]03

 =(2/9)((27/2)-9)=(2/9)×(9/2)=1

図形がy軸に対して左右対称なので、xG=0となり、

図のような正三角形の重心が(0,1)であることを計算で求めることができる。

②直角三角形の重心

x軸,y軸,直線y=-2x+6 で囲まれる直角三角形の重心を計算で求めてみよう。

面積 S=(1/2)×3×6=9

x方向の面積の微小増加量 ds=ydx=(-2x+6)dx

xG=(1/S)∫03xds=(1/9)∫03x(-2x+6)dx

 =(1/9)[-(2/3)x3+3x2]03

 =(1/9)(-18+27)=1

斜辺は、x=(1/2)(6-y)より、

y方向の面積の微小増加量 ds=xdy=(1/2)(6-y)dy

yG=(1/S)∫06yds=(1/9)∫06y(1/2)(6-y)dy

 =(1/18)[3y2-y3/3]06

 =(1/18)(108-72)=2

ゆえに、重心が(1,2)であることを計算で求めることができる。

③放物線で囲まれた面の重心(1)

放物線y=x2と直線y=4 で囲まれる図形の重心を計算で求めてみよう。

放物線はx=√y より、面積 S=2∫04(√y)dy=2[(2/3)y(3/2)]04=32/3

y方向の面積の微小増加量 ds=2xdy=(2√y)dy

yG=(1/S)∫04yds=(3/32)∫04y(2√y)dy

 =(3/16)∫04y(3/2)dy=(3/16)[(2/5)y(5/2)]04

 =(3/40)×32=12/5

図形がy軸に対して左右対称なので、xG=0となり、

ゆえに、重心が(0,12/5)であることを計算で求めることができる。

④放物線で囲まれた面の重心(2)

最後に右図のように、放物線y=x2と放物線y=-x2、直線x=1

で囲まれる図形の重心を計算で求めてみよう。

面積 S=2∫012x2dx=[(2/3)x3]01=2/3

x方向の面積の微小増加量 ds=ydx=2x2dx

xG=(1/S)∫01xds=(3/2)∫01x×2x2dx

 =3[(3/4)x4]013/4

図形がy軸に対して左右対称なので、yG=0となり、

ゆえに、重心が(3/4,0)であることを計算で求めることができる。

①~④の図形を実際に厚紙で作り、計算で求めた点に穴をあけ、ひもを通してぶら下げて

バランスがとれるかを確かめてみるとおもしろい。

(参考文献)
[1]中西助次ほか(2001),『工科系基礎力学』,東京教学社.