ビュフォンの針

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三角関数の定積分

三角関数の定積分を利用して求めた式で、現実事象を分析・考察することで、

単元の有用性を感じ、数学に興味をもつことが、この教材のねらいである。

紙に等間隔に線を引き、その上から針を落とし、針が線と交わる相対度数を

求める実験を考える。実験では針ではなく爪楊枝を用いるとよい。

これはビュフォン(フランス1707~)が円周率を求めるために行った実験として有名である。

まず数学的確率を求める。図のように、針の長さを L、平行線の間隔をd( L<d)とし、

針の中点Mから最も近い平行線までの距離をy、平行線に直交する

直線と針の正の最小角をθ(0≦θ≦(π/2) )とする。

すると0≦y≦(d/2)より、yとθがとりうる全面積は、

図のように(π/2)×(d/2)=(πd/4) になる。

そのうち針が線と交わる範囲は、y≦(L/2)cosθとなるから、

その面積は、図のように∫0(π/2)(L/2)cosθdθ=(L/2) となる。

ゆえに、交わる確率は、(L/2)/(πd/4)=2L/πd となる。

実際に実験をして相対度数を求めると、円周率を求めることがで

きる。この理論は、野生の動物の個数を数えることに応用できる。

針の長さを動物の1日当たりの行動距離とし、ヘリコプターで直線に

飛んで線と交わる足跡の数を数えることで、野生の動物の個数の概数がわかる。

例えば、ある雪山のうさぎの行動範囲を60m(=L)、調査した線の間隔を100m(=d) とし、

調査で発見したうさぎの痕跡・足跡の数を50匹とすると、

雪山全体のうさぎの数 x として、(50/x)=(2×60/100π) より、x≒132匹となる。

<参考文献>
[1]飯島博嗣ほか(1995),「「数学実験室」第1話-ビュホンの針-」,
  平成6年度高等学校数学研究会教育課程研究会全体発表会発表資料.